これは純粋に、市井の一ファンの憶測ですが。
脚本家・千束北男さんこと飯島監督は、「昔ながらのバルタン像」を
後生大事に守り抜くという事にはあまり固執しておられないのと同時に、
かつて他ならぬご自身の脚本において
「20億のバルタン星人を全滅」させてしまった事に対してこそ
未だ忸怩たる後悔のお気持ちを抱き続けておられたのではないでしょうか?
だからこそ、たとえ徹底した悪役としてのバルタン星人像を覆すことになろうとも、
あるいはストーリーが色々と破綻をきたすことにもなろうとも、
あの「希望溢れるメルヘンチックなクロージング」というのは
飯島監督の中ではむしろ必然だったのだろうな、と思うのです――
「ウルトラマンコスモス」しかり、そしてこの度の「マックス」しかり。
これにつきましては何となく、かつて作中の蛙と山椒魚への暖かい同情心から
ご自身の代表作「山椒魚」の結末部分などを大胆に加筆・削除・改変してしまったという
故・井伏鱒二氏のエピソードがオーバーラップして感じられたりなどもして・・・
むしろそういう「おおらかで優しい視点」を持っていらっしゃる方が
「ウルトラ」の基本フォーマットを一番最初に敷いて下さったということ、
そしてその「おおらかな優しさ」を、現代のウルトラに呼び戻して下さった、という点で、
今回の「ウルトラマンマックス」、バルタン星人前後編は
物語的な破綻などを差し引いてもなお、自分にとってはとても愛おしいお話なのです。
飯島監督、「良いお話」をありがとうございました。ぺこり。

0