さて本日、[2008.06(Jun.).14]フジTV系で放送された、
『古畑中学生』
文字通り、中学生時代の古畑任三郎が主人公の単発ドラマ。
まあねえ、私ゃ古畑ファンだから喜んで観てました。
で、ドラマそのものには満足だったんだけど、ストーリー上ちょっくらダメ出ししなきゃならないところが一つ。
あっ、もちろん 原田泰造 演じる 野々山 先生が、「科学」の先生、ってのは...。中学校なら「理科」の教諭でしょう。って揚げ足取りもあったけど、そこまで言うのは野暮過ぎるんで、放っとこう。
それと、細かい点で。
>官軍に追われた徳川家が、逃げてきて財宝を隠した。
逆だ、逆!徳川家康さん本人は、甲斐国(山梨県)に逃げる想定をしてたようだけど。実際の幕末では、むしろ、
官軍が、甲斐国(山梨県)から江戸に攻め込んだ、コースだろうが。
ってのも目をつぶろう。
さて結構、本質に関わるストーリーでdoubt!
それは古畑たちが通っていた、山梨県内の(車のナンバープレートが「山梨」ナンバーだったしね)の「杉の森中学校」。
戦時中に落雷で焼けた杉の木の高さを測るため、、、。
「昭和18年の卒業生の卒業アルバムを参照する」
「昭和18年のアルバムに写っている校舎は、現在(古畑中学生当時)と同じ校舎だ」
あのさあ、一般的に(戦後の学校制度の)中学校というのは、1947年に初めて設立されたものが大部分。
wikipedia 中学校
旧制と新制の学校制度を大まかに比較すると、
旧制 新制
小学校 → 小学校
??? → 中学校
中学校・高等女学校 → 高校
高校 → 大学教養課程
大学・専門学校 → 大学専門課程
とだいたい対応している。つーまーりー。新制の中学校だけは、旧制で、それにあたる学校がほぼ無い。
田舎の村には、昭和18年当時、中学校など無いのが普通。当然、卒業生も輩出していない。
もし昭和18年当時で「中学校」と言えば、それはかなりエリート性の高かった、旧制中学。現在でいえば、評価の高い高等学校になっているケースが大部分。
G[2005.08.02]
だからさあ、強いていうならば、高校生の話にするか、小学校の校舎での話にしておけば良かったんだよ。
厳密に注:戦時中の「青年学校」が、戦後の中学校につながった例は農村部でも当たり前にありましたけど、古畑中学生時代の中学校とはかなり異なった存在。
wikipedia 青年学校
うわ、その上TV放送で映った、「昭和18年の中学校卒業アルバム」男女共学だよ!
ここまで荒唐無稽だと苦笑を通り越して、爆笑になってしまうな。
うーんとね、大昔、SF作家の豊田有恒.氏の小説にも、
wikipedia 豊田有恒
「戦時中の特攻隊員が昭和40年代にタイムスリップしたら、自分の「出身中学」の現役生徒である後輩男女に出会う」
というストーリーがあったのを思い出した。特殊な例外以外、現実には有り得ない設定。豊田作品については、またいつか。
それとさあ。「古畑が田舎の村に登場」というのに、山梨県が舞台だったのに、ちょっとびっくり。
任三郎って、「実家は長野」って言ってたよね?たしかに「古畑」というのは、信州の姓だし。また、「兄弟」もいたような気が...
そのあたりの設定は、どうつながるんでしょう?
とにかく、ドラマとしては良作なんだから、三谷幸喜.脚本の厳密さと辻褄合わせを求めます。