日本の美味しい米の系統をたどると、東日本の「亀の尾」と西日本の「旭」にいきあたる。
両品種とも明治の篤農家が在来種から選抜した傑作だ。
亀の尾は陸羽132号、農林1号を経てコシヒカリに伝えられている。
旭は山本新次郎氏が明治42年(1909)に日の出から選抜したもので
昭和になって急速に普及した。
米粒が大きく美味で、市場評価はきわめて高く一時代をきずく存在であった。
関西では旭の影響で大粒米が好まれ、大粒米でなければ米では無いと言われ米相場は旭次第と言われたそうだ。
東日本でコシヒカリ、ササニシキに伝えられた系統だが、
西日本では旭は1960年代からの早生化の波に乗れなかったために衰退したようである。
しかし
その偉大なる功績から細々と生き残ってきた旭は掛け合わせも無く、
純系選抜で残った最後の「旭1号」としてここに自然栽培で復活したのだ。
この歴史を見ても
その素晴らしさが判ってもらえるだろうか?
作りやすさから選ばれた現在の米からすれば
その美味さ素晴らしさから残ってきた「旭1号」なのである。
今また脚光を浴びるにふさわしい米なのだ。
私はその存在と
それに出会えたことの嬉しさで胸が一杯になる。
何よりも掛けあわせがないから変化が少ない。
色々掛け合わせると遺伝の法則から同じ者はなかなか出てこない。
変化が激しいのである。
純系の選抜だからこそ100年も残ってこれたのだろう。
不味ければ残るはずが無い。
美味いからこそ残ってこれたのだ。
主張しないで主張するから
寿司米として名を残し
多くの人に指示されたのだ。
私の追い求めた米がここにある。
この幸運を感謝し
作りつづけていくことになりそうだ。

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