2010/7/5

「内容の無い音楽会」をいまさら10倍とは言わないけど2倍くらい楽しむための補足 その1  
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えー、おかげさまで無事再発となりまして。
お買い上げいただいたみなさん、本当にありがとうございます。
再発記念としまして、もう一度このアルバムを根掘り葉掘り解説してみようかなと。
え、再発の前にやればもっと部数が伸びたかも知れないって?
まあ確かに!でも、それをやらないところが福田のすごーくダメなところなので、
ここはひとつ笑って見過ごしてください。

あ、一応宣伝しときますと、「内容の無い音楽会」、少数ながら「大頭屋」での販売が決まりました。今回のSONYさんからの発売で買いそびれた方は是非どうぞ。
詳細はまた追って・・・

というわけで、まずはなにはともあれ、楽曲に関するどうでもいい事柄(なんか、トリビアって言うのが最近イヤでさーw)を順繰りに。まずはどあたまのこの2曲。

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M1、は、なんか立派なタイトルついちゃってますがw、作った時はホントに「旺文社ラジオ講座」(と言ってすぐ分かる人は相当年寄り)っぽいのを作ろう、というだけのモチベーションで。でも、なんでまた「旺文社ラジオ講座」を元ネタにしたのかなあ。全然思い出せないんだよね。「題名の無い音楽会」ってこんな感じのオープニングじゃないし。多分、アルバムのバカバカしい内容とのギャップを際立たせるために、ことさらに「教育的」なイメージを強調しようとしたんだと思うんだけど。ハープシコードの音色は、DX7U用の「生福」に入ってる、生方がプログラミングした音色。この手の生楽器音のFM音源でのシミュレーションは、当時の生方の得意中の得意とするところで、ホントに天才的だった。彼が日本一だったのは間違いなく、ゆえに、世界一。この当時、電子楽器で再現したハープシコード音色としては間違いなくベストの音色だと思う。演奏は、多分、福田がリアルタイムで演奏したものを、いったんQX1と言う機関車みたいに黒くて巨大なシーケンサーに取り込んで細かくエディットしたんだったと。
このアルバムは、ほぼ全曲、YAMAHA QX1をベースに制作されたのだが、今考えると、よくあんなに融通の聞かない動作の遅いシーケンサーでこんなアルバムを作ったなーと。
今だったら、一曲レコーディングしてる最中に発狂するかシーケンサー叩き壊すと思うw。なにせ、ワークメモリが猛烈に小さいので、例えば一度何らかのエディット作業をして、それをプレイバックするたびに、必ず5インチフロッピーへの書き込みが行われる。プレイバックが終わってまたエディットのモードに移ろうとすると、今度はフロッピーからワークエリアへのデータロードが起きる。データの保持、という意味では、ある意味ムチャクチャ安全なのだが、とにかくなにをやっても必ずフロッピーディスクとのやり取りが起きるので、それはそれは動作が鈍いのである。それでも、この当時としてはQX1はMIDIシーケンサーとしては最高峰の製品で、定価は48万円。今だったら、同じ値段でおそらくHD容量1テラ、5コアの最強マックプロが買える。時は流れたのぉ・・・
でも、作業的には、生方がQX1の操作に異常なまでに熟達しており、MIDIキーボードを使わずにシーケンサーのキーだけで楽曲を打ち込む達人だった・・・と書かれてもイメージがしにくいと思うが、要するに、楽器の鍵盤は一切使わず、コンピュータのキーボードだけでどんどん音楽を打ち込んでいく、という事に非常に長けていた(後に、当時生方と福田が経営していた有限会社「タイムベース」に入社してきた18才の浅倉大介くんは、生方のQX1打ち込みを見ていたく感動し、後に生方を上回る速度で楽曲を打ち込むQX使いになったとさ・・・なんか空しいような、楽しいような話)ので、結構サクサクと進んだような印象もある。その生方のQX1打ち込みスキルがいかんなく発揮されているのが、M2「軍艦行進曲 フュージョンバトルシップ」である。
当時間違いなく日本一の人気とテクニックを誇ったフュージョンバンド「カシオペア」の、16ビートのシンコペーションを多用するアレンジを揶揄しまくった失礼千万な作品で、冒頭では生方が向谷実氏のMCのマネまでやっているのだがw、これを聞いたカシオペアのメンバーは笑って許してくれた。みんな心が広くてよかったなあ・・・っていうか、ごめんね、カシオペアのみなさんm(_ _)m
実はこの楽曲、福田がリアルタイムで鍵盤を演奏してデータを取り込んだのはキーボードパート(楽器はDX7U。音色はあえて、DX7用の「向谷実ROM」を使用!)とサックスソロ(音色はAKAIのS900)だけで、ドラム(S900)、ベース(DX7U。音色は7U用の「生福」から)、ギター(確かS900)は全部、MIDIキーボードを使わずにQX1からの直接入力で生方が打ち込んでいる。「ここは神保くんならこう叩くか、くくく」とか「桜井くんベースはこうかな、ウフフ」とか言いながらひたすらQX1のキーを叩き続ける生方の姿は、友人とはいえ、かなり不気味だった。こうして曲の全体像が出来た後、「ドラムソロで観客が盛り上がって手拍子をするが、ドラムのフレーズがムズカしくてついていけず、だんだんズレ、自然消滅する」とか「エンディング近くのギターの異常な速弾きをスロー再生すると君が代になっている」とかの、数回聞いただけではなかなか分からない(「君が代」ネタは多分何度聞いても分からないw)仕掛けをあれこれ入れ込んで完成。「題名の無い音楽会」の名司会者であり、日本有数の作曲家でもあったが、有名な右翼の論客でもあった黛敏郎氏と、超絶技巧バンド「カシオペア」をストレートに皮肉った「だけ」のこの「フュージョン 軍艦マーチ」は、しかしこの後、フュージョンファンにも奥田民生氏にも右翼の街宣車にも愛される珍曲として、日本音楽史にその名を刻んだ(けっこうホントだけどちょっと大ゲサ)。

つづく

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