日曜朝のお楽しみ、『
海賊戦隊ゴーカイジャー』……
今週放送分の第40話は、20世紀に放映された最後の戦隊として活躍してくれた
2000年放映の『未来戦隊タイムレンジャー』より、タイムイエロー・ドモン役を演じた
和泉宗兵(当時・小泉朋英)氏をゲストに迎えての一本でした。

「戦隊」を構成するメンバー五人のうち、四人までが30世紀・未来の地球から
千年の時を越えてやって来た未来人である――という、基本設定や立ち位置の
他に類例のない特殊性から、ある意味ではブラックコンドル・結城凱以上に
作中での扱いがデリケートにならざるを得ないタイムレンジャーたち……
そんな設定面でのハードルの高さゆえ、後輩戦隊との映像における共演劇でも
一歩引いて、曖昧な形にならざるを得なかった彼らなのですが、ここにきて遂に
“あのタイムレンジャーたちのその後”が、現役戦隊であるゴーカイとの絡みで
正式に映像作品中で語られる、というこの喜び!
本放送当時からのファンであれば、嬉しさもひとしおでありましょう。
そして、31世紀から届いたドモンの映像レターで幕を開けたこの40話は
「時間移動」という、タイムレンジャーならではの設定を縦横に生かす形で
単なるファンサービスとばかり思われていた映画『ゴセイVSシンケン』での
ゴーカイジャー初顔見せのシーンに公式設定の裏づけと整合性を与えて
なおかつ“行きがけの駄賃”的に軽く一掃されてしまう骨のシタリ&外道衆や
ゴーカイジャーとマトロイド・ザンKT0との対決におけるデータが、結果として
この後のザンKTシリーズにおける装甲強化を促し、護星天使の皆さんたちが
しなくていい苦労をさせられる羽目になる(笑)など、宇宙海賊どもならではの
無軌道一歩手前なフリーダムぶり(笑)もアピールして、硬軟織り交ぜた
バラエティ豊かな趣向で楽しませてくれました。

とまぁ、劇中ではいろいろありましたものの……
当初の目的である寝隠神社の防衛をしっかり果たし、その中に安置されていた
ニンジャマンの壺(ですよね? アレはッ!)をも守りきる形となって、次以降の
ゲスト出演者や物語展開への期待を膨らませてくれた『ゴーカイジャー』。
と、ここまで書くと、単なる“ワルズ・ギル退場”後のインターバル回のようであり
事実、シリーズ構成的にはそんな位置づけなのでしょうが、そんな自由度の高い
「箸休め回」だからこそ、ここぞとばかりに戦隊ファンの琴線に触れるネタの数々を
惜しみなく注ぎこんでくるあたりは、戦隊愛に溢れたスタッフたちの情熱が支える
『ゴーカイジャー』ならではの大いなる美点。

この回のラストでも、1000年の時を超えて愛を育み、今はそれぞれの時代で
それぞれの「現代」を生きているドモンとフリーカメラマン・森村ホナミ、そして
『タイムレンジャー』最終回における、ドモンとホナミの子である森村未来くんの
「各々の10年」を経て成長した姿とを、たった一枚の記念写真で見事に結びつけ
ドモンの、そして視聴者の涙を誘ってくれました――
過剰すぎる説明台詞を廃した、『タイムレンジャー』ならではのアダルトな演出は
一面では現役の視聴者おいてきぼり、というご批判の声もあるかもしれませんが
そこはそれ、お祭り企画ならではの趣向ということで許容範囲のうちかと。
それにしても、『タイム』と『クウガ』が現役ヒーローだった2000年……
ともに、それまでの子ども番組の枠に囚われすぎることのない上向きの製作姿勢が
いかに「変身ヒーロー番組」というものの社会的認知度を高め、現在にまで至る
特撮ヒーローの市民権確立に貢献してくれたかを思う時、2000年当時における
彼らの、そして全スタッフ・キャスト陣の「戦い」に対して、市井の一ファンとして
心からの最敬礼を捧げずにはいられません(しみじみ)。
“なンだよ……
俺に似て、ハンサムじゃねェか……”
(『海賊戦隊ゴーカイジャー』第40話より、ドモンの台詞)

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