今を去ること約20年前(!)の、1991年……
当時の「ウルトラマン生誕25周年」を記念して、かつてのブルマァク製ソフビが
バンダイから再版されていた一時期がありました。

現行の「ウルトラ怪獣シリーズ」と、過去に一時代を築いたブルマァク・ソフビが
一緒に肩を並べて、同じ玩具売り場で売られていた「あの頃」。
……今や「レトロタイプソフビ」の名のもとに、ブルマァク・ソフビが完全に
一部愛好家だけのものとなって久しい現状からみますと、それは何とも言えない
夢のような……って、しつこくも使い回し口上でスタート(笑)。

さて、そんな「1991年再販組」の中から、また新たに入手致しましたのは
ウルトラ宇宙人業界の大物、悪質宇宙人“
メフィラス星人”です。

でっぷりしたプロポーションこそ、現在の目で見ると牧歌的に思えるものの……
未知の知性と美学を湛えた悪魔的な表情や、両足の切子模様的なディティール再現、
全身によった皺表現のモールドなどには、最初期は抱き人形の延長線上にあった
マルサン製ソフビ怪獣が、じょじょに「よりTV・映画の怪獣イメージに近い」
忠実な造形再現へと舵を切った時期ならではの“マルサン流リアリズム”への
大いなる傾倒が如実に見て取れる好アイテム。

この“マルサン流リアリズム”は、『キャプテンウルトラ』のソフビリリースを経て
更に磨きがかかり、社名変更後のK・Kマルザンにおける『ウルトラセブン』での
ゴドラ星人、メトロン星人、イカルス星人、キングジョーといった、よりリアルな
傑作ソフビの数々に結実するわけですが……残念ながらこのK・Kマルザンは
1968年、怪獣ブームの終焉とともに倒産の憂き目を見てしまったということは
玩具ファンの皆様も既にご承知おきの通りです。

もしも1968年以降もマルサン商店(K・Kマルザン)が倒産することなしに
存続し続けたならば、この時期たしかに成熟しつつあった、怪獣ソフビにおける
“マルサン流リアリズム”の系譜は、いかなる発展を遂げていたことか……
そんな歴史の「if」に思いを馳せつつ、ソフビを弄ぶのもまた楽しいものです。

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