福島第1原子力発電所の事故を受けて、これまで日本の原発を推進してきた、歴代の自民党政権と、今の民主党の電力労連議員の多い【小沢派】による原発推進へと舵を切って以降の今の政府と、各電力会社と、専門家なる権威を振りかざした御用学者達が作り出してきた、これまでの【原子力は絶対に安全】という非科学的な神話の崩壊を受けて、今度は【原子力が無ければ電力需要を賄えない】という虚構(大嘘)を、計画停電などで、陽に暗に宣伝する事で、これまで原子力に投じられた莫大な利権に浴してきた「原子力ムラ」の住人達は、これからも【原子力の存続】を図ろうとしています。
一方で、今の日本の世の中には、直近の世論調査などを見ても、今回の福島の「人災」を受けて、ネオ・リベラリズム(新自由主義)の洗礼を受けて、投下コストに見合う安全性しか保障してこなかった既存の原子力発電は危険との認識を高め、これまでの推進を容認する世論を覆して、反対もしくは慎重という意見が【今の所は】多数を占めている。
(世論調査について、詳しくは下記WEBページ参照)
「きまぐれな日々」ブログ・2011.04.22付記事
「一気に「反原発」へと傾く世論。言論状況も劇的に変化」
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1175.html
ところが、先の「いっせい地方選挙」の結果などを見ても判る様に、それは直ちに原発の地元でさえ「反原発」や「脱原発」を掲げた党派の躍進には結び付かなかった。それは問題が【全国的・日本全体に関わる問題】であった事で、ただちに【地方選】という地域独自の問題を扱う選挙の争点には成り難かったという点もあろうし、これまで国や電力会社からの多額の交付金で過疎の地域を支えてきた地元意識の問題もあったろうが、最も政治的に本質的だと思われるのは、
国民の側にある【原発は不安だけど具体的に無くしたら自然エネルギーなんかだけで日本の電力はやっていけるのか?】という、素朴だが核心を突いた疑問に対して、既存の「反原発」や「脱原発」を掲げた党派が、隣国の原発大国であるフランスから大量買電しているドイツなどを例に挙げて、抽象的に「自然エネルギー」一般を叫ぶだけで、実際に国民が求める具体的なプランとしての
【脱原発のロードマップ】を示しきれなかったという、確かな「弱点」が有ったであろう。
そこで私は、あくまで「素案」として、この【脱原発のロードマップ】を、短期・中期・長期に分けて、私の現状の力量の制約はあるので、あくまで恥をかく事は承知の上で、ここで公表したいと思う。
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●短期(今すぐ)
まず下記記事を参照して頂きたい。
むじな@台湾よろず批評ブログ
原発がなくても電力不足は起きない(2011-04-01付記事)
http://blog.goo.ne.jp/mujinatw/e/ef184b0c78d16a6da8a4be776b798827
「原発を止めると電力が不足する」の嘘 東電、発電実績データを密かにHPから削除(2011-04-21付記事)
http://blog.goo.ne.jp/mujinatw/e/6b72bd202b631833447b1be5314fefe5
私も手元には資料が無いが、夏場のピーク時に原発の定期点検が重なった場合などを想定して、各電力会社は潜在的には3割弱程の余剰発電能力を休止中の火力発電所として持っているのは確かだ。
短期的には、この潜在的な余剰発電能力を生かして、
想定される「東海・東南海・南海」の3つの連動型地震(連動した場合の想定される地震規模=マグニチュードは今回の東北沖と同じM9.0程度)に備えて、その想定域にあり日本で特に危険とされる、
下記の2つの原子力発電所を即時に運転停止をする事と、その廃炉に向けた作業を始める事だ。各家庭や事業者での「省エネ」の努力と重なれば、難なく実現可能だ。
@:中部電力の浜岡原発
「如月の指針」ブログ・2011/4/23付記事
最も危険とされる浜岡原発
http://blogs.yahoo.co.jp/hattor123inakjima/28515243.html
A:四国電力の伊方原発
「土佐高知の雑記帳」ブログ・2011/4/22付記事
伊方原発は即時廃炉せよ
http://jcphata.blog26.fc2.com/blog-entry-2240.html
【mixi】での議論を受けての追記:
この【短期=今すぐ】の段階では、上記の2箇所の原発以外は、運転を続ける原発も残る事になるが、この「安全性の向上」は、早急に始めねばならない【短期】の重要課題である。
少なくとも原子炉の冷温停止までは持つ、非常時バックアップ用ディーゼル発電機が、地下に設置してあるなどという、福島みたいな馬鹿げた状態は全て解消させ、高台に「移設」するぐらいの事は、費用も多額に掛かるワケでも無いので、早急に実施する。
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●中期(今から始めて5年〜10数年程までの期間で)
下記のページを見て貰いたい。
燃料電池 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%87%83%E6%96%99%E9%9B%BB%E6%B1%A0
前々回の本ブログの記事…(2011/3/23付記事)
今こそ各政治勢力・党派は、脱原発の【具体策】を(例)
http://blue.ap.teacup.com/nozomi/115.html
更に私の個人的な「日記」…
http://d.hatena.ne.jp/atsushi_iga/20110422/1303438170
一部重複するが中期計画は下記である。
この【燃料電池】の内で、既に中規模(数十kw)の実証試験で良い成績を挙げている、「固体酸化物形燃料電池:SOFC」を、直ちに商品化するべく、これまで「原発」の研究に使われていた国家からの研究費を振り替えて開発援助を行い、総電力需要の40%を占める企業や事業者の内で、ある程度以上の規模に応じた「事業体」毎に、自分の消費電力の内の何パーセントかを、既存の天然ガスや都市ガスを使って電力を自給していく事を義務付ける法律の整備を準備して、今から2年以内ぐらいに大規模なモデル事業化、その後の今から10年程は、普及・徹底への猶予期間とする。このパーセント基準は事業者の規模に応じて段階的に決めるものとする。
同時に、各家庭への「エネファーム」の普及助成は、従来通りに(可能ならばそれ以上に)進める事とする。
5/8追記:
各事業体向けには、その「電力自給化」設備投資の為の、特別な無利子の融資制度を設ける。
「固体酸化物形燃料電池:SOFC」は、既存の火力より【高効率=経済的】に成り得る為に、その「投資」に見合う「効果」は見込む事が出来るので、経済効果として致命的なダメージにはならない。
これによって余裕が生まれた電力供給量の分だけ、老朽化した原発から順次に運転停止して、廃炉を進める。
何故、ここで私が【固体酸化物形燃料電池】を具体的に挙げたかと言うと、貯蓄可能な燃料としては、純水素ガスだけでなく【都市ガスや天然プロパンガス】も、全く【水素を取り出す改質器】そのものが不要で、直接発電が出来て、高価な白金触媒も不要であり、現在考えられている燃料電池の内で最も発電効率が良く(既存の火力発電の最高40%に対して廃熱利用をしなくても充分に上回る)、最も高温で運転される事により空気中の酸素を使用する事による不純物である二酸化炭素からの中途生成物である有毒な一酸化炭素自体も燃料として使用されて、電極の被毒も無く、その【効率性】ゆえ【経済的】でもあり、将来的な「自然エネルギー」に次いで環境にも優しいからである。
それは長期的(20年〜30年)には、市場価格の変動に晒される【都市ガスやプロパンガス】の利用ではなくて、海底のメタンハイドレートの開発やら、広い海上で海水から純水を得て太陽光で電気分解して得た「純水素ガス」…燃料電池による排気ガスは水蒸気だけ…の製造プラントと貯蔵と運搬のインフラ整備やら、一般的な「自然エネルギー(太陽電池+蓄電池、地熱、風力、バイオマス、潮汐等)の積極的な充実は、より望ましいには違いないが、短・中期的(1年〜10年)の間では、既存のガスのインフラの、効率的な利用を模索するしか無いであろうという、あくまで私の個人的な判断によるものである。
コメントを受けての追記:
こうして、大規模な事業者であればある程に、電力を「自給」する体制を作る事で、制度面での改革として、既存の電力供給の「独占」状態に、既成事実として突破口を開けると同時に、、この【中期ビジョン】においては、現在は地域独占となっている「発電事業」と「送電線の保守・運営・設置事業」を、とりあえず「分社化」させる。
(下記↓のリンク先にもある、海外の例から学んだ「制度設計」が必要である)
電力自由化 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E5%8A%9B%E8%87%AA%E7%94%B1%E5%8C%96
これにより、長期ステップでの【電力事業】の「公共的」な性格に合わせた、電力の「地方自治」を樹立する為の、布石を打つ。
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●長期(今から始めて10〜20年以内の期間で)
上記で挙げた様に、市場価格の変動に晒される【都市ガスやプロパンガス】の利用ではなくて、海底のメタンハイドレートの開発やら、広い海上で海水から純水を得て太陽光で電気分解して得た「純水素ガス」…燃料電池による排気ガスは水蒸気だけ…の製造プラントと貯蔵と運搬のインフラ整備やら、一般的な「自然エネルギー(太陽電池+蓄電池、地熱、風力、バイオマス、潮汐等)の、積極的な充実と普及を図り、広く薄くリスク分散で、かつ地方分権的になる様に、電力供給を現在の「独占」から、地方自治体(少なくとも県レベル)にまで、分社化を進めて、電力の「公共的」な性格に応じて、電力供給を地方自治体による運営に切り替えていき、利益は自治体運営の財源とする。
5/9追記:
中期プランで分社化した「発電事業」と「送電線の保守・運営・設置事業」の内、前者は「より安定供給でき・より安価な」という目的によっては、半官半民として、競争入札制度にしても良く、後者は「送電線」等のインフラが新規参入の難しい巨大資本と成る為に【所有】は自治体の物として、その「保守・運営・設置事業」は、自治体管理下での競争入札制度としても良い。
(供給の安定化におけるリスクを如何に分担するか、その制度設計には、更に検討が必要である…私は、配電側ではなく供給側において、不安定供給のリスクを、主には負うべきだと考えるが…)
長期においては、将来的な、太陽光(含:電気分解した水素ガス)と、地熱と、バイオマス、海上風力等の総量を考えれば、現在の原発の総発電量を上回る事は確実であり(例:地熱に関しては下記参照)、原発の全廃のみならず、新規に増大する需要にも充分賄え、二酸化炭素の大気中への排出も減らす事は確実に達成できる。
例:地熱発電の可能性は…
地熱発電 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E7%86%B1%E7%99%BA%E9%9B%BB
…上記の内で、新しい【高温岩体発電】という方式の場合は、(以下引用)…既存の温水資源を利用せず温泉などとも競合しにくい技術とされ、38GW以上(大型の原子力発電所40基弱に相当)におよぶ資源量が国内で利用可能と見られている。
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以上が、私の【素案】として提示する
【脱原発のロードマップ】です。
各個人・各所・各政治勢力で、各々検討される事を期待します。

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