農水省:農地集積し、農業の競争力向上図る 経営安定基準
農林水産省は27日、一定以上の規模の農家に絞って助成する経営安定対策の基準を、与党の了承を得て正式に決めた。
山間地の集落営農組織は耕作面積の条件を半分に引き下げるなど、特例の具体的な内容も盛り込んだ。
「ばらまき」型農政のつけで細分化したままの農地を集積し、国内農業の競争力を高めることが最大の課題。
07年度の実施までに、条件を満たす「担い手」の耕作面積を全農地の5割以上に広げることを目標にするとみられる。
同省の石原葵事務次官は同日の会見で、担い手の条件について「努力すれば乗り越えられるハードルを設けた」と説明した。
また、松岡利勝自民党農業基本政策小委員長は「最低でも5割の農地集積をまず目指したい」と述べた。
00年の農林業センサスで農家の規模別シェアをみると、個別経営の担い手条件である「4ヘクタール以上」を満たすのは、都府県の全農地面積の約18%にすぎない。
また、集落営農組織の条件は20ヘクタール以上だが、全国農業協同組合中央会(全中)によると、耕地面積が20ヘクタールに満たない集落の数が全国で53%もある。
農家にとって規模拡大はかなりの努力が必要だ。特に、小規模な農家が集まって一つの経営体になる集落営農がどこまで広がるかがカギになる。
農地の集積は農協や自治体が支援する。その際、個人の担い手と集落営農が地域でぶつかった場合の調整や、
担い手とそうでない農家の間に摩擦が生じないようにする方策などが課題になる。
一方、農業団体などの強い要請により、山間地などでは特例で条件が緩和され、
生産調整に応じた農家から麦や大豆などの生産を受託した組織なども支援の要件が緩和された。
同省は、農家の生産コストと販売額の差を補てんする助成について、現時点での試算値を明らかにした。
10アール当たりで小麦4万200円、大豆3万200円、テンサイ4万2800円、でんぷん用バレイショ5万3300円。
この水準だと現行の助成水準とあまり変わらない。実際の助成額や全体の財源については、07年度予算の要求に合わせて来年決める。【位川一郎】
■「担い手」の耕作面積の条件■
<原則>
▽個別経営(認定農業者)は、都府県4ヘクタール、北海道10ヘクタール
▽集落営農組織は20ヘクタール
<特例>
▽山間地では、個別経営は原則の8割、集落営農組織は同5割が下限
▽地域の生産調整面積の2分の1以上で作業を受託する組織は、生産調整率に応じ下限7ヘクタール、山間地は同4ヘクタール
▽複合経営で相当水準の所得があれば個別認定
毎日新聞 2005年10月27日 20時43分

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