遊びをせんとや生まれけり

超能力を得たヒーローゆえの孤独と悲哀、やるせなさ……
従来のヒーロー番組では味付け程度に触れられていたこれらを
真っ向から踏み込んだ形で描写して見せてしまった、そのあまりに
生々しくも泥臭い作風によって、リアルタイム視聴世代を中心に
少なからぬ衝撃を与えた、ある意味ではピープロ・タッチの粋。

そんな異色作、1973年放映『鉄人タイガーセブン』のOP主題歌、
ヒットメーカー・菊池俊輔氏の“菊池節”が例によって冴える名曲を
今夜は敢えてのインスト版にてご紹介。

そう――
第１７・１８話のVS地震原人戦、そして最終話、水牛原人と
ムー帝国戦闘員、そしてムー大帝の脳髄と一体化することで
自らが帝国の真の支配者になったと豪語するギル太子との
最終決戦に臨むタイガーセブンの雄姿を熱く鼓舞してくれたのは
他でもない、この主題歌メロオケだったのです。

より高年齢層の視聴者層をもターゲットとして睨み、
「シャープで硬質なドラマ」を当時最優秀の特撮スタッフによる
特撮映像の説得力と、渋いキャスティングにより
積極的に創出していこうとしたものの、その本放送期間が
百花繚乱･群雄割拠の「変身ブーム」期であったため、
望むと望まざるに関わらずライバル作品との競合を
強く意識させられ、大きな路線変更を余儀なくされた『ミラーマン』。

しかしながらその数々の魅力的なエッセンスと
本作ならではのオリジナリティは今もなお多くのファンから
根強い支持を受け、同時に新たなファンをも獲得して
円谷特撮ヒーロー史の中に燦然と輝き続けています――

そんな『ミラーマン』を彩った音楽世界から、今夜はこの一曲。

主人公の鑑京太郎が「見上げる存在」として、そのメンバーに
渋い演技派のアダルトなキャスティングを配したことによって
円谷防衛チームの中でも屈指の「いぶし銀」な存在感を獲得し
『ミラーマン』の硬質な世界観醸成にも一役買ってくれた
サイエンス・ガード・メンバーズのテーマ……

オリジナル・カラオケに楽器メロを乗せた所謂「メロオケ」版は
劇中でも幾度となく多用され、印象深いナンバーです。

https://mainichi.jp/articles/20210428/k00/00m/040/155000c
アニメ「ドラえもん」やドラマ「暴れん坊将軍」など、
　人気テレビシリーズのテーマソングやBGMを手がけた
　作曲家の菊池俊輔（きくち・しゅんすけ）さんが
　24日、誤嚥（ごえん）性肺炎のため亡くなった。89歳。
　葬儀は親族で営んだ。喪主は長男竜輔（りょうすけ）さん。

　「ドラえもん」のテーマ曲「ドラえもんのうた」や
　特撮番組「仮面ライダー」、
　刑事ドラマ「Gメン'75」などの主題歌を作曲。
　映画では「昭和残俠伝」シリーズや、「女囚701号　さそり」の
　主題歌「怨み節」も作曲してヒットした。
　他にアニメ「タイガーマスク」「ドカベン」などのテーマ曲も作曲した。

楽しさ、優しさ、あったかさ、ハラハラドキドキのスリルとサスペンス、
身の毛もよだつ恐怖、哀愁、そして正義のカタルシスと高揚感……。

もはや「どの作品のどれ」と言うレベルでは無く、
大好きなテレビの中にはいつも貴方の音楽が溢れていました。
そんな中で育てたことを、心より嬉しく思います――

菊池俊輔さん、長い間本当にお疲れ様でした。
そして、ありがとうございます。どうか安らかに。

1987年当時の最新の科学知識を元に、じっくりと腰を据えた
丁寧な取材と、それに基づくしっかりとした番組構成……
そして、その折々に挿入される新撮影の特撮カットの魅力で
科学番組ながらも「お固く」なりすぎない構成の妙味を醸し出し
好評を博した『ＮＨＫ特集　地球大紀行』。

そう！
この当時は未だ「ＮＨＫスペシャル」じゃなかったんですよ。
懐かしいですねェ、それも含めて（笑）。

一年間じっくりと腰を据え、地球誕生から進化のプロセスなどを
わかりやすく視聴者に伝えてくれた番組のＯＰテーマが本曲。

シンセの持ち味を最大限に生かし、豊かな世界観の広がりを
見事に表現してくれた、吉川洋一郎氏の素晴らしい仕事です。

“たったひとつの命を捨てて
　生まれ変わった不死身の身体
　鉄の悪魔を叩いて砕く
　キャシャーンがやらねば――誰がやる！”
（『新造人間キャシャーン』オープニング・ナレーション）

７０年代の“終末ブーム”の機運を色濃く反映し、自らの作り出したロボットに
人間たちが支配され、迫害を受ける……という、重苦しく悲痛なトーンが
物語の基調となっていたテレビアニメ『新造人間キャシャーン』。

あまりにも孤独、あまりにも悲壮な戦いを続けるキャシャーンの雄姿を
熱く彩るサウンドは、しかし雄渾にして華麗そのものでした――

この傑作挿入歌もまた、血沸き肉躍る「菊池節」の真骨頂です！

“これは
　さだ　まさしの　レコードです。”

敬愛してやまないアーティスト、「まっさん」ことさだまさし氏の
１０枚目のオリジナル・アルバムにして、ジャケット・デザインの
あまりに「らしからぬ」カッコいい仕上がりから、LPレコードには
わざわざ上記の断り書きのシールが貼りつけられていた、という
まっさん流の洒落っ気が印象深い……

そして僕が初めて、自分の意志と小遣いにて自発的に購入した
まっさんのレコードであると言う点で、二重に思い出深く大切な
「ADVANTAGE」と言う一枚の音盤。

何度も何度も何百回以上も、レコードの溝が擦り切れるくらいまで
繰り返して聞き、浸ったこのアルバムから、今夜はこの曲を……。

白い天馬にまたがって、王者の剣を振りかざし……
戦乱の荒野を駆け抜け、日本征服の野望に燃えて襲い来る
大魔王ゴ―スンの黒使者たちをバッタバッタと斬り倒す
正義と真実の人、その名も人呼んで“快傑ライオン丸”！
拙ブログのお客さま方にはもはや説明不要、１９７２年放映の
ピープロ作品屈指の大ヒット作にして人気作。
そんな『快傑ライオン丸』の大傑作主題歌を、今夜は敢えて
ヴォーカルの代わりにトランペットが雄々しく鳴り響く
メロオケ・バージョンにてご紹介――

第２４話、怪人トビムサシ戦でのクライマックスにおける
緊迫感横溢の挿入例が特に印象的なナンバーです。

“奴の技は素早くなっている。
　下手に飛びあがったら、負けてしまう……！”
（『快傑ライオン丸』第２４話
　「ライオン飛行斬り対怪人トビムサシ」より、ライオン丸の台詞）

電気グルーヴの石野卓球氏プロデュースによるキレキレの編曲、
「シノラー」こと篠原ともえ氏の奇天烈なテンションの歌唱、
それらに負けじと突っ走るOP作画など、諸々の要素が相まって
視聴者に強烈な印象を残し、セールス面でも大ヒットを記録した
TVアニメ『こどものおもちゃ』後期オープニング・テーマ。

去る２日の猛吹雪の影響で、高校入試の日程がずれこむという
前代未聞の事態になったものの、受験生の皆様におかれましては
どうぞペースを乱されず、平常心で臨んで下さいますようにとの
願いをこめて……と、半ば強引にかこつけまして（苦笑）。

通常は歌の陰に隠れている楽器編成と
その音色をしっかり聞き取れてきめ細かく味わえる、と言う点で
楽曲のカラオケ版を、敢えて「観賞用」として楽しむというのも
それはそれで、またおつなもの。

と言う前置きのもとに、今夜ご紹介するのは本曲……
もはや説明不要の大人気作、『ベルサイユのばら』TVアニメ版の
大傑作主題歌、そのオフ・ヴォーカル版であります。

激動の時代の中を、情熱と苦悩の炎と共に熱く激しく駆け抜けた
幾多の人生、幾多の青春、その一瞬に迸るものの眩さ。
そんな原作漫画の、絢爛豪華にしてあまりにも鮮烈な世界観を
見事に表現しきった編曲の妙味は、カラオケ版で味わうことで
そこに込められた「技」に、新たな感動を覚えること必至です。

1975年にリリースされた、小柳ルミ子氏・１５枚目のシングルである
「ひと雨くれば」のＢ面カップリング曲……

そして、その作詞・作曲を担当しているのは、僕が個人的に
尊敬してやまないシンガーソングライター、「まっさん」こと
さだまさし氏であります。

後にこのナンバーのメインメロディをほぼそのまま転用する形で
新たな歌詞がつき、グレープ解散後のまっさん初のソロアルバム
「帰去来」収録の「多情仏心」として生まれ変わったというのは
マサシストにはもはや説明不要でありましょう。

宇宙の彼方、遥かアンドロメダ星雲からやってきた正義の騎士……
鋼にも勝る強靭な肉体と、強力無比・百発百中のエロルヤ光線銃で
宇宙に、海に、地底に敵なし！
世紀の英雄、我らがナショナルキッド！

来たるべき電化時代を象徴する科学の英雄として、それまでにない
優れた特撮技術を駆使して映像化が成され、その中でも特に
「ワンショット・プロセス」と呼ばれる合成技法で表現された
ヒーローの飛行シーンのリアルさは、時代を経た今でもなお
ファンの語り草である、1960年放映の『ナショナルキッド』。

そんな伝説的特撮ヒーロー番組の開幕を彩った、傑作主題歌をば
今夜は敢えてオリジナル版ではなく。１９８０年代前半に勃興した
“懐かしものブーム”の流れでリリースされた混載版レコード収録の
「ユピテルレコード・カバー版」にてご紹介。

録音の時代が進んでいるがゆえに、オリジナル版より軽快さを増し
より洗練された音質もさることながら……
このユピテル盤は、何と言っても三番の歌詞が聞きどころ！

是非是非、当時のオリジナル版と比較の上でお楽しみ下さい（笑）。

“余の帝国と軍団に、栄えあれ”
（『超人機メタルダー』第１話より、帝王ゴッドネロスの台詞）

志半ばの路線変更が未だに惜しまれるものの、名作として名高い
本作にかけるスタッフ陣の意気込みは……
横山菁児氏・作曲、 新日本フィルハーモニー交響楽団・演奏の
重厚で格調高い劇中音楽からも如実に伺い知ることができます。

そんな『メタルダー』劇伴の中でも、特に印象的な本曲……
３０体超の怪人たちが新造スーツでずらりと勢ぞろいしてしまう
圧倒的なビジュアル・インパクトに負けぬ説得力で、敵組織たる
世紀末の悪・ネロス帝国のスケール感を見事に表現しきった
「悪側テーマ」としても屈指の傑作曲です。

かつてない「合体ヒーロー・ロボット」と言うコンセプトを確立し、
本邦ロボットアニメ史上に燦然と輝くパイオニアとなった人気作……

拙ブログのお客さま方には、もはや説明不要の『ゲッターロボ』。
その疾走感あふれる大傑作主題歌を、歌入りバージョンではなく
今夜は敢えてカラオケ版にてご紹介です。

通常は歌の陰に隠れている楽器編成とその音色をしっかり聞き取れて
きめ細かく味わえる「観賞用としての」カラオケの良さ、というのも
確かにあるよなァ、とサントラ者としては切に思うのです（微笑）。