岡山県井原市に蓬莱という中華料理屋さんがある。オーナーは日本の人で餃子をメインにした中華料理メニューが数品ある。所謂中華食堂。ここの餃子は皮も手作りで独特の歯ごたえがある。外がカリッとして皮にはほんのり甘味があって、噛み応えはもちもち。中身はジューシーな肉汁がじゅわ〜っと出て來る。一口では口に入りきらない大きさ(熱い所為もある)で、半分に噛み切りながらいつも食べる。そのたびに中身を確認していたし、度々通ううちに皮を捏ねている様子、広げている手つき、餡を包むところなどを目撃した。食感や味を家で再現しようとしたが何度挑戦してもとても追いつかない。お持ち帰りで丹念にばらし、材料や香辛料を推理してみたが、どうしても近づけない。
何から何まで超一流のレベルだ。確かうちの店を東京に出せたら行列の出來る店にするとご主人が云っていた。余程腕に自信があるのだろうし、私も間違いなくそうなるだろうと信じられる。
両面焼き餃子

皮に厚みがあって、カリッとしてふっくらして噛みこたえがある。これが小麦粉を主食とする食文化の理想だ。薄い皮でカリカリ感を主張するのは、少ない材料で数を出そうとする業者の知恵で、そう思い込ませて自分に有利な客を育て、ひきつける宣伝文句で、小麦粉を主食とする食べ方とは路線が違う。客が業者に踊らされている気がする。小麦粉を如何においしく飽きずに食べるか。横道に逸れず、小麦粉とガチで向き合うのが本道ではないか。ほんのりと甘い。おいしい理想の皮。
台所にホットケーキミックスの粉があったので、1対強力粉1、さらに薄力粉2を混ぜ合わせ、卵1個、塩少々、小ジョッキ7分目の水で溶いて、粉っぽいなと思いつつ丹念に体重を掛けて捏ねた。ボールの中で表面がしっとりするほどになってきたので片栗粉を表面に塗して冷蔵庫で寝かしておいた。
いつもより少し厚めの皮を作って餡を包み、焼き餃子にした。ホットケーキの粉が1/4入っているのでケーキの香ばしい香りがする。折角なので両面焼きにしてみた。裏返すとき蒸し焼きの水も加えた。全く想像外の食感だが、かなりいける。エミちゃんはこれ餃子形の肉まんじゃないんと云う。全く違う方向に赱ってしまったが、粉の種類や配合を変えると理想の感触の皮に近づける希望が見えてきた。最近は業務用の俎板を連結した手作り案板が食卓の上に出しっ放しになっている。腕抜きをしてエプロンをして床に粉を飛ばしながら毎日餃子に熱中している。

para1002n(ぱら仙人)
人気ブログランキング ←今押して!!

1