今マスコミでは、どうかすると…原発事故の問題よりも、ポスト管総理を担う政権与党である民主党の代表(党首)選挙の事で、話題が持ちきりになっています。
私は民主党員でも無いし、仮に民主党員になったとしても今回の代表選は臨時である為に国会議員票だけで争われる事になるそうなので、この民主党の代表(党首)選挙に、私が直接に関わる事は無いのですが、それでも日本国の主権者の一員として、政権与党の代表(党首)選挙とは、即ち国権の最高責任者である総理大臣を実質的に決める選挙である事から、要望を声にして揚げる事には意味が有ると思われます。
例え如何に下らない政権であろうとも、納税した金の使い道を決めるのは「国会」であると同時に、その国の「方針」を決めるのは政府だからです。
ところで、この民主党の代表(党首)選挙において、今の国民にとって最大とも言って良い関心事である「脱・原発か否か?」という国の今後のエネルギー&環境政策という論点が、全くマスコミでも【争点化】されていない事は一体如何なる意図であろうかと、国民の中でも不審に思っている人は決して少なくないのではないか?…と、私には思われてなりません。
それは、管直人・現・総理大臣は、原子力に依存しない社会を目指し、将来的には原子力発電所ゼロを目指すという方針を示しましたが、それが民主党全体のコンセンサスを得た全体方針では無いことは、この間の民主党の各議員の発言から、多くの国民からも明らかである様に思われるからです。
中には、事故前からの旧態依然たる「ベストミックス」論を主張して、原発維持を公言している有力議員も居れば、超党派の「地下原発推進議連」に参加する議員やら、将来の原発問題にはダンマリを決め込んでいる小沢元代表(従来はトリウム原発とやらの推進論者だった)などが実力者として居座るなど、それらが民主党のエネルギー政策を、より解り辛くしています。
現在、民主党の代表(党首)選挙に名乗りを挙げているのは、野田佳彦財務相、鹿野道彦農相、海江田万里経済産業相、馬淵澄夫前国土交通相、小沢鋭仁元環境相の5名が明白に前向きな意欲を示しており、それに前原誠司前外相が出馬するか盟友の野田氏の支援に回るかで検討中だといいます。
この中で、「看板」だけでも…将来の「脱・原発」を公言したのは、前原氏と馬淵氏だけという状態で、このままでは脱・原発に向けた政策の【後退】が、管首相の退陣後に後継者によって齎されるのではないか?…と強い危機感を私は持ってしまいます。
もちろん、争点は原発問題だけでは無いでしょう。
私は子供手当の所得制限そのものは反対ではありませんが(子供は「社会」が次世代として責任を持って育てるのが原則で「親や家庭」は単に付託を受けているという考えには立脚していますが)、高校教育の無償化の見直しには反対ですし、震災復興の財源として当面は「所得税」と「法人税」の増税で賄うという今の政府方針には賛成ですし、食料品などを非課税にする個別税率制度や税の還付(負の所得税)を伴わない消費税のUPには反対します。
しかし、単に増税に対する賛否だけを争点にして、小沢氏の顔色を窺っているだけの、現在のマスコミが伝える民主党の代表(党首)選挙の情勢は、国民から見れば白けるだけで、決して民主党自体の支持率の回復には繋がらないでしょう。
(まだ管氏の方がマシだったとなるだけです)
今、政権与党である民主党代表(党首)選挙に求められる事は、原子力発電の将来を含む産業・経済政策全体を、あやふやなままにして権力闘争だけを露骨に示すより、そこに如何に展望を示せる人材であるかを、党首選挙を通じて具体的に争点にして議論を活発に行い、党内コンセンサスを作り上げる事ではないでしょうか?
私は、居住選挙区(静岡7区)で共産党は候補者を立てていないという実態の中で、「城内みのる」も「片山さつき」も真っ平御免だという状況下で、よりマシという意味で「民主党」には投票をした事があっただけですが、(私の場合は)批判を行うという事は「期待」の裏返しでもあります。
(事実、救い様が無い反動勢力と化した…核武装の能力維持の為に原発を維持すると最近発言した石破茂の居る「自民党」やら、その自民党と一緒になっている公明党などは、何も期待も出来ないだけ、建設的に批判しようという気にもなれません。)
世論調査で一番次の総理に期待されている(といっても数%台ですが)前原氏も、一応は「脱・原発」に転換して掲げていますが、経済政策についいては殆ど発言が無く、唯一過去に「雇用よりも(経済)成長を」という、古典的トリクルダウン型の発言を行ったに過ぎません。
これで、国民に期待される【総理大臣】を排出しようというのは、無理が有るという事に、民主党の執行部は気が付かないのでしょうか?(支持率回復が出来るとでも?)
経済産業省官僚の言いなりで原発の守護神と化している「海江田万里経済産業相」を、小沢氏が推すのではないか?という観測まで流れている様では、民主党はオシマイです。
民主党が、原発に替わる新たなエネルギー政策の中で、不況対策も成し遂げるというぐらいの展望が示せないならば、民主党は既に歴史的な使命を終えて、下手をすれば次回の総選挙では「新自由主義的」な政策も掲げている「みんなの党」やら、もっと悪くしたら今後に全国展開を図るかもしれない最低の人物(…女子高校生に私学助成を削って欲しくなければ政治家になれば良いなどと時空を超越した妄言を吐いた人物)として「橋下徹」大阪府知事の率いる「大阪維新の会」などが、取って替わるかもしれません。
自民党を見切って、民主党を選択した国民は、弱者切り捨ての小泉以来の新自由主義に見切りを付けて、より弱者に優しいリベラルな政策こそを求めている筈ですが、期待は(未だ果たされず)裏切られています。
このままでは、経済界・財界のオコボレに縋ろうとした昔に戻るだけです。
残念ながら間違っても、日本共産党みたいに、党内で政策を対立させた建設的議論も党員による直接代表選挙も無い政党(=有るのはミクロ・マクロ的な政策研究・検討も無い単なるスローガンレベルの括弧つき「政策」と、5段階に渡る間接選挙による対立候補も立たない信任投票のみ)には、国民は目を向けてくれる事は無いでしょう。
更に、仮に「東海」「東南海」「南海」の3連動地震でも起きて、日本の「中央構造線上」の老朽原発(特に加圧水型の九州電力の玄海1号炉やら、四国電力の伊方原発)の内の1基でも大事故を起こせば、日本の「法治体制」自体が危機に瀕するでしょう。
(つまり、まさかのクーデターでも起こりうるという事です)
こういう情勢だからこそ、政権与党である民主党代表(党首)選挙に求められる事は、繰り返しになりますが、原子力発電の将来を含む産業・経済政策全体を、あやふやなままにして権力闘争だけを露骨に示すより、そこに如何に展望を示せる人材であるかを、党首選挙を通じて具体的に争点にして党内議論を活発に行い、党内コンセンサスを作り上げる事なのです。
私は「他者」に期待する事は殆ど無いと自覚している人間ですが、日本の政治の右傾化を防ぎ、リベラル勢力の発展を祈って、今回は民主党に対して建設的に「批判」をしてみました。
皆様は如何に思われるでしょうか?

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