2016/7/28  23:40

菊村到  読書
平成時代になって新潮文庫から『昭和ミステリー大全集』が編まれた。上・中・下、三冊の夫々が600頁に及ぶ文字通り昭和時代を代表る作家のアンソロジー、因みに新潮文庫は、他社の多くは西暦だが、平成という元号を奥付に採用している。上巻の最初の作家が何と佐藤春夫・谷崎潤一郎という大作家。上・17人、中・16人、下・13人で最後の原遼は直木賞受賞者。

この三冊の他にも「ハードボイルド篇」が編まれた。ここには19人の作家。生島治郎・逢坂剛、今をときめく北方謙三等々。ここには芥川賞受賞者で、江戸川乱歩に勧められ、エンターテインメント作家にも移行した「菊村到」の名がある。菊村は神奈川県平塚市出身、本名戸川雄次郎、兄は政治評論家・戸川猪佐武、父は平塚市長だった戸川貞雄。

菊村到は多くの中間小説を発表しているが、全集は編まれていない。平成11年、73歳で亡くなっている。石原裕次郎の映画にもなった「紅の翼」が知られている。昭和32年に「硫黄島」で芥川賞を受賞。松本清張のように古代史・江戸時代・昭和史・戦後史と幅広いジャンルではない。出身がそもそも海軍軍人だったので戦後の社会では、地味で騒がれることは無く超一流の作家では無かったと言える。インターネットの古本の文庫では多くが購入できるのでこれから注文する。

前記の「ハードボイルド篇」では昭和38年作の「獣にふりかかる雨」がある。デパートの外商の営業マンの実態に父親の復讐を織り込み、かなりの傑作だ。平塚市在住で先頃「真田三代」で知られる火坂雅志が亡くなった。郷土の作家は大いに読んでみたい。

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