菅内閣への「内閣不信任案」が否決されてから、国会では毎日の様に、国民不在で、菅首相が何時辞めるか?とかいう問題ばかりで、震災被災地の問題も、原発事故の今後についても、殆ど「そっちのけ」で、【全く国民不在】の「議論」とは名ばかりの馬鹿げた罵り合いが続いているのを、怒りを持って見ています。
そして、ここにきて、またしても【国民不在】で、菅内閣後に、民主・自民・公明などを含む「大連立」を模索するとかいう動きが出て来ました。
私は、菅内閣については、従来の原子力政策に関しては「白紙に戻す」とか「発送電の分離」だとか「浜岡原発の運転停止」だとか、一定は評価する部分も有りながらも、「脱・原発」を明確には言わず、閣僚内には公然と「原発政策の維持」を表明する人間を職に留めているなど、どちらとも付かぬ「鵺=ヌエ」の様な態度に終始しており、財源として消費税問題でも、何ら低所得者への配慮(食料品等への税の軽減や非課税もしくは低所得者への還付=1種の負の所得税)も無く、そういった「議論」も切り捨てて、ただ税率UPだけを無慈悲に進める与謝野氏の様な人間を内閣に抱えている限りは【支持】できるものではありませんが、それでも菅総理が【このまま】辞任して、原発問題一つとっても政策で合意する点が無いままに、【大連立】などという政権が出来あがれば、
せっかくの「従来の原子力政策の白紙撤回」とか「発送電の分離」だとか「浜岡原発の運転停止」だとかの動きは、従来「自民党政権下」で原発を推進してきた【旧態依然】たる勢力が盛り返して反故にされてしまい、このままでは【今より悪くなるのは確実】に思われます。
まして【大連立】ともなれば、
国会の【9割の議席が与党】となる訳ですから、何らチェック機能を期待できなくなります。(どんな法案も税制も国会議論は形式だけで通ってしまうでしょう)
そこで、菅内閣には、辞任をする前に、少なくとも「脱原発か?原発維持か?」の【国民投票】を実施する事を、私は求めたいと思います。
(菅内閣以後の、「後退」を食い止める為に…)
確かに、内閣不信任案の否決に対する「国民の声」に現れている様に、今は「解散総選挙」などの【政局】をやっている場合ではありません。
しかし、そもそも国民側からの「抵抗権」として、国民の何%かの署名が集まったりした時か、為政者が重大な国の政策を決定する場合には、直接に「国民の声」を「ワン・イッシュー」でも、国政に反映させる【仕組み】が、日本には無い事が問題なのです。
(ドイツ等には有ります)
ちなみに、これは「脱原発か?原発維持か?」だけでなく、例えば「消費税増税反対か?容認か?」とか、他の「ワン・イッシュー」についても適用できます。
今、日本では最も重要な課題の一つとして、福島での原発事故を受けて、今後のエネルギー政策を如何に進めるのか?…という、国民自身が決定しなければならない【重大懸案】があります。
これ(脱原発か?原発維持か?)は、多数のマニフェストが混在した【選挙】で民意を問うというより、課題を絞った「ワン・イシュー」で、国民が選ぶ権利を与えられるべき性格の問題であり、だからこそ「国民投票」を私は求めるのです。
従来の【選挙】では、これがメインの争点になる事も無く、歴代自民党と、それを引き継いだ民主党政権でも、原発推進が繰り返されてきました。
これを進める法律的な原動力となってきたのが、いわゆる「電源三法」です。初めて聞く方も居るかもしれませんので、最初に(中立的に条文本体も読める)参考WEBページを紹介します。
電源三法 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E6%BA%90%E4%B8%89%E6%B3%95
電源開発促進税 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E6%BA%90%E9%96%8B%E7%99%BA%E4%BF%83%E9%80%B2%E7%A8%8E
電源開発促進税法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S49/S49HO079.html
発電用施設周辺地域整備法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S49/S49HO078.html
特別会計に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H19/H19HO023.html
尚、関連法令として…
原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO148.html
条文の法理的(法哲学的)な評価は、ここでは割愛しますが、この田中角栄と中曽根が作った「電源三法」が、これまで【実際】に原発推進の原動力となってきた事は事実です。
過疎にあえぎ財政難にある田舎の自治体に、突然に莫大な「交付金」が示されます。一度それに食い付くと、それで大きなハコモノ等を作っても、維持費(雇用)は原発からの「固定資産税」で賄われ、田舎は活性化した様に見えます。ところが減価償却が進んで「固定資産税」が減ってきた頃合を見計らって、更に足元を付け込んで原発の増設の話が来るのです。
この構造は「一度手を出したら止められなくなる」という意味で、よく【シャブ漬け】に例えられます。
そして、この法律は、原発に反対する住民を、原発に依存する住民が、「村八分」にするなどという、住民間での「対立」までも産んで来ました。
これが都市から田舎への「再分配」だとしたら、なんという歪んだ「再分配」でしょうか?!
これは【立地自治体にのみ利益】をもたらしますが、いざ事故になったら【被害】は立地自治体だけでなく、それこそ【国民的】な問題になります。
ですから「脱原発か?原発維持か?」を、もしも「国民投票」で問う上では、この「電源三法」の存廃も、同時に問われなくてはなりません。
国民不在の【野合】で、国会で「大連立」なるものが画策されている【今だからこそ】、脱原発か?原発維持か?を、国民に直接に問い、同時に「電源三法」にて代表される、これまでの歪んだ制度についても、国民に直接に問うべきではないでしょうか?
私は、その為の「国民投票」を実施する事を、今の政府に強く求めます。
もし御意見があれば、お寄せ下さい。

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