『朝日新聞』[2008.11.24]月祝に、
“2千円札、なぜ普及しないの?”
と題した、記事が載っています。
2000年に発行開始された、
二千円紙幣
現在、自動販売機の対応もすすみ、不便なく使われるはずなのに、一般利用者から避けられるせいで、普及していない。
銀行窓口でも、二千円札での払い出しが嫌われ、
↓
ひいては、銀行も日銀に 二千円札の供給を要求しない
ということで、発行枚数も少数に留まっています。
諸外国では、
quarter (1/4) や、
2ドル、20ドル
といった、貨幣・紙幣が流通しているのに、
2000円札が、日本の市中で嫌われる理由として。
“諸外国では、釣り銭を渡すときに、商品価格に紙幣・貨幣をプラスして、払った金額になるようにしていく。この時、そういう単位のお金は便利。
ところが日本人は、計算(暗算)が得意だから、すぐに釣り銭金額が、ぱっと出る。だから、1・5 単位で済ませられる。”
という解説が。
しかーし、こんな解説、信じられるわけがない。
計算でパッと出た金額を、二千円札も含めて釣り銭に出せば、もっと便利じゃん!暗算が得意なら、二千円札こそ縦横無尽に使いこなせるはず。
私が以前から思っている仮説は、
ソロバン(算盤) の影響
です。
日本人のビジネスマン、商人で、今50歳以上の人なら、確実に、ソロバンを利用していたはず。
40歳以上でも、ソロバン経験豊富な人は多い。
1965年生まれの
『ちびまる子ちゃん』 もソロバン塾に通ってたよね?
1970年代に入れば、電卓は普及したけれど。それこそ、パソコンの「表計算ソフト」が便利に使えるようになる以前は、
単に計算するだけなら、
電卓より熟達したソロバン遣いの方が速い
わけで。
そうそう、1980年代まで、商業高校では 珠算が必修 でした。
というわけで、日本人の 計算頭(あたま)では、
\18,763 (壱万八千七百六十参 円)
というのは、ソロバン珠 のイメージで置き換えられて、
・ 一万 の珠 1つ
・ 五千 の珠 1つ
・ 千 の珠 3つ
・ 五百 の珠 1つ
・ 百 の珠 2つ
・ 五十 の珠 1つ
・ 十 の珠 1つ
・ 一 の珠 3つ
を、思い浮かべていたのは、確実です。
で、この 脳内イメージ が、一万円札 から 一円玉 に至るまで、日本で流通している 紙幣・貨幣 にぴったりあてはまる。
下手に 二千円札 など持ち込まれては、脳内が混乱する、計算を間違える元です。
さらにもし、quarter 例えば、「1/4 百円 = 25円」 なんて貨幣を持ち込まれたら、パニックに陥るのは間違いない。
そもそもソロバンでは、
抽象的な 1、100、500、5000 といった「数字」ではなく、
具体的な 1円、100円、500円、5000円 といった「金額」で
読み上げられるわけだしね。
だから、二千円札は敬遠されて、市中に普及しなかったのだ、というのが、私の仮説です。(結構、自信ある!)
だけど、一つ分からない点が。
日本人(で、計算に携わる商人(あきんど))は、大昔から十進法のソロバンに慣れてたんだよね?
江戸時代、
・ 銭(銅貨) で、
5文 プラス 6文 = 11文 とか、
・ 銀貨 で、
8匁 プラス 7匁 = 15匁 とか は良いんだよ。
・ 小判(金貨) の場合、
1両2分3朱 プラス 3分2朱 = 2両2分1朱
(ちなみに、1両 = 4分 、 1分 = 4朱 の四進法)
なんてのは、どう計算したんだろう?ソロバンじゃ無理だな。
(いちおう、
経済カテゴリー にしておこう)