小さい頃、よく別府に連れて行ってもらってました。
別府にある父の勤める会社の保養所は別府湾を望んでいて、海岸線の先には高崎山が姿を見せ、山のほうを見ると湯煙りがあちこちから上っていました。
どことなく町全体から漂うイオウの香りも、別府の思い出と重なっています。
海が大好きなのは、きっと、別府の海岸で遊んだ記憶や、毎年何度も海水浴や貝掘りに連れて行ってもらってたからでしょうね。
別府の海では、磯に付いたニナやカニを採ったり、泳いだりしましたが、今でも一番に思い出すのは、フナムシ。
地味な色の体には節があって、長いひげが生え足がたくさんある、まあ、どちらかと言えばゴキブリに近い風体でしょうか。
これを私は捕まえたくて、捕まえたくて。
だって、ものすごく足が速いんです。
捕まえよう・・というこちらの意図まで感づいているんじゃないかと思うほど、こちらのちょっとした動きにさえ、さささーっと逃げていきます。
何度も何度もトライしましたが、そのたび、フナムシは余裕で逃げて隠れてしまいます。
(そいういえば、逃げ方もゴキブリに似てます・・)
その話をすると、たいていの人は、ひえ〜とか、やだ!と言うのですが、やはり虫好きにとっては、捕まらないだけにいっそう魅力的な虫。
一度だけ、その話をしてすっかり意気投合したことがあります。
その人も、やはり捕まえたかったとか。
まだ、別府の海岸にはフナムシいるかなあ。
もう何十年も行ってないですけどねー。

0