2016/3/22  18:09

吉村昭  読書
03月21日の「産経新聞」の文化欄に「吉村昭さんの小説」という記事があった。2006年の死だから今年で10年になる。著名な作家でも亡くなると一年くらいは作品が売れるらしい。だが吉村作品は死後10年しても増版を重ねている著作が多いらしい。また東京都荒川区に建造される複合施設に「吉村昭記念文学館」ができるそうで、完成したら行ってみたいものだ。

正直、吉村昭の小説は、あまり興味がなかった。「大本営がふるえた日」「東京の戦争」の2冊しか所持していなかった。今頃だがよく調べれば新潮文庫・文春文庫に膨大な著書がある。同じ時代小説でも事実を基にしているとは言え、魅力あふれるヒーローを描いたのは司馬遼太郎。吉村昭と競合するが、同じく近現代史がベースでも城山三郎は、経済面に視点をあてて人気を博した。ともに映画・テレビドラマの原作となって注目された。

昭和30年代初期に芥川賞候補に4度ほどなったが、受賞せず後に奥さんの津村節子が受賞している。芥川賞は純文学で、その頃、受賞した作家はそれほど売れていない。それが軌道修正になったのか、その後の吉村昭作品は、近代現代史が舞台になる。今では「戦史文学」として認知され、死後10年経ても、いろいろな作品が増刷されている。

「関東大震災」「三陸海岸大津波」は、今、見直され売れているらしい。先日公民館祭で一冊30円の価格で20冊の吉村作品を手に入れた。ざっと読んだのがエッセイ、日暮里出身」だから東京の下町が登場する。所謂“谷根千”(谷中・根津・千駄木)を照射する「昭和歳時記」、「私の引き出し」を丁寧に読んでいる。『戦艦武蔵』で記録文学に新境地を拓き、菊池寛賞などを受賞しているから純文学に与えられる芥川賞など遙かに超えた作品群だ。

最も評価されているのが太平洋戦争を基にしたもの。現場、証言、史料を周到に取材し、緻密に構成した多彩な記録文学でフィクションは殆ど加えなかったというから筆者の私には、もっと多読すべき作家だということ。「戦艦武蔵」「零式戦闘機」は史料としての価値が高そうである。

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