……といっても、46年度カンヌ国際映画祭グランプリを受賞した
ロベルト・ロッセリーニ監督の映画ではございませんです(笑)。
去る1992年、円谷プロの創立三十周年記念盤として発売された
「TSUBURAYA PRODUCTION
HISISTORY OF MUSIC」という15枚組のCD全集、
通称「円谷15枚組」という夢のようなCDが発売されまして……
そのCDにおきましてめでたく初収録となった
「帰ってきたウルトラマン」第49話「地球頂きます!」における
いわゆる“ヤメタランス病のテーマ”に与えられた収録タイトルこそ
この「無防備都市」であった、というわけなのです。
う〜ん、長い前振りでしたねェ(笑)。
「帰ってきたウルトラマン」の劇中音楽の中におきまして、
いわゆる「ウルトラシリーズ」以外で作曲担当・冬木透氏が手がけられた
一般のドラマ作品からの楽曲流用というケースが多い、というのは
既によく知られている事実ですが……
それら流用音楽の中におきましても、画面や物語とのマッチングにおいて
ひときわ高い効果をあげていた、という点におきましては
この「無防備都市」は間違いなくその五指に入るものだと思います。
やや調子っぱずれのコミカルなサウンド――実はこれの出自は。
TBSドラマ「おかあさん」の中のワンエピソード「生きる」のために
かつて冬木透氏が書き下ろした楽曲、なのだそうです。
なお、この曲に関しましては、「生きる」演出担当の実相寺昭雄氏が
ご自身のエッセイにおきましてコメントを寄せられておりますので――
ちょっとそのあたり、抜粋してご紹介させて頂きますね。
「(前略)この喜劇に合せて、ジンタ風の音楽をつけようと思い、
作曲を冬木透さんにお願いした。
そして、集まった演奏者の方々に、
わざとぶっつけの初見で演奏して頂いた。
テンポが外れたり、出鱈目な演奏となり、ひどく良い効果だったと思う。
「もっと上手い演奏家は集められないの?」
と部長が言った。
「番組の制作費が足りないんですよ」と答えると、
「そうか」と部長も納得していた。安い予算内で処理している
ことを匂わせると、部長は納得するものだ。」
(「私のテレビジョン年賦」より抜粋)
なーるほど、この曲の独特の面白さの秘訣は
こんなところにあったのか……
……と、部長さんのみならずワタクシも膝を打って納得です(笑)。
冬木先生、実相寺監督、グッジョブ!!

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