初日の出を見に山に登るという塾生のみなさん。こんなことは前にも何度かあった。今彼らは、何をしているのだろうか。
今年は元号が変わったけれど、塾としてはそれ以上の意味もあった。おこがましくも地域の学力向上を目指し、平成のはじめに開塾した。あきらめかけていた志望校への合格が生徒のみなさんの夢であると同時に、私の夢、いや達成目標でもあった。そもそも学力アップの要素は、学習時間と学習の質であり、その前に本人の達成の意志に支えられている。しかしながら、少子化や社会の二極化も手伝ってか、達成の意志が脆弱化し、またそれをうまく操る社会構造に変わりつつある。そういった中で、活力を養うのは難しい時代に突入していくのが今後の令和だろう。さまざまな教育改革も暗中模索のなかで行われている。子供たちは小学低学年から英語を学び、また多くはだれかの思惑のなかでプログラムという作業を「たのしい」というように植え付けられていくかもしれない。おそらく、単純労働の形は変わり、その受け皿が必要となるときが来るのだろうが、そこにはこういった作業もないではないのだろう。しかし何事もそうだが2000人に一人の突出した人材が生まれる可能性は増す。このような時代背景で、学校での学力、得点力を上げることにどのような価値があるのかという思いをもつ保護者の方もおられるかもしれない。例えばネット社会となり可能性が広がったと。確かに、このことは否定できないが、すでに1990年代から今日に至る過程のなかで変化は本質的にはない。価値の変化をもたらしているのは、幼少期からまるで子供が端末の一部のように化すことを当然としたという点でむしろ人の側である。そして、そのような構造を産み出している企業体たちの描く未来図であろう。それは何か得体のしれないものによって起きる必然ではなく人為である。
ともあれ時代は変わっている。それだからこそ、子供たちは心をはぐくみ、自分で考える力を養うことはより大事になるのではないだろうか。明成塾という空間において、学力上昇ばかりではなく、それぞれのお子さんが未来を見る目、なぜそうなのかと疑問を持つ力、本質を見抜く思考、そして自然を味わう心、そして優しさを育ててくれればと願っている。
令和1年の最後になりましたが、塾生のみなさん、保護者様、ご家族に今年一年、すべてにおいて感謝いたします。
ありがとうございます。
明成塾塾長 Z

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