コンピュータ囲碁ソフト置き碁総当たり戦は、広島場所5日目の結びの一番です。白番東の大関最強の囲碁CrazyStone優勝記念版に旧版の天頂の囲碁3が三子で挑戦します。
最強は今年3月17日(日)に東京電通大で行われたUEC杯コンピュータ囲碁大会で王者Zenを決勝戦で破って優勝したCrazyStoneというフランスの囲碁ソフトがベースになっています。その前日の予選ではZenに敗れていますから、実力伯仲かも知れません。
シノギを削ったZenは東京大学の囲碁ソフトで、Zenをベースにした市販ソフトが天頂の囲碁です。その時優勝したCrazyStoneをベースにした市販版が最強の囲碁です。新版の最強と天頂4の頂上決戦大関同士対決は千秋楽打ち止めの一番になる予定です。
CrazyStoneは石田九段が6段格かもしれないと認めた強さです。その時の大会仕様のソフトと、市販版とは全く別物です。実際の大会でも一勝一敗の成績で順序が違えばZenの方が優勝していたわけですから、本家本元の実力は紙一重かもしれません。
囲碁は強さだけではなく、ゲームである以上適度な速さも欠かせない条件です。
今度出す天頂のソフトは確実に最強よりも(一子?は)強くなければならないでしょうし、その上、思考時間もMAX状態30秒以内で最高の棋力を発揮しなければならないという課題は重すぎるでしょか。強さ、精確さを目指せば、長くなるのであれば、短くても強いソフトは、早い話、根本的なところから改良しなければならない訳です。そういう意味で、力の差がはっきりしてきたかなと思うわけです。元々囲碁ソフト界で先行していたのはCrazyStone(最強側)だったのを追いかけて逆転するには相当無理をしていろいろなものをそぎ落として捨てなければならなかったのかもしれません。
これからの天頂は、ソフトとしての便利さも盛り込みながら、思考時間短縮のさらなる課題に挑戦することでしょう。期待しています。
さて、話をこの対局に戻します。天頂の旧版と新版では一子の差としても、さすがに三子は最強にとってきついかもしれません。
最強の新規対局設定画面

最強は本当に強い囲碁ソフトで、思考過程もうかがえそうな対局分析表、CrazyStoneが推奨の最善手など、相手方の着手評価も自信の表れだと思います。
唯一残念なのがこの設定画面です。慣れてしまえば深く考えないで適応できますが、やっぱり変です。
対局者が「人対、コンピュータ」とか、「人対人」ならわかります。「対局相手」が「人対コンピュータ」と複数相手になるのはなぜなんですか。「対局相手」は自分が対局する相手だと普通思うでしょう。自分の対局相手が、「人対人」とか、「人対コンピュータ」は表現の仕方が変です。
白113では「あ」のカケツギか

黒112に這われた時、113の押さえは変です。六死八活ですが、サガリがあれば六本這っていると、「い」に抑えられても間に合うし、すでにもう二線を這っているのだから、わざわざ死ぬように打つ必要はない。
この黒114ハネの後でも、4子のダメづまりを捨てるつもりで、先に2本這えば、ツイで八活の格好になるのでそのまま捨てるよりはましな気がします。強いはずの最強がそう打たなかったにはそれなりの理由があって、その後のシュミレーションで勝てないことが分かっていたからなんでしょう。
置き碁なんですから、不利でもじっと我慢して打てるようになってほしいです。勝てないからと云って余計に形勢を損ねるような打ち方はがっかりです。
天頂は黒番も白番も三子はこの配置

天頂の欠点は三子の置き碁の配置と思考時間の長さです。思考時間の短縮は根本的な問題だから、解決は難しいですが、置石の配置はすぐできることです。一種の欠陥商品並みの認識があれば、バージョンアップ版で対応してもらえると、ありがたいです。
棋譜再生 第1回コンピュータ囲碁ソフト置き碁総当たり戦広島場所5日目第4局 白大関最強の囲碁CrazyStone優勝記念版対三子天頂の囲碁3 黒297手打ち切り黒36目勝ち 平均思考時間最強19.4秒/天頂44.6秒
次は黒の手番、コウを取って上辺も左上隅も白は全滅
もうこの辺りの手順は近似解シュミレーションの勝率で95%勝ちと評価している以上、まともな判断はできなくなっています。コウを取らずに先にコウ材を減らして終局に向かうのは、囲碁とは別の世界です。
できるだけ単純な形にして終局を迎えたいのがソフト製作者の考えなのでしょう。噂では、本当に半目を争っているときなら絶対細かいところまできっちりできると信じている人がいます。
本当にそうでしょうか、半目を争っているときは人間でも厳しいです。終局までの手順を一手も間違えずに正解を打ち続けなければなりません。手順前後でもダメだし、コウ材とダメの数も一手の価値に響いてきます。近似解のシュミレーションでそんなことができるでしょうか。
中盤のねじり合いで結構形勢が逆転したりするじゃないですか。絶対間違えないのなら、何目も一気にひっくり返りますか。それが終盤になって堅実に堅実にと緩めて打ってきた優勢側が、半目を絶対間違えないように打ち終われますか。都市伝説のような気がします。
やっぱりヨセにはヨセ専用のソフトが必要です。1目の出入りを形勢が優勢でも劣勢でも間違えずに打てるソフトがなければ、できないと思います。
次回は6日目の取組に入ります。旧版最強の囲碁2012に碁雷神が二子で立ち向かいます。お楽しみに。

para1002n(ぱら仙人)
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