“(前略)午後、円谷プロの金城哲夫氏、TBSの瀬口氏と一緒に見える。
TBSの「泣いてたまるか」という番組、いつも渥美清の出る番組だが、
今度、青島幸男と一週交代でやるんだそうで、怪獣の出る話があるという、
青島が縫いぐるみの怪獣の中に入るんで、それを作ってほしいとのこと。
製作は、TBSと松竹テレビ室なので怪獣作りを正式には円谷プロに頼めないので、
金城氏を通じて個人的にお願いに来たとのこと。
デザインは成田氏。ガラモンととレッドキングをミックスしたような
子供の可愛い怪獣。名前は“ナキラ”というそうだ”
“(前略)夜、9時すぎになってTBSの瀬口氏、松竹の山内プロデューサーたちと一緒に
青島幸男氏、仮り縫いに来る。
赤と白のオープンシャツを着た青島氏、真面目でおとなしそうな男。
“ざまあみやがれ”という彼の著書にサインを頼むと照れた様で
「本より映画を見てほしい」と言ふ。
私の仕事場が気に入ったらしく、アトリエであっちこっち見まわし
絵の説明をしてやる”
(以上、故・高山良策氏の日記より抜粋)

「スーダラ節」をはじめとする数多くの名曲を残した作詞家としての青島さん、
あまりに有名な「シャボン玉ホリデー」などの放送作家としての青島さん、
ワイドショーの司会やコメンテイターとしての青島さん、都知事の青島さん……
とても一言では語りつくせないほどの数多くの顔、そして才能を有していた方でしたが、
私の世代にとりましては、やはり「意地悪ばあさん」をはじめとして、
独特の軽妙な味をかもし出していた「喜劇役者」としての青島さんが忘れられません。
軽妙・洒脱で、気さくでありながらどこか斜に構えたところがあって、
そして何よりもパワフルで――
草創期からの「TV文化」というものを体現してみせた偉大なる先人、
それがまさに青島幸男さんという方だった、と思います。
謹んでご冥福をお祈り致します。
合掌。

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