人それぞれに、お好きな食べ物、あるいは嫌いな食べ物など
様々におありのこととは思いますが……
食いしん坊で意地汚くて、基本的に何でも食べる私のような者でも
やはり「そういう食べ物」はございます。
まさにそれこそ
“ざるそば”なのですよ、私にとっては。
根っからの「そば好き、蕎麦っ食い」を自認してやまない私ですが……
いえ、そんな私なればこそ、あのざるそばなる存在はどうにも許せないッ。
「嫌い」と言うより、許せない(笑)!
何が「許せない」かと言いますと、ひとえにあの「刻み海苔」。
具材やスープの風味の強さに負けない、強い味わいの中華麺ですとか
それを味わう上で「麺そのものの香り」があまり前面に出て行かない
うどんやパスタ、ビーフンなどと違いまして……
蕎麦粉のすうっと胸のすくような、爽やかにしてかそけき、馥郁たる
「麺そのものの香り」が味わいの魅力という点でかなりの部分を占める蕎麦、
とりわけ最もシンプルで、それゆえにごまかしのきかない「冷たいつけ蕎麦」にとっては
上にパラパラと散らされた刻み海苔の「磯の香り」でさえもが、
蕎麦の香りを楽しむ上での致命傷になる――と、思うのですよ、私。
と言うより、アレはぶっちゃけ
邪魔(笑)!
「上等な料理にハチミツをぶちまけるがごとき所業」とは、
板垣恵介先生の「グラップラー刃牙」における名台詞のひとつですが……
さいとうひとし的にはむしろ、上記の理由によりまして
「よかれと思って一手間かけて、却って物事を台無しにしてしまう余計なお世話」のことを
「
蕎麦屋の品書きの“ざるそば”がごとき所業」と申し上げたいところです。
あぁ、ホントにもう!
くたばっちまえ、ざるそば(爆笑)!

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