kurogenkokuです。
ここのところ
『パナソニックが、三洋の株式公開買い付け(TOB)価格を1株120円前後で米ゴールドマン・サックス(GS)グループなど大株主3社に提示している』との記事を目にします。
この120円については、時価(現在150円前後)を下回るため、
ディスカウントTOBと呼ばれているそうです。
kurogenkoku自身、TOBについて詳しいわけではないのですが、「なんでディスカウントTOBなの?」というところには素朴な疑問を抱いておりました。
新聞各紙によれば、おおよそ以下のような内容に集約されます。
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@
パナソニックは三洋のの収益力や将来価値、大株主が優先株を普通株に転換すると株式価値の希薄化が生じることなどを総合的に判断した結果、
1株あたり120円前後とすることが妥当と判断。
A議決権の7割に相当する優先株を保有する
大株主のGSグループ、三井住友銀行、大和証券SMBCに価格を提示し交渉を進める。
B
大株主からは
250円前後での買い取りを求める声がある。
C
多くの株主はTOB価格より高値で三洋株を取得していたとみられ、
この価格でのTOBに応じれば損をする。
D
大株主の3社は三洋の優先株を普通株換算で1株70円で取得しているので、
120円前後で売れば、1株あたり約50円の利益がでる。
E
パナソニックにとっては、大株主の3社さえ買い取りに応じれば、
議決権ベースで7割の株式を取得でき、三洋の子会社化は実現。
F一般株主のTOBへの応募がなければ、必要なコストは少なくてすむ。
G
パナソニックは三洋の経営の独自性を認めるために
三洋株の上場は維持する方針。
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ざっくりこんなところなのですが、kurogenkokuにとってはまだしっくりこないところがありました。
そんなとき
『日経ビジネス 11月24日号』に「なるほど」と思う記事が。。。
要約すると
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@仮にTOBしないで大株主3社と交渉すれば
「相対取引」になる。
A議決権が3分の1を超えて移動する時にはTOBが必要。←「相対取引」はダメ。
B優先株を保有する株主が25人未満で、全員の同意があれば
「相対取引の適用除外」にあたるから大丈夫と
当初考えていた。
C
カネボウ判決で
上記の考え方が覆される。←「適用除外」にあたらない。
D仮にTOBをかけた場合、3分の2を超えるとパナソニックに少数株主保護の観点から
全株買い付け義務が発生。
Eしたがって
三洋上場廃止リスクが伴う。
F
パナソニックは、
大株主の3社のみ買い取りに応じてほしい。
Gよって
ディスカウントTOB
H
大株主にとって低い株価が有利なケースもある。
I全ての株主がTOBに応じて、案分比率ですべての株が売れなかったような場合。
J損益分岐点は180円くらい???→それでも120円とは乖離がある。
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まあこんな調子なのですが。
このディスカウントTOBの背景は本当に「深い」です。
今後もこの話題には関心をもって記事に目を通したいと思います。

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