またもや早朝出発で、この日は北キプロス共和国へ。北キプロス共和国という国は、国際的には認められておらず、1983年にキプロス共和国からトルコが強引に独立させた国です。トルコがEUに入れない理由の一つが、このキプロス問題です。政治や歴史に興味がある方は、是非ともキプロスの歴史を調べてみてください。さて、トルコ入国の際利用する航空会社は、キプロス・トルコ航空(KTHY)という、一応、北キプロス共和国の国営航空会社ということになっているようです。機体はおそらくトルコ航空と同じで、運営体制も同じかと思われます。ただ、アタテュルク空港での窓口は別会社扱い、トルコ以外の国では「トルコ航空=キプロス・トルコ航空」または「キプロス・トルコ航空など存在しない」という扱いです。そんなわけで、航空券は現地調達するしかありません。

北キプロスのエルジャン(Ercan)
国際空港に降り立つ。まさに降り立つ!この日は、トルコの大統領が入れ違いで来ていたらしく、空港のVIP専用ターミナルに制服を着た人がいっぱいでした。それにしても、暑い!40度を超えているのではないかと思うくらいの猛暑です。
首都レフコシアで宿を探してから、北のリゾート地「ギルネ」へ向かいました。観光案内所で説明されたバス停でバスを待つこと1時間、まだバスは来ない…近くでパンを売っていたおじさんに何度か時間を聞くのですが、訛りのきついトルコ語でなかなか聞き取れず苦労しました。どうやら、午後2時までには来ると言っている様でした。仕方が無いので、他の方法が無いか聞いてみた所、歩いて20分ぐらいでバスターミナルがあり、そこからバスが出ているとのこと。今思えば、よく情報を聞き出せた(&聞き取れた)もんです

行ってみたら、バスじゃなくてドルムシュでした。レフコシア⇔ギルネは、普通はこのドルムシュを使うようです。観光案内所、しっかりしてくれぃ。
さて、40分ぐらいバスに揺られてギルネ到着。噂に聞いたとおり、落ち着いた感じの裏スポット。観光地っぽいどぎついものもなく、雰囲気は日本の温泉町。それに南国の雰囲気が合わさったような所です。町をぶらぶらしつつ、ほぼ唯一の観光地、キレニア城へ。キレニアは、ギルネの英語表記なのですが、なぜこの城だけ英語表記なのかは不明。

キレニア城の城壁上から見たギルネの町並み。これは本当に美しい。
さて、現地のビール(KEOビール、ヨーロッパのビールコンテストで優勝したこともあるらしい)も飲んだことだし、首都レフコシアに帰還です。レフコシアは城壁都市として知られ、周りを城壁に囲まれています。高さは数メートルと低いものですが、ほぼ円形に街を囲い、見張り用に張り出した城壁の造形は非常に美しいです。しかし、1983年の北キプロス分断で、この都市はグリーンベルトを挟んで南北に分断されてしまいました。グリーンベルト近くには、今も破壊され修理されずに放置された建物が散在しています。生き残った教会も、どこか廃墟を思わせる物悲しさを漂わせています。

グリーンベルト付近の唯一、南北が繋がった箇所に行きましたが、さすがに写真はやばいと思い、地図のみ。

左のほうにうっすらと赤い矢印で現在地が示してあるのがわかるでしょうか。この地図の書いてある看板の向こうのほうには、銃を持った兵隊が待機していました。
内紛中の地域とはいえ、2005年には住民は自由に行き来できるようになっており、統一も近いと思われます。現地のタクシー運転手(英語が少しだけ話せる)に話を聞いたら、ほとんどの国民はトルコ系とかギリシャ系とかでいがみ合うような事は無い、とのこと。諸外国が政治に介入してくるのはあまり良い気分じゃなくて、ニコシア(レフコシアの英語表記)とかキレニアといった英語の呼び方はやめてほしいそうです。ちなみに、タクシーの車種は「ベンツ」でした!でも、燃費が良くて長持ちする日本車が欲しいそうです

夜は街角の定食屋さんで晩御飯。物価は、思ったほど安くは無くて、逆に宿代やタクシー代は少し安め。言葉は本当になかなか通じないけど、人情が厚くて親切な人たちばかりなので、とても心休まる所でした。内紛中の土地で心休まるというのも変な感じですけど。