2012/9/10

西川美和「夢売るふたり」  Art・本・映画

今日は会社を休み映画に行ってきました。
行ったのは西川美和監督、松たか子、阿部サダヲ主演の映画「夢売るふたり」。

西川監督の監督作品はDVDやレンタルだけど全て見てる。
「蛇イチゴ」「ゆれる」「ディア・ドクター」いずれも「嘘」と「犯罪」を取上げてる。
映画のほとんどは会話主体で進む。その中で描き出させるのは人間の愚かさや裏。
西川監督は脚本は全部自分で描く。コトバの1つ1つが切れ味がある。

つまんない嘘をついたり人を裏切ったり陥れたり、ヤメりゃイイのに危険な橋を渡ったり。
見てて呆れる。「バカじゃないか?」と思う。共感なんか絶対しない。
でも、不思議と登場人物をキライになれない。むしろ、いとおしくてだきしめたくなる。
そしてラストがいつも放り出される。明確な決着がない。
その終わり方は後にひきずる。モヤモヤが残る。でも、その「モヤモヤ」が凄く楽しい。


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今回の「夢売るふたり」もそう。火事で燃えたお店の開店資金を稼ぐため結婚詐欺をする夫婦。
夫はプライドだけは矢鱈高くて夢を語るダメ男。
妻はしっかり者のようで夫を唆して結婚詐欺をさせる。ふたりともどっかぶっ壊れている。
それまではホントにフツーの仲良し夫婦。犯罪なんて出来るわけないのにやっちゃう。

あぶなっかしくて見ててハラハラしていた。何度もつっこんだ。
そして、詐欺が成功してお金を手に入れたシーンにはどこか快哉を叫んでいた。
ウソ?詐欺?ステキじゃないか?
単純な正義漢が努力して最後に勝利を得る、そんな御伽噺ツマンナイ。
この夫婦は愚かでどうしようもないバカだけど・・・夢に向かって一生懸命だ。必死だ。
犯罪だろうが、間違ってようが、必死に闘ってる奴がオレは好きだ、いい、と思う。

結婚詐欺は最初は妻が主体で動く。夫は妻の指示どおり女性を騙して恋愛関係に陥る。
当然、妻意外の女性と関係を持つわけ。妻公認の浮気?ホンキ?
夫は根っからは優しい男。女性を騙すことに何処か引け目を感じてる。
そして後半、妻と夫のバランスが壊れていく。
妻は嫉妬と夫への愛憎で何ともいえないどす黒い表情になっていく。
ここの松たか子がホントに凄い。恐いけどキレイで活き活きと輝いている。
一方の夫は自分の意志を持ち自分で動き始める。こちらも活き活きしていく。
2人が罵りあうシーンは見応えがあった。妻の表情の「黒さ」に背筋がゾクッとした。

2人は結婚詐欺の共犯。本来は固い絆で結ばれているはず。
でも、お互いにホンネをみせていない。2人の関係もどこかズレやウソがある。
そして、最後犯罪は露呈する。夫は罪を受け入れ妻は逃げる。
2人は引き裂かれる。それぞれ別の場所で生きる2人のシーンでいきなり映画は終わる。

唐突な、結論が分からないままいきなり終わってしまった。
西川監督なら「ハッキリしないエンディング」とは覚悟してたけど、それでも吃驚。
やっぱり「引きずるモヤモヤした終わり方」だった。

でも、見終わった後、なんだか凄くハッピーな気分だった。
夫も妻も夢に敗れたけど最後は「開放」された、と思う。
2人が自由になるには、あの結末しか無かった、そう思う。
だって夫、最後すごく楽しそうだった。自分の意志でチャンと立ってた。
そして、妻もチャンと自分の力で生き抜いていた。

あの2人、また逢うことはあるのだろうか?それとも、もう・・・。

この映画、当分引きずりそうだ。エンディングについてはまた別の感想が出てきそうだ。
でも、ハッキリしている結論がある。オレ、この2人が好きだ。大好きだ。
2人とも最後はシアワセになってほしい。そう願う。

最後の夏休み、たっぷり堪能。明日からは、また現実との格闘が再開。
2人を見習って詐欺師なみにアタマを使って精一杯がんばりましょう☆
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