後山グリーンライン(広島県福山市)はサイクリングコースとして観光の目玉商品になりうるか。その為の環境整備も進められている。景観は西半分(鞆寄り)が絶景。東半分は両サイドが山の斜面と雑木林で、天井のないトンネル(切通し)状態。福山側から上がって行っても、延々と上り坂が続く両壁の間を進んだ先に、芦田川河口、福山市街地と反対側の芦田川上流方向が見晴らせるポイントが二カ所。
因島の海軍ラインとか、鞆のグリーンラインとか、たぶん、なになにラインは車で走るのが楽でいい。最近になって急にサイクリングを注目し始めたが、もともとドライブコースなのだ。
昔のドライブは車で景色のいいところを赱って、ちょっと立ち寄って憩えるベンチがあればそれでよかったが、只、車で走るだけでは経済効果は上がらない。グルメブームとか、客寄せのイベントとかイルミネーションで派手に盛り上げて、財布のひもを緩め、より効率よく、より多く、カネの流れが加速する方向に世の中が向かっている。
何もない、静かな景色だけのドライブコースには人が寄り付かなくなっていた。さびれたドライブコースを何とか活用しようと自転車に眼を付けたが、車で走るコースを自転車で走るのは所詮無理がある。よほどの脚力と、軽量化された山登り用の自転車と、ストイックなトレーニング精神がないと山道はつらい。
電動アシスト自転車なら坂道でも大丈夫楽しめると思って行ってみた。結論から云うと、電動アシストでもきつかった。4kmの長距離坂道。延々4kmも上り坂が続くサイクリングコースなんぞそうざらにあるものじゃない。
グリーンライン自転車コースの入り口は三カ所ある。東は福山側。競馬場跡地のところから芦田川に架かっている水呑大橋を渡って、沼隈方面へ。峠の頂上で左折。ここがグリーンラインの入り口。目の前に廃業したホテルがある。商売が成り立たないということが交通量の少なさを物語る。
(2)(3)福山側からグリーンラインをマウンティンバイクで上がってくる中国の青年に出会った。
車の塗装技術を研修している廖くん。2年目になると云っていた。帰りにもまた出会ったので、鞆側には降りずにファミリーパークや展望台で休憩して折り返したのかもしれない。

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(4)(5)(6)私は車で後山公園の駐車場(福山側から11km地点、鞆側小室浜の出口まで4km)まで行って、電動アシストママチャリで一気に3キロの下り坂を平まで降りて鞆の浦を通り、(7)鞆鉄バス車庫の先のグリーンライン登り口までバッテリーを使わず2速で走った。

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西側は鞆町平(正式には後地だが、鞆は至るところすべてが後地なのでこの呼び方は無意味。)、小室浜トンネル側から3.5kmで後山公園駐車場がある。
海岸から山の稜線まで一気に登るので平側や福山側の4kmの上り坂よりは若干距離は短い。麓からフル充電状態で出発。勾配の緩いところは3速。九十九折のヘアピンできつい勾配のところは2速に落として上がったが、楽なのは最初の内だけで、中腹を過ぎて残り1/3くらいになるとかなりきつかった。
動画などですいすい楽そうに上がっているのを見るといかにも電動アシストは楽チンと思ってしまうが、実際には負荷がかかっているので、だんだんダメージが溜まっていくのを感じる。短い直線の坂道を上がるのはすぐ頂上なので訳はないが、延々とゴールのない坂道をいつまでも漕いでいると力尽きてくる。やっぱりきつい。
(7)(8)(9)麓から稜線(グリーンライン)に到達するまでにバッテリーゲージは40%へった。グリーンラインの本線に入ってもアップダウンがあるので、(10)公園の車のところまで到着するのに45パーセントの電池を消費した。

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国立公園内は木の伐採ができないが、眺望を確保するように鞆の浦側の木がかなり伐ってあった。せっかく整備しても、自然に生えてきて背が高くなるので、何年かおきにいろいろなものを切らなければならない。斜面の際の芝生はイノシシがミミズを探して掘り返して畑を耕したように土がひっくり返っている。
人間は手を加えてはいけないが、イノシシが破壊するのは法の網も届かない。イノシシを利用して、イノシシの仕業とか、イノシシ対策にかこつけて見晴らしをよくするようについでに伐採したり、刈り込んだりいろいろ工夫を凝らして観光のための眺望を確保する手が考えられる。
良かれと思ってやっていることが実は法に触れることだったりはよくあるパターンだ。基本的には石も土も植物も移動はできない建て前になっている。落ち葉や落石、土砂の清掃から草刈り、枝払い、伐採は、自然にエスカレートしやすい作業だが、国立公園内でどこまでがやっていい整備なのか。線引きがあいまいだと何もできなくて荒れ放題になる。後で持ち込まれたごみの撤去と景観を確保するために整備された後で伸びた草丈、木丈は、定期的に整備を続けていないと荒れ放題になりやすい。
山の稜線近くをグリーンラインが通っている。下から見上げると、とてもあそこまで自転車に乗って上がる気が起こらない。それでも電動アシストなら何とか希望はある。ちょっとしんどいけれど途中で写真を撮る振りをして海の景色を眺めて休憩を入れながらなら可能だ。

para1002n(ぱら仙人)
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