12次元制御の編隊飛行する自律飛行ミニヘリロボットのプレゼンテーションのことです。2月18日深夜のNHKで放映されていました。
飛び回るミニヘリを追いかけて等間隔を保ちながら与えられたノルマを熟(こな)しているのに、地上に貼り付いた人間の目からは確かに、我々と同じ空間での出來亊にしか見えないわけです。
異次元空間で楽器を演奏しているわけでも、異次元の世界でブロックの組み立てをしているわけでもないですし、4ヵ所それぞれのモーターの回転軸は固定されていて、制御するのは回転数だけです。椅子に固定されて三次元空間全体を見ている我々にはそのように見えます。ところが、動き回っている最中の自律飛行ロボットにしてみれば、それぞれが独立した3次元空間(左右の傾き、前後の傾き、飛行軌道の傾き)を認識して歪んだ12次元空間を飛行しています。ただ共通するのはプロペラの回転軸だけはいついかなる場合でも4カ所は平行だという点です。
パラグライダーで飛行しているときのイメージで云うと、通常はピッチング(ブランコのように前後に振動する)はなくて、水平飛行中も沈下率に沿って降下しています。下から上昇気流が來ると上昇気流の塊に向けてバンクを掛け、上昇気流の塊(沸騰する鍋の中の泡のイメージ)から外に出ないように回転していると気流に持ち上げられて上昇することができます。
着陸態勢は向かい風で行いますから、このとき、ブレーキをかけて降下している最中に突風(突然の上昇気流に突っ込んで)を受けたりすると、キャノピー(パラシュート)の抵抗の方が人間のよりも大きいので、慣性の法則で人間が前に出てキャノピーが後ろに取り残されます。このままなら別に問題はないのですが、すべてのラインがピンと張っているので前に放り出された人間がブランコのように揺れ戻ってきます。そうするとキャノピーは前のめりにピッチングして抵抗が少なくなるので急に降下速度が増し、人間が再び後ろに取り残されます。高度に余裕があれば、次の瞬間にまたブランコのように人間が前に揺り戻されて、キャノピーの傾きも風を大きく受ける角度になり抵抗値が大きくなって減速します。慣性の法則で今度は逆に人間が前に放り出され、ピッチング(前後のブランコ揺れ状態)に入ります。運よく人間が前に出ている際に着地できれば軟着陸ですが、人間が後方に遅れているときに接地すると激突大惨亊です。
姿勢制御、速度制御、加速度制御、飛行方向制御をパラグライダーならライン(パラシュートの布端とつないである紐)を引くことで操っています。ミニヘリロボットは4ヵ所すべて固定された回転軸のプロペラの回転数だけで行うわけです。お互いが動き回っているモーター同士のコントロールは回転数の違いだけなのに、絶えず動き回る曲面を滑らかに最短コースを探しながら飛行させるには、12次元空間の歪んだ局面を単純な形に読み替えて三次元空間(x,y,z座標、ミニヘリの姿勢制御)とその中に描かれるなめらかな曲面軌道(z上の進行方向角度、対象物との距離速度)という風になるらしいのです。プレゼンではそのような説明でした。
12次元データー(4つのプロペラに関する姿勢と軌道)を1秒間に300回計算し、最終的には各モーターの回転数だけに換算して1秒間に100回命令することで、上昇、下降、ホバリング、ローリング、ピッチングの動きを組み合わせて2回転宙返りとか背面飛行までやってのけるのですからすごいことです。
編隊飛行のプレゼンを見てから、私がふと思ったのは、平面の碁盤が立体だったらどうだろうという遊び心から、それぞれの面の5面打ちが合体すれば、一局になるのかなということです。
19路盤を4分割して10路盤4面では、天元から辺の星に掛けてのラインは通常の盤端とは定義が違ってきます。いっそのこと天元を中心にした9路盤を盤端のないもう1枚の碁盤に見立てて、周囲の四隅を切欠きのあるL字型変形10路盤にすれば、どうだろうか。
一手ずつ交互に打つルールなので、5面あっても常にアクティブ盤面はそのうちの1面だけ。他の4面は休止状態です。メモリーは消さずにすみます。決められたエリア内の打点が84ヵ所のありとあらゆる折衝をシュミレーションすることは、19路よりは格段に容易になるのではないか。座標も通し番号にすれば、5面あっても、従来の棋譜がそのまま読み込めます。
今までコンピューターの頭脳は1カ所という前提でソフト開発が進められてきたのですが、王のいない碁盤は1路増えるごとに飛躍的に手数が増えてしまいます。CPUが複数動かせるパソコンがあれば、これからの囲碁ソフトにできることが今までとは違ってくるかもしれないのです。
おそらくこういう囲碁ソフトはすでに開発されているはずです。ただ、市販のパソコンの能力がそこまで届いていない。囲碁ソフト開発はパソコンの能力向上を待っている状況ではないかと思うのです。
そうなれば(市販のパソコンが複数のCPUを自由に動かせるようになれば)、正確無比のヨセや、セキやコウ絡みの攻め合いをとことん精度を上げて追究する開発競争が活発になると期待できます。コウがらみのフリカワリ計算とか手抜き計算など、人間にしかできないと思われていた技が抜群の精度でコンピュータにできるようになれば、鬼に金棒の計算力を発揮できるようになるかもしれないのです。
19路盤の4分割、5面打はコンピュータ向きか (第2-8局)

上の画面は黒(天頂の囲碁3)の優勢局面が白(最強の囲碁2012)優勢に変わる87手目から100手目の攻防に何が起こっているのか形勢変化を示す銀星の囲碁13による解析画面です。
銀星の評価値は持碁がゼロでマイナスは白リードの地合い差を表示しています。
共通ファイルにしておけば、旧版天頂3対最強2012の対局でも、銀星で地合い形勢グラフにしたり、最強の評価点でコンピュータの着手を比較したり、次の一手の善し悪しを碁はへぼの私でも検討したり、分析したりの気分を味わうことができます。
天頂の囲碁の解析画面と次の一手候補 (第2-8局)

天頂の評価値はその局面からのシュミレーションの勝率を表示しています。次の一手候補は5手くらい表示されます。形勢ゲージは今黒優勢を示しています。白番で50を切っている数値は白の形勢不利を示しています。
最強の囲碁2012の解析画面 (第2-8局)
最強は解析が最も充実しています。候補手も20カ所。その検索回数がしっかり表示されるので、コンピュータが何を重視しているのか、何が手薄かよく解ります。検索回数の少ない手とか、検討から漏れている有力手を打つようにするとコンピュータはかなり困るようです。開発テストをするにはとても便利な機能です。天頂や銀星もここまでやってほしいです。ぜひお願いします。
最強2012が黒勝ちと解析した手が黒211 (第2-8局)
棋譜再生 黒旧版天頂の囲碁3 白最強の囲碁2012 初手天元戦打ち込み十番碁(第2-8局)
黒211に至るまでの双方の攻防はまだ十分検討できていません。あっちこっち盤面を飛び過ぎて難しすぎます。でも、なんとなく人間らしくない打ち回し(良くも悪くもコンピュータ碁らしい特徴が表れている)を感じ取っています。黒87から211に至るまでの過程を私がもっと詳しく解析できるようになると、面白いんだろうなという気はします。

para1002n(ぱら仙人)
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