先週の日曜日、TBSで放送された戦争をテーマとしたスペシャルドラマ「僕たちの戦争」を録画しておいたものを見た。このドラマのあらすじは、現代の青年・尾島健太と戦時中の特攻隊員・石庭吾一(森山未來・二役)が何かの偶然でタイムスリップし、お互いに入れ替わってしまう。それぞれが生きていた世界と異なる世界にとまどいを感じながら生きていく中、それぞれの考え方に変化が現れ・・・、という話。
人間魚雷「回天」が出てくるドラマで、数日前に予告をチラっと見かけて一応録画。正直全く期待しておらず、「見るものないし、そろそろ見るか〜」という軽い気持ちで見たのだが・・・。何とこれが大当たり!知らず知らずのうちにグイグイと引き込まれていた。
戦争をテーマとしているが、コメディータッチな部分が多々あり、クライマックスのもう終わり!という場面になっても笑える部分がある。それでいて考えさせられる部分はしっかりある。
印象的なシーンは自分では2カ所あった。1カ所は、現代にタイムスリップした吾一が東京に連れてこられた時。平気で食べかけのハンバーガーをゴミ箱に投げ込んだり、化粧しながら歩く若者。道を歩くおばあさんを突き飛ばしても平気な若者。そうした過去とはすっかり変わり果てた未来を見て、吾一が叫ぶ。
「こんな、こんな世の中を作るためにっ!散って行った英霊達は、国を守る盾となって命を捨てていった、あの尊い犠牲は!こんな世の中を作るためだったのかあっ!!」
そしてもう1カ所はラストの健太が回天で突撃するシーン。それまでがコメディーの部分が多い事もあって泣ける場面というのはないのだが、このクライマックスは役者の演技に迫力があり、一気に気持ちが込み上げてくる。それまでちゃらんぽらんな人間に描かれていた健太が、このシーンで人間的に成長していることがハッキリと読み取れる。
一度見た後、2度目はカミさんを無理矢理巻き込んで一緒に鑑賞。イヤイヤ見ていたカミさんも、最後のシーンはやはり涙をぬぐっていた。
全体を見れば、軍人が軍人らしく見えないとか、CGが安っぽいなどのアラはあるものの、主役の森山未來の演技がハマっているし、ストーリーもいい。何より見終わっても心を強く握られているような、強い衝撃が残っており、こんなに印象深いドラマは久しぶり。自分がこれまでに見た映画・ドラマ作品の中でもかなり上位の部類に入るだろう。
ただ残念なのは、エンディング後の「正しい戦争はどこにもありません」という押しつけがましいテロップ。余韻が残っていた時に突然出たため、非常に興ざめしてしまった。その作品から何を感じ取るかは人それぞれに任せるべき。しかし、ドラマ自体はいいものだから、まだ見ていない人は、録画した人から借りてでも是非見て欲しい。

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