昨年末あたりより、ぼちぼちと蕎麦打ちの真似事などしてみるようになってみて
普段なにげなく手繰っていた蕎麦の一本一本に、どれだけの技術と繊細な神経が
惜しみなく注がれているかが改めてよく分かった気が致します。

で、そうなりますと……
「研究」と称し、あちこち美味しい蕎麦を食べ歩きたくなるのも自明の理(笑)。
このたび――と言っても昨年末になりますが――足を運んでみたのはこちら、
道内でも有数の古い歴史を誇る街・伊達市の名店「
そば順」さんです。

今回注文したのが、こちらの「たこ天丼そばセット(ざる)」。
折角の美しいもり蕎麦に海苔なんぞがかかっているのは、個人的にアレですが
なんせ(もり)がなかったのですから仕方ありません、妥協しました(苦笑)。
と、いきなりくさすような形になってしまいましたが、いざ蕎麦が運ばれてきて
つるつるっと啜り込みますと……いや、とんでもなく旨かった!
香り・喉越し・歯応えの三位一体でもたらされる心地よさの口福三重奏たるや
ワタクシなんぞの素人蕎麦とは比較にさえなりません(笑・当たり前だ)。
そして、そんな出来の良い蕎麦に勝るとも劣らぬほどに旨かったのはと言えば
こちらの「たこ天」!!

質の良い昆布やホタテをはじめ、ボタンエビ、ゴッコ、タコ、ホッキ貝などなど
さまざまな魚介の恵みには事欠かない噴火湾に面するここ・伊達市においての
蕎麦屋の定番メニューと言えばタコの天ぷら、通称「たこ天」。
そして伊達市の蕎麦屋さんにおける「たこ天」メニューの元祖的な存在こそが
1921(大正10)年の創業以来、伊達の地において一貫して「たこ天そば」を
メインメニューに据え、人気を博してきた「そば順」さんなのです。

肉厚の噴火湾産マダコの、通称「頭」と呼ばれている胴体部分を一口大に切り、
かき揚げにしたものが伊達名物・たこ天。
コリコリ、プリプリと心地よい歯応えは、身が硬くならないぎりぎりの所を見切る
ご店主の「巧みの技」に裏打ちされ、噛み締めるたびににじみ出る濃厚な旨味が
サクサクの衣やゴマ油の風味・タレの味わいなどと相まって、天丼は勿論のこと
温かい蕎麦とも、冷たい蕎麦とも抜群すぎるほどの相性なのです。
伊達へおいでになった際には、是非とも「たこ天」召し上がってみて下さい。
「コレを食べずに帰れない」というワタクシの言葉の正しさをご理解頂けるでしょうし
同時にまた、再度の伊達訪問を誓っているご自身にも気付かれるはずです(笑)。
●そば順 伊達本店
北海道伊達市旭町23-3
(営業時間)11:00〜19:00
ランチ営業、日曜営業
(定休日) 元日
(TEL) 0142-23-2263

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