食中毒の治療は胃を休めることと細菌に栄養を与えないこと、つまり絶食である。
大部屋に入れられた私はオマルを渡され、そこでするようにと言われた。40度近くまで発熱したが、私は体温の上昇に強い熱血教師(元ですよ!)だったので、熱には強かった。絶え間ない下痢に対して、通称、犬の散歩というリンゲル液や生理食塩水をぶら下げた台車のようなものをひきずりながらトイレに30分おきに行った。
大部屋は一番端にあったので、ナースステーションのそばにあるトイレまで、約30メートルを夜まで、30分おきに往復した。
看護婦さんには「その熱でよくトイレに行けますね。」などとほぼあきれた感じで声をかけられたが、カーテンしかひいていない大部屋のベッドのおまるで、血便を出すわけにはいかなかった。
腹痛はしだいにおさまってきたが、発熱と下痢は一日、続いていた。入院二日目になるとかなり良くなったというか、退院できると思えるほどになった。水分制限もされていたが、発熱と犬の散歩で、喉が乾き、ガバガバ飲んでいた。
小水の量をはかられていたので、適当にトイレに流し、隠れて水を飲んでいるのがばれないようにした。
翌日は友人の結婚式でスピーチも頼まれていたので、病院をぬけだしても行きたかったが、医者に「もしかしたら、カンピロバクターによる症状かもしれないので、入院していてください。」と言われた。
その医者はうれしそうに、カンピロバクターが顕微鏡で見ると、ねじれていて、とてもきれいだとか、あまり症例がないので・・・・と明らかに私が研究材料に好適だと判断していた。
3日目には元気になった。むしょうに腹が減ったが、相変わらずリンゲル、生理食塩水を点滴されていた。トイレで用をたしていると足下に血が・・・。点滴の途中の管がはずれ、私の体内から血が滴りおちていた。
かなりの量だった。仕方なくトイレの非常ブザーをおした。トイレに入ってきた看護婦さんが叫び声をあげた・・・。
To be continued.

0