今朝のNHKで、尾びれをなくしたイルカに人工尾びれをつけたお話(今夜の番組の紹介らしい)があってました。始めは、よくある動物愛のお話なんだろうなとタカをくくってたんですが、見ているうちに惹かれました。
沖縄の水族館にいる難病のイルカ“ふじ“の治療にあたる、水族館の獣医さんの姿勢が純粋で真摯で、ふじの尾びれのほとんどを切除した獣医さんの、ふじへの(そして多分、他の動物に対しても同じ)、接し方は、動物を飼うものとして共感しました。
治療として、腐りかけた尾びれを切除しイルカの命を助けた、その尾びれに人工の尾びれをつけてやろうと考えた、というのは、端から見ても、獣医さんとしてできるだけのことはやったと思えますし、ご本人も満足されていい仕事ではと思うのですが、この獣医さんは、手術で尾びれのほとんどを切除してしまったことが、イルカとしてのふじにとって本当によかったことなのか、尾びれをなくしてまで生きていることがふじの生き方にそったことなのか、ふじの気持ちを聞きたい、と迷いながらずっとふじを治療されてきたそうです。
毎日多くの動物を診る獣医という職業的立場では、つい治すということに目がいき、そこまで踏み込んで(というか、本来の目的にたって、といった方が正確でしょうか)、本当に動物のためになるような治療をしたいという姿勢をもち続けることはなかなか難しいんじゃないでしょうか。素晴らしいお医者さんだなあと思いました。
私ごとで恐縮ですが、数年前、腎不全のネコを看病したとき、果たして本当にこのネコにためになってるんだろうか、病院に連れて行ったことそのものがネコにとっては不要なことだったんじゃないか、もしそれで寿命が延びたとしてもネコは嬉しかっただろうか、と、この獣医さんと同じようなことを考えたのでした。今でも確信はありません。
飼い主がそんな気持ちになるのは自然だと思いますが、その気持ちを、治療に当たる獣医さんが持ってくださるなんて、なんとも心強いことです。
うちのネコの場合、安楽死はさせず、最後まで自分の目と感覚でこの世を見させようと決めていたので、最後は病院にも行かず、獣医さんも呼ばず、うちで旦那と私だけで見守りました。
でも、これをもし、人間にしようとしたら、許されない場合も多いでしょう。同じ病気でも、患者さんによって、どう治したいか、どう生きたいか(あるいは最後を迎えたいか)、考え方は違ってくるし、いろんな選択があって当然なのに。
下手すると、看護した家族が犯罪者になるかも知れないし、医師が適切な治療をしなかったと訴えられたり医師免許を取り上げられたりするかも知れません。
そう言った意味では、現代では、獣医さんの方が、より人間的な治療を施すことができるのかも知れません。ふじの気持ちを聞くことより、言葉が通じるだけ易しそうなのに、それでもやっぱりいろんな世間の決まりごとがあると、難しいっすね。
それにしても、こんな風に謙虚にご自分の仕事に携わっておられる獣医さんの存在は、貴重なんじゃないでしょうか。
さて、果たして今晩の番組を見るかどうか、それはチャンネル権のない私には不明ですが・・。

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