○昨日の結果
中山9R 三連単:4−1−5 9,680円(ハズレ)
馬券は外れた。しかし、そんな事がどうでもいい小事のように思えるほど、ディープインパクトのラストランは見事だった。2年間この馬の走りを見続け、勇気をもらった事もあった。昨年負けた有馬記念で雪辱を果たし、シンボリルドルフ、テイエムオペラオーに並ぶGT7勝で締めくくり、ディープは伝説となった。
この馬を見て初めて衝撃を受けたのは、2戦目の若駒Sだった。新馬戦も上がり33秒1を叩きだし並外れた能力の持ち主である事を見せつけたが、この時は4番手からの抜け出しで見た目にハデさはなかったし、新馬で期待させておいて2戦目以降サッパリ、というケースもよくある事なので、今後を見極める上でも注目のレースだった。
ちょうど若駒Sの時は中山競馬場にいてターフビジョンでレースを見ていた。新馬戦と同じようにスタートは良くなく、最後方追走。7頭立てと少頭数ながら、向こう正面で逃げる2頭がとばして先頭からディープの位置まで20馬身以上とかなりタテ長の展開。そのまま4コーナーに入り、「さすがにこれは届かないな・・・、やっぱり並の馬か・・・」と思いかけたその時、大外を一頭、ディープがもの凄い勢いで駆け抜けた。他の馬がみな止まっているかのような、次元が違う走りで。その時、中山のスタンドは大きく揺れた。GTでもないのに、ただのオープンで、しかも京都のレースなのに。ターフビジョンで見ているスタンドのファンみんなが同じ感じを抱いていた。「凄いものを見てしまった・・・」
ディープを生で観戦できたのは、ダービーただ1回。あの時は「ディープがダービーを勝つ瞬間に立ち会わなければ一生後悔する!」との思いが自分を動かした。仕事をなんとか調整して強行軍での観戦だったが、ディープが勝った瞬間、歴史の証人になれた事を心底幸せに感じた。
ディープのレースはテレビや競馬場、現地を含めてリアルタイムで見ているが、国内唯一の敗戦となった昨年の有馬記念だけは盛岡競馬場で見ようとして大雪による大渋滞のために見逃したレースとなった。しかし今にして思えば、「負けるから見るな」という天啓だったのではないだろうか、と感じる。
そして昨日。大勢の人がいる所でディープを応援しようかとも考えたが、最後は静かに一人で、家のテレビの前で見守ることにした。こちらの心配をよそに、ディープはいつも通りディープインパクトを最後まで貫き、全く危なげなくゴールを一番で駆け抜けた。
引退式。最後の最後で小田和正の「言葉にできない」が流れる。今までのレース一つ一つが思い起こされ、もうターフを走ることはないのだ、と思った瞬間、グッと込み上げるものがきた。ディープインパクトという馬に巡り会えて本当によかった。ありがとう、ディープインパクト。今度は自身の最高傑作をターフに送り出して、父としても偉大であることを証明して欲しい。

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