衆議院選挙という事で、通常より更新頻度を上げて、また記事UPを行います。
但し、既に選挙公示後なので、特定政党へのインターネットを使っての投票の呼びかけは、公職選挙法(これも日本の法律は世界的に見れば非常識なので見直すべきですが)によって禁止されているので、恐らく選挙の争点の内で、最も有権者の関心の高い、景気回復について、如何なる政策が有効であるかを考え、それを提示する事で、あくまで読者に何処の政党を選ぶかの参考にして頂く…という内容に留めたいと思います。
●まず、景気回復という事で、今度の選挙で躍進する事が、新聞各紙で有力視されている政党(自民党)の政策を見てみます。
第一に、「無制限の金融緩和=インフレターゲット(インタゲ)論」についてです。
これについては、2年前の本ブログの下記記事で、私は警鐘を鳴らした事があります。
一部で主張されるリフレ政策の失敗によるハイパーインフレを懸念し、今こそ構造改革を!
http://blue.ap.teacup.com/nozomi/105.html
【2010/7/15付け記事】
インタゲ論は、主にマクロ経済学における、新自由主義で有名なフリードマン以来の
マネタリズムの中から、通貨供給量を「裁量的」にすべきでないという肝心の骨子を抜いた、デフレ対策として【貨幣供給量】だけに偏重する醜い「亜種」とも言えるのですが、これは決して本当の景気回復には寄与しません。
むしろ、日銀による国債の大量買取などは、今の巨額の国債残高を抱えた国家財政の状況下では、日本の国債の信用低下を招き、そこからの悪循環により、戦後のハイパーインフレの歴史的な教訓からも解る事ですが、国家財政の破綻と、超インフレを招き、庶民には極端な生活の悪化(物価は上がっても給与は遅れてしか上がらない)を齎す危険性の方が、はるかに大きい危険な政策です。
第二に、必要な?公共事業を建設国債で大規模に実施する事での景気刺激策です。
これはマクロ経済学的にはケイジアンに近いですが、今更ですが、既に破綻が明確になった、大企業に金をばら撒けば、トリクルダウン(雫が滴り落ちる)で、庶民にも金が回って来るといった話(論理)は、もはや噴飯モノとして過去の遺物と化した経済理論です。
こんな事で、バブル以降も経済対策と称して、大規模公共事業を推進して、巨額の国家・地方での財政赤字だけを残して、一向に景気回復が達成されなかった愚を、またも繰り返す気でしょうか?
●では、本当に景気回復に必要な対策とは何でしょうか?
一つ目は、こうした小手先だけの括弧付き「景気対策」では無く、積極的労働政策(失業者や労働者への新しいスキルを獲得させる様な再教育を含む)等を通じた、従来までの産業構造を、今後の国際競争にも勝ち残れ、かつ内需にも応える様な分野への大規模な転換(例えば新エネルギー開発促進等へ)を促す様な、地道な【産業構造改革】の抜本的な強化です。
二つ目は、取るべき所から税金をチャンと取り、社会的な弱者への再分配の強化をする事で、労働市場の「自由化」によって産まれた貧困層と格差社会化を押し留めて、セーフティーネットを充実させ、ぶ分厚い中間層を復活させる事で、富裕層に比べて比較的に消費性向の強い中間所得以下の所得世帯へ、直接にお金が回る様にする事でしょう。
これについては、私も参加している【Nabe Party 〜 再分配を重視する市民の会】でも、情報発信をしています。(現時点での最新記事は下記)
2012年度の犯罪白書からセーフティネットの必要性を考える
http://nabeparty744.blog111.fc2.com/blog-entry-64.html
尚、私は上記の記事のコメント欄に、私は下記のコメントを書きました…
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> なお、生活保護受給者に限らず所謂低所得者層は消費性向性が高所得者に比べると高いこともあり、彼等に安定した収入があることは景気を下支えする効果
これと真逆の事をしてきたのが、強者への分配を手厚くし(弱者はトリクル・ダウンでオコボレがあると嘘き)、弱者への直接の再分配を軽視する事で、ぶあつい中間層を貧困層に転落させていった、労働自由化の流れですね。
景気問題こそが、庶民にとって最も関心がある事なら、強者には応能負担で相応の税金を取り、政治の本来の役目である、社会的な弱者の保護に、本気で取り組む事しかありません。
貧すれば何とやらで、自分より弱い他者に目を向ける余裕が無いという理屈に埋没したままでは、いつまでも社会の多数の窮乏化からは、脱する事は出来ません。
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この最後の一文に書いた通り、人は自分が困窮していると、自分以外の他者へ配慮する余裕が失われるのは事実ですが、自分より弱い他者に目を向けて、そこを下支えするという発想に転換しない限り、いつまで経っても社会全体の厚生水準の向上、本当の「景気回復」などは見込めないのではないでしょうか?
また、本ブログにおいて、今年の初めに…
仮にも「税と社会保障の一体改革」と言うなら留意するべき点
http://blue.ap.teacup.com/nozomi/127.html
【2012/1/15付け記事…※本日付け追記有り】
…でも述べた様に、単に選挙に当って減税を唱えるだけで、ちゃんと【取るべき所から税は取る】という事をせずに、よく言われる「小さな政府論」を唱える政治勢力には、警戒が必要です。
これは「亜種」として、単に身近な自分達より少し恵まれた人を仮想敵として、人気取りの為に【公務員叩き】などをしている様な政党の論調も、その根は同じです。
そういう政治勢力は、本来の国家や政治の【任務】である、個人や本人の責任に帰す事が出来ない不遇や、本人の努力スタートラインにおける格差を解消し、誰でも等しい機会を得る普遍的な権利(人権)を実現する事には、まるで無関心だからであり、結局は自由放任の弱肉強食の経済を容認して自己責任を説くだけだからです。(これを新自由主義といいます)
こうした政治の果たすべき役割の【根本】から目を逸らし、こんな時に前回の本ブログの記事…
今、憲法9条の意義を考える
http://blue.ap.teacup.com/nozomi/136.html
【2012/11/28付け記事】
…で書いた様な、憲法改正(戦争の出来る国つくり)などを言い出す勢力(自民党や、日本維新の会)などには、その主張の底意(含意)を、よく考えてみる必要があるでしょう。
こうした日本の【右傾化】を危惧する声は、例えば下記の記事…
きまぐれな日々 日本の右傾化の転換点になる衆院選の投開票日を前にして
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1281.html
…などでも、警鐘が鳴らされています。例えば上記の記事の最後で…
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つまり、私が左傾したのではなく、日本人全体がかつてと比較して大きく右傾化した、そう私は考えている。傍証として、前にも書いたけれども、中道右派の政治家として自民党を割って新自由クラブを立ち上げた河野洋平が、今ではネトウヨや産経新聞記者に「紅の傭兵」と表記されてやはり「極左」呼ばわりされていることを挙げておこう。河野洋平も新自由クラブを立ち上げた1976年と2012年の現在で、政治的なスタンスは全く変えていないと私は認識している。そして、海外メディアが指摘したように、日本の激しい右傾化は日本の衰退を反映するものにほかならない。
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…と書かれる日本の「右傾化」は、私にも日本の衰退を象徴している気がしてなりません。
(これまでの左翼政党がだらしなかった点は多々あるにせよ)
そもそも、自治が認められた民主主義国家をどうするのか?その「選択」は、私も含め読者の皆さんの主権者としての【義務】でもありますが、では何処の政党に託したら良いのか?…という事については、最初に述べた様に、ココでは書けません。
しかし多くの国民は、前回の総選挙で託した政権交代が失望に終わり、雨上がりの竹の子の様に、よく解らない新しい政党が乱立する中で、もはや「消去法」でしか選べないのが、正直な所でしょうし、それを私は責める事は(とても)出来ません。
しかし、本当に自分自身や子供達の「将来」を考え、たとえば最大の関心事が「景気回復」であった所で、それを真剣に考えず、過去の教訓に学ばず、自分なりの「選択」をキチンとせずに、ただ誰かに代行して貰おうというのは、民主主義国家の国民としては、自殺行為に等しいと私は考えます。
選挙まで残り僅かですが、よく各党の公約を読んで、所属議員の過去の実績なども参照し、選挙を通じて、民衆としての矜持と知恵を発揮される事を、私は願います。

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