2011/3/23 21:35
福島県第一原発の事故について、昨日当たりから、TVやマスコミも遅まきながら、直接の単位時間当たりの被爆線量の単位である「シーベルト毎時=Sv/h」を積算被爆量である「シーベルト=Sv」と混同させて、1時間当たりの数値は低いから安全だなどと事故を軽く見せる事の限界に達してきております。
(詳しくは、http://red.ap.teacup.com/tamo2/1467.html 等を参照)
実際は、より深刻で、国の安全基準値も低く設定されている、放射性物質(放射能)の微粒子が拡散された後に環境中で生体濃縮されて放射性物質を人体の内部に取り込んだ場合の被爆(正確には核種の崩壊数)を表す「ベクレル」という単位において、水道水や、牛乳や、野菜などから、とんでもない値が検出されてきたからです。
これを受けて東電の株価は暴落し、今後は数十年は農業被害や健康被害に対して賠償をする為だけに存続を許される企業に成り果てて、国有化も避けられないとも囁かれています。
そもそも、原子力発電がローコストであるといった幻想は、原発の廃炉後の長期的管理コストや、廃棄物の長期的管理保全や、今回の様な万が一の事態へのコストを度外視したものでしたから、これまで電気会社が原子力推進をコマーシャルしてきた事自体が、如何に目先の短期的な利益だけを優先する、新自由主義(ネオ・リベラリズム)的な、資本主義の悪しき側面に染まってきた事を暴露された事を意味しますし、本来は社会の【公共部門】に属するべき、基本的なインフラである電力供給という問題を、短期的利益のみを重視するネオ・リベ的な発想に陥りがちな、東電を始めとする民間企業に委ねてきた事自体の是非が、今後は問われてくるでしょう。
しかし、我々庶民も(ましてや政党・政治家は)、単に【批判】しているだけで、代替となる【具体的】な提案をしていかねば、【これから将来の電力政策】というものは、実現されていかないのではないでしょうか?
そこで、私は、従来の大規模発電所+遠大な送電線というエネルギー効率的にも低い(発電する為に発生させたエネルギーの半分以下しか利用できない…約40%)独占システムを、根本から改めて、小型の地域密着型もしくは各家庭毎に【燃料電池】によって発電を賄い、コージェネレーション(廃熱利用)による給湯を含めればエネルギー効率は実に倍以上の80%にもなるという、最近になってやっと商品化されて市販される様にもなった新しいシステムへ、10年計画ぐらいで大規模な転換を図る事を提案します。
この【燃料電池】というのは、最近になって耳にした方も多いとは思いますが、一例として、TVでCMを流している「エネオス」の「エネファーム」という家庭用・小型燃料電池の場合、【イニシャル・コスト】として平均的一戸建家庭で、政府の現行最大140万円の補助金を受ければ、200万円程は、まだまだ量産効果が出ていないので掛かってしまいますが、【ランニング・コスト】としては、一般家庭の需要電力であれば充分に賄う事が出来て(1kwという容量は普通ならば充分です…※下記リンク先参照)、おまけに発電余熱で給湯まで出来て、太陽電池とも組み合わせれば電力会社への「売電」も可能で、従来よりも光熱費を節約出来て、他方で電力会社が宣伝している「オール電化」よりも、更に優位にも出来るというのがセールス・ポイントです。
これについては、追って説明しますが、まずは下記のWEBページなどを参照して下さい。
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ウィキペディアでは、「エネファーム」について、若干ネガティブに書いてありますが…(1kw/hでは家庭用の需要の【全部】は賄えないとか、停電時には使用できないとかいう不完全な情報が…)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%83%A0
唯、行政からの補助金は現在も出ている様で、それを差し引いて200万円という事です。(但し普及が進めば【量産効果】が出てきて、装置本体の値段は現在の3分の1以下に出来るというのは、家電業界などでは常識ですから、信憑性はあります)
実際は、下記の様な記事もあり、我が家でも実際に1kw/hを超えて消費する事はまずありません。
http://eco.nikkeibp.co.jp/article/special/20090819/102039/?P=4
それに、コージェネレーション(廃熱利用)を意識して、ガス会社は給湯を中心に考えているから「1kw/h」という【規格】なのであって、技術的には〜数千kw/hまでの大型建築物用の非常用電源としての実用プラントも、実際に多数実在します。
また、自動車会社を中心に開発が進められている、電気自動車への車載用の「燃料電池」の場合、固体媒質型ではなく溶融塩媒質型という、より高効率・高レスポンスの物も実用化しつつあります。
また、停電時には使えないというのは、エネファーム本体だけの機能だけの話で、実際に住宅メーカーなどは、下記の様に蓄電池と組み合わせて、非常時に強い住宅というのを「売り」にしています。
http://www.solar-eco.jp/pv/future/greeny.html
系統電源が停電した場合でも電気と湯を供給できるようになっている点が特長ということです。
(但し都市ガスでなく、プロパンガス中心の地方都市でなくては、災害に強いとまでは言えないでしょうが…)
最後に、東邦ガスという、中部地方の都市ガス会社の、エコロジー面での、アッピール記事
http://www.tohogas.co.jp/enefarm/merit/energy.html
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原理的には、水の電気分解と逆の事を触媒の中で化学的に行う事で電力を取り出すので、発電自体は水蒸気しか発生しないという究極のエコロジ−なのですが、現状では、直接の燃料となる「水素」を「都市ガス」もしくは「プロパンガス」から改質器を通じて取り出すしかないので、そこで若干の2酸化炭素は発生しますが、ガス自体をバイオ・マスで生産出来る様にするか、または【広い海洋上で太陽光から一旦は電気分解で「水素」を直接生産出来るプラント】を作れば、環境中に放出する2酸化炭素は、結果的には±ゼロになります。
(炭化水素から水素を取り出す「改質器」が不用になり効率は益々上がる)
この「燃料電池」という技術が、他の自然エネルギーと異なる長所の一つは、電力源である水素(もしくは炭化水素)を、一旦発電してしまった「電気」とは違い「燃料」として保存しておく事が可能な点で、天候任せでなく、需給の変動に柔軟に対応可能な点です。
また従来の発電に対する原理的な優位は、従来の発電所は燃焼や核反応の熱によって一旦ボイラーで水蒸気を発生させて機械的に発電用モーターを回すという機械的プロセスを要しますが、燃料電池の場合は、全て化学反応で電気を取り出すので機械的ロスがなく、更に小型化にも向いており、地域密着型の場合は、送電ロスの低減や、コジェネレーション(余熱利用)により、総合的に見ると、利用可能なエネルギーが総発生エネルギーに占める割合が、従来の発電=20%〜40%が、燃料電池=60%〜80%になるという、原理的な優位性があります。
これらの事は、既に原理的には1970年代から知られており、行政による「水素エネルギー利用」のプロジェクトも一応は有ったのですが、原発推進の政府方針の中でネグレクトされ、今日の様な実用化段階に至るまでに時間が掛かったのは(遅れたのは)、はっきり言って独占状態を維持したい電力会社の既得権益に甘んじている事を、国家が許容してきたからでしょう。
既に、家庭用燃料電池は、商品化されてはいるとはいえ、その初期投資を出来るだけの貯蓄も無い我が家ですが、消費者にとってのコストUPになっても良いから、脱原発に向かうという方向性は、今度の事故を契機に、日本でも左右を問わず、合意形成が成されていく可能性が高まっているとは思います。
尚ちなみに、同じく初期投資が掛かり、エコロジーで地球環境に優しいなどと言われて普及が進んだ電力会社主導の「オール電化」は、今回の震災で図らずも、電力会社依存が、裏目に出ています。
この事からも、繰り返しになりますが、従来の大規模発電所+遠大な送電線という独占システムを、根本から改めて、小型の地域密着型もしくは各家庭毎に【燃料電池】によって発電を賄うという(場合によっては地方自治体も主体になり得る)リスク分散型の新しいシステムへ、10年計画ぐらいで大規模な転換を図る事を提案します。
最後に、最初にも述べましたが、すでに、世論は「脱原発」を前提として、その【具体策】を提示する事を、今【政治】には求められていると私は考えていますので、私の所属する日本共産党も、現役の候補者や役員や一般党員は、【2006年3月日本共産党の吉井英勝衆議院議員が予算委員会でした質問が(福島原発の今回の事故を)完璧に問題点を予見していたとしてネットで反響を呼んでいる】…などと「楽天的に」喜んでいる場合ではなく、1980年当時から我が党が「基本方針」としてきた、安全性を住民の立場から監視しつつも、原子力は平和利用に限定すべきで、代替エネルギーも模索するといった、従前の「脱原発」路線は、既に世論によって踏み越えられてしまっている現状に鑑み、我が党も【次の段階】である【脱原発の為の具体的な代替政策の提示】に、更に一歩、先に進むべきでは無いでしょうか?
私が本記事で述べた事は、従来のシステムからの大規模な転換ですし、既存権益を持つ電力産業からは抵抗もあるでしょうが、今回の事故を受けて国家電力政策の根本的な転換という【革命的】な意義が生じている事柄ですし、他方で必要性も定かですら無い「地デジ化」ですら国家的プロジェクトでやれるぐらいなら、まして出来ない筈は無いと、私も思います。
この提案が、国民的議論の一石にでもなれば幸いです。

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投稿者: 伊賀篤@勉強不足のJCP党員
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2011/3/20 16:01
東北沖の大震災から一週間以上の時間が経ちました。
今もまだ、広い震源地域の各所で余震も続いており危険が無くなったとは言えず、多くの被災者は行方が知れない身内の人々を心配しつつ場合によっては喪失の悲しみは未だ癒えずに過酷な日々を過ごし、また被災者以外の多くの国民も、今回の震源域からは離れた長野北部(中央構造線沿い)や、静岡県の東部(駿河トラフ奥)でも、直接の関連が科学的に実証された訳ではありませんが、誘発されて発生したと一般には思われる地震が発生した事が今後どう影響していくのか?不安に感じているでしょうし、更にまた日本中が、福島第一原子力発電所での危機的で深刻な事態から、多くの同朋が最前線に立って今も対処に全力を尽くしているのは充分に承知していながらも、未だに事故前に【私が不明にも思っていた】のと同じ様な「安全」や「安心」が保障されて、完全に危機から脱したとは到底いえない状況にはありますが…
そんな状況下でも、私は特に日常と異なる何が出来る訳でも無く、相変らず忙しい仕事を懸命にこなすだけ、妻もパートタイム労働と家事をこなすだけで、唯一この震災に対して私達家族がした事は、相変らず殆ど現金が無い私の財布から(御用)労働組合を通じての些細な額の募金と、妻も、医療生協を通じて募金をしただけという状態です。
また、私達は、特に買い占めなどにも加わっていませんが、妻のパート先のドラッグ・ストアで、普段より一部の商品が品薄になる程に需要が多くて忙しいだとか、私は会社での見積業務で仕入先の被害で納期の見通しが付きにくくなっているとかを、夕食時に話し合うぐらいで、特に変化もありません。
まだ現地では、全国からのボランティアを受け入れる状況では無いとの事ですが、仮にボランティアを受け入れる体制が現地に出来たとしても、当社で大型システム案件の見積業務を出来る担当者が事実上は私一人という、上場企業としては信じ難い常態になっている現在では、会社は1週間単位での有給など許可してくれないでしょう。ただ無力感が募ります。
しかし、戦後空前の日本の難局を乗り越える為には、結局の所、多くの私の様に自身の無力を感じながらも、その分だけ日々の仕事には精一杯に取り組む人々が大勢いてこそ、政府や自治体の努力にも意味が生じるのだろうと信じて、今は、ただ普段と変わらず、いつも以上に気合だけは入れて、仕事をするだけです。
私が自分を自己肯定するだけの記事になってしまいましたが、不安でオタオタしているだけでは、何も産まないのは確かなので、これが現時点での到達です。

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投稿者: 伊賀篤@勉強不足のJCP党員
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2011/3/13 8:44
一昨日から「東日本太平洋側大震災」の情報で、TVを始めとしたメディアは、それ一色になっています。これに伴ない国会は一時閉会とされ、政府も与野党も災害対策に集中した観があります。(当然ですが)
生存者の救出の可能性が、まだ残っている今現在は(少なくとも2週間ぐらいは)、とにかく1名でも多くの人命を救出すべく、政府・自治体を始め、自衛隊や消防・警察および民間でも可能な限りの組織や人材は、すべからく全力を挙げて取り組むべきでありますが、ただニュースを見てるしか無い私は、歯痒い思いしか有りません。(交通も寸断され、2次災害の恐れもあり、まだ現地では復興に向けたボランティアを受け入れるどころでは無いでしょうから…)
マグニチュード8.8というのは、阪神淡路大震災の約100倍のエネルギーであり(その後、訂正されてM9.0との事ですから、指数関数的にエネルギーは拡大しますので、ざっと300倍という所か?)、ズレを起した断層(プレート境界)の距離も400kmを越えるとの事で、正に日本の近代的な観測史上で、最悪の震災であり、特に巨大津波による被害や2次的火災なども含めると、大まかな全体の死者・行方不明者の全貌さえ把握できていない(自治体もそこまで機能していない)というのが実情でしょう。(映像やニュースを見ていての印象だと、最悪の場合は【最終的】な死者数は今報道されている数の数倍に達し、被災額は数十兆円にも達するかもしれません…今はまだ、あまり憶測でモノを言うべきでは無いかもしれませんが)
とにかく、今は第一に、一命でも多くの人命救出と、避難している被災者支援を!
その為に、今こそ、官民・政界(与野党)・経済界の、全面的な協力・共同体制の構築が、急務となっています。
その後の復興対策に向けての特別予算の編成・承認に対しても、当面は、一致協力してやるべく与野党の壁を超えた、危機管理内閣としての義務を果たして貰いたいものです。
(小コラムとは云え、在日外国人からの献金問題なんかという、形式的な法適用だけの問題で本質的には何処が悪いのかすら、私には解らない問題を、被災翌日の紙面に載せてる場合じゃないよ、赤旗編集部さんよ!)
まだ先の話になりますが、救援・復興の【財源】は、当面は特別・赤字国債の発行に頼らざるを得ないでしょうが、これだけの規模となると数年(下手をすると10年弱)の期間に、最大では国家予算の何分の1レベルの費用の支援が必要でしょうから、高所得者には応分の負担を願う直接税やら、「高付加価値商品」への間接税も考えねばならないかもしれませんから、上手く折衝して、遅滞の無い対策の可決を図る事を、切に願います。
あと、心配なのは、プレート境界型地震というのは、他の地域に連動する事が有る事が【一般論的には】知られているので(実際に長野県北部の地震は中央構造線沿いですし)、連鎖地震が更に起きない事ですね。
(これ以上は想像するのも怖いので、あまり言いませんが…)
それと、原子力発電所の冷却バックアップ用ディーゼル発電機が、津波を考慮していなかったのか、地下に設置してあったなどと言うのは、素人目にも論外ですし、全国の原発でも想定外の万が一の事態にも、今からでも即時に、備えておく事を切望します。
同時に、現在被災地で部分的に炉心溶融が起こったとされる、福島第一原発一号炉では、早急に現在の所はまだ無事な、圧力容器内、それが無理なら格納容器内に、冷却水を注入して(2度と使えなくなる事を承知で海水でも良いから)、スリーマイルの様な【再臨界】を回避すべく、危険地域に留まって対策作業を継続している東京電力社員達には、自身の被爆にも気を付けながらも、継続した努力を切に御願いすると伴に、米国から打診があったという原子力発電所専門家も受け入れて、万全を尽くして貰いたいです。
まとまらない記事ですが、私もまだ混乱しているという事で、御容赦頂ければ幸いです。

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投稿者: 勉強不足のJCP党員(伊賀篤)
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