“歴史と伝統のある武芸……
乙女のたしなみ、戦車道!”

……などという、明らかに頭のおかs……いやいや(汗)、余りにも素っ頓狂な
世界観の大前提で多くのファンを面食らわせ、どんなゲテモノが出てくるかと
半信半疑のうちに放送開始された『
ガールズ&パンツァー』が、こんなに清々しく
爽やかな感動とともに堂々の大団円を迎えようとは、その人気の加熱振りともども
放映開始当初の昨年秋には、とうてい予想だにしえない出来事でした。

そして予想外と言えば『ガルパン』は、作画・演出その他において費やされる
手間隙のカロリー量から、週一回放映のTVアニメでは敬遠されがちだった
「戦車」というモチーフに真っ向から挑んだ結果、スケジュールが圧迫されて
本来ならば年末オンエア予定だった最終11〜12話の本放映が、3月の下旬まで
大きくズレこむ、という前代未聞の珍事でも話題を集めた作品でした。

で、BS11組のワタクシめもようやく、最終回を見ることが叶いまして……
本来なら許されざる「放映スケジュールの遅延」という不祥事を払拭して余りある
素晴らしい完成度の最終2話分に心から拍手を贈り、また同時に↑のような事態に
陥らずに済んで本当によかった、と胸を撫で下ろしているトコロです(笑)。

それまで類例のなかった「戦車がメインを張って大活躍するTVアニメ作品」という
新たな地平を見事に切り開いて見せたCGグラフィック陣の奮闘や、作中における
「戦車道」を、決して血生臭いミリタリズムの影を感じさせることなく提示してみせた
設定面での匙加減の絶妙さ、そして必要最低限の簡潔な描写と台詞量にも関わらず
「メインメンバーだけでも30人以上」という大所帯のキャラ群を、ゲストまで含めて
まさに「活写」して、それらの一人一人をこの上なく愛おしい、輝かしい存在として
視聴者に実感させてくれた脚本・吉田玲子氏と監督・水島努氏の、長いキャリアの中で
培われた経験値に裏打ちされた技量の非凡さと、それ以上に仕事振りの誠実さが
何より際立った作品となった『ガルパン』。
その清々しい「一試合完全燃焼」ぶりゆえ、このキャラクターたちを前提とした
今後の続編製作は、ちょっと難しいかもしれませんが……
もちろんそうなったらなったで、諸手を広げて歓迎する用意は既に出来ています(笑)。

このおかしな世界観の中での「なすべきこと、やらねばならないこと」を突き詰めて
目指すべきゴールへ辿りついた『ガルパン』は、本当に楽しくて終始気持ちのよい
久々に「見続けてよかった」と素直に思えるTVプログラムでした。
全てのスタッフ・キャストの皆さん、素晴らしい作品を有難うございました――
「プロのお仕事」って本当にステキです。

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