「数学の基礎力」といっても、易しい数学についての話ではない。数学の基礎力とは、数学の問題を解くにあたり必要とされる基本的な力なのであるが、このすべてが小学にあるということである。
中学に入って算数に比べて「数学ができる」ようになったと感じることもないわけではない。しかし、それは本当に、上位者と太刀打ちできるようなできなのかというとそうではない。ある程度の自己満足を得られる程度のできである。具体的に言えば、小学の算数ができないという場合、まず単純な暗算力がない(二桁程度の引き算など)。分数計算が十分にできない(通分などのベースは簡単な九九であり、それに考え込んでしまう)。そしてまた常識的な概念が形成されていない(距離と速さを足してしまうなど)。こういったことを中学で修正することは、不可能に近い。そのような生徒の数学のできが中学でよくならない場合は、それはごく自然のことなのである。もし彼、あるいは彼女が他の教科が十分に理解力があるような場合は、その小学時の不出来(場合によっては高校までできなくなる)の責任は誰にあるか?この点を分かっていても言及する者は少ない。それは実は明らかだ。

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