2011/5/13

真性こまったちゃん ビンボーゆすりがとまらないっ  
まあ、ほおっとけばいいんだけど。
そう、別にそれでいいんだけど。
でも、なんとな〜く見過ごせないんだよね、
この「劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ」を見て心から感動しちゃう観客の、根本的な「素直さ」が。
俺が年寄りになったからなんだろうな。うん、多分、そう。
だから敢えて、批判してみるよ。

まず最初に、誤解のないように書いておくと、
この映画「劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ」は、
あくまでも、人気バンド「神聖かまってちゃん」のプロモーションビデオ、
じゃなくて、プロモーション映画。

敢えて猛烈に古―い例で言えば、
子供にホウレンソウの缶詰を食べさせようとして作られた「ポパイ」と同じ。

いくらなんでも例えが古いですか。でも俺、リアルタイムだし。
ホウレンソウ食べたらパワー出るよ、
「かまってちゃん」聞くと元気出るよ、っていう。
そういう構造の映画。


そう考えれば、この作品がどんなに予定調和的にあざとくったって腹も立たないし
(だって「プロパガンダ映画」なんだもん、当然だよ)、
「かまってちゃん」ファンが見れば、そりゃー楽しいだろう。
クライマックスなんて、ボーカルの「の子」くん、ほぼ「神」だしねw。

だけど、この作品の中に仕込まれた、いろんな「ドラマ」を見て
この「バンドプロモーション映像」を「普通の映画」だと思いこんで、傑作だのなんだの、やたらと感動してる「子供たち」(多分間違いなく、福田がそう呼ぶべき世代だろうと想像)が多いのがとても腹立たしい・・というか、
情けないわけさ。おやじだから。

とりあえず。この映画をあくまで「普通の映画」だと思って見ている世代に
「寄り添っちゃって」(すみません)、「普通の映画」だ、と解釈してみる。
するとやっぱり腹立つわけね、いろいろ。

まず、「普通の映画」として見て、徹底的にダメ出ししたいのは、
とにかく、シナリオに練りが足りないこと。
この映画、こうなるな、と思ったことは、すべてそうなる、よね。
もうびっくりするほど。
え、そんなことない、意外な展開の連続だったよ!って言う人は・・・
うーん、困った。そりゃあ、ものすごーく想像力ないな。
というか、小説を読んだり、映画を見たりした経験が足りなすぎ。
若いんだから仕方ない、と言えばそうなんだけど。

もちろん全エピソードに関して文句たれるつもりはないので(時間もないしw)、
いくつか並行して走るエピソードのうち、
バンド「かまってちゃん」に関する部分だけ取り上げてみる。
あ、ここから先は当然のことですが完璧なネタばれです。
見てない人、見てみたい、と思ってる人は読まないでね。


バンド「神聖かまってちゃん」周辺を描いた部分。
これは、実際にメジャーデビューした「かまってちゃん」の
フェイクドキュメンタリーとして作られていて(その試み自体は面白い)、
実際に彼らのマネージャーである青年(ああ、青年、とか書くと年寄りぶりが際立つなあ・・・)がマネージャー役として登場する。
彼の演技自体は悪くない・・どころか、顔にも味があってw、演技も充分上手なんだけど、
彼が直面する事態が、とにかくあまりにも見え見えなんだよなー。

ある日、メジャーレーベルの、いかにもー、なベテランDと、
いかにもー×2、な広告代理店のPに呼び出されたマネージャーは、
せっかくメジャーデビューしたんだから、「神聖かまってちゃん」を引きこもりの若者に対する応援ソングを歌うバンドとして売り出そう、って提案されちゃう。
えー。
福田はすでにここで、ざざーっと引きました。はい、オモイッキリ。
だって・・・こんなに分かりやすくダメダメな提案に対して、
どこの誰が「はい」って言いそうですか??


メジャーや広告代理店を揶揄するのは大賛成だけどw、
彼らをあまりにも安易でステレオタイプの「悪役」に描きすぎ。
最初から、「かまってちゃん」サイドが断るのが見え見えの「提案」を軸にストーリーを進める・・・こういうのを「予定調和的すぎるシナリオ」と言います。
いや、あの提案がギャグならいいんだよ。でも、マジなんだもん。あり得ない。

でもまあ、確かに、ここでマネージャーが笑い死ぬか、
「このクソ野郎ども!!」ってDやPにケリいれちゃうと「話が続かないから」
(ほんとは、その先にこそ面白い「お話」は存在するんだけどね)、
このシナリオの無茶ブリをひとまず受け止めるとしましょう。

マネージャーくん、いったん「メンバーに相談してみます」って言って、
代理店が作った死ぬほどダサダサのポスターを渡されちゃう(おいおい)。
かくして、強引に、彼の懊悩のドラマが始まるワケですがw、
なんと彼は、一言もメンバーにこの件を話せない!ひたすら自分で悩む!
えー、なにこれ。そういう世代?性格??

この「優しいマネージャー像」に、若い子はシンパシーを覚えたりするのかな。
だって、ただの腰ぬけだよ、この人。メンバーに話せよ、ちゃんと!!
・・とまあ、彼がそんな状態なので、物語には一切の「対立」が生じません。
マネージャー、渡されたポスター持ってうろうろしてるだけ。
で、その挙句の、問題の解決方法がすごい。
単に、事務所の先輩に聞くんだよ。「応援ソングってどう思います?」って。
すると先輩は一言。「クソでしょ」。
まあ、そう言うわな。ここも予想通り。
そして、これで解決。あちゃー。あ、これは予想外だったw。

そう言えば、ロバート・アルドリッチの名作「ロンゲストヤード」のクライマックス近くで、
悩んでる主人公が「大先輩」のじいさんの一言で目が覚める(起きるんじゃないよ)超感動シーンがあるんだけど、それをパクった?
まさかね。
なんにせよ、似て非なる、とはこのこと。
「ロンゲストヤード」見たことない人は見るべし。
優れたシナリオってどういうものか、よーーーく分かるから。

とにかく、このマネージャーの描写に、まるで「思考の跡」が見えない。
最初から断ろうと思ってたんだけど、先輩に言われたんでやっぱ断りますわ、じゃ、
ダメなんだよ。余命一カ月の人がやっぱり死んじゃった、じゃダメでしょ。
あれ、そうでもない?

でも、まあとにかく。
「重大な決断」をした彼は、ミーティングでいきり立つベテランDに
「彼らが10年後に生き残ってなくてもかまいません。彼らには好きなようにさせてやりたいんです」って言うのね。
ここは感動シーン・・・なのかなあ・・・そうかなあ。
なんか、これ、マネージャーが、おかあさん、なだけでしょ。
彼の態度は母親の態度。
しかも、難病かなんかに冒された子供に対する母親の態度じゃん?

確かに「マネージャー」にはこういう
「無条件にアーティストの100%味方」である部分があってもいいとは思うけど、
問題は、彼が「一人で苦悩を飲んじゃって結局メンバーには一切知らせないで解決しちゃった」のを、無条件に肯定的に描いてるシナリオ。
俺はひどく気持ち悪いね。この「母親的な過剰な許容」をよしとする感覚。
彼らの関係性って、プロのバンドとプロのマネージャーの関係として、猛烈に不健全。だって、「お友達関係」から一歩も外に出てないもの。
それを、さもマネージャーの決断を彼の「矜持」みたいに描くって、どうよ。

実はこの映画、他のエピソードでも、
ひとつも「ちゃんとした対立」が描けていない。
あるのは対立の「構図」と争いの「描写」だけ。
「根本」がない。脆弱です。


え、そうは思わない?なんにせよ、ここは素直に感動するとこ?
きみ、もういいから、顔洗って寝ななさい(^o^)/
お布団ちゃんとかけるんだよ。歯磨くんだよ。おねしょすんじゃないよ。

では、ここまでのまとめ。
無茶ブリの事件が、なんら盛り上がらないうちに、ぬるっと解決。
実にこまったちゃんな世界。
あ、レーベルのベテランDの、鉢植えサボテン使った「脅迫」の描写とかに
騙されてちゃダメだよ、ボウズw。

そして、更にこまったちゃんなのは、
クライマックスの渋谷アックスでのワンマンライブにかけてのエピソード。
その前日まで、ボーカルの「の子」と連絡が取れない、という設定があって、
当日も、なんと連絡取れない!
サウンドチェックにもリハにも来ない!
という、実際の現場だったら身の毛もよだつような(っていうか、そこら中パニックだよ!)状況が描かれるんだけど、これがもう全然、リアリティがない。

メジャーで、渋谷アックスでライブをやる、って言ったら、
いったいどのくらいの人間が苦労してその現場に至ってるのか、とか、
そういう「まっとうな」感覚が一切ないから、描写もない。
当然、緊張した空気感も出せない。
要するに、あまりにも状況設定が「つくりもの」。
おこちゃまなんだよね、世界観が。


マネージャーが「の子」の代わりにサウンドチェックするとか、
「の子は、きっと来ます!」って言うとか(ガメラか!!)、
そういう事であっさり片づく事じゃない。
「音楽映画」なんだよね、これ。
だったら、音楽の現場をナメてはいけない。
もっとリスペクトすべき。

そしてそのうえで、「バンド」としての「かまってちゃん」を描くべき。

俺はバンドとして「神聖かまってちゃん」、キライじゃなかったけど、
こんな適当な描写で見せられたらキライになっちゃうよ。

さて、それで、だ。
結局、ほんとに「の子」は来なかった!
うひゃー!!どうすんだ!?
けど、「の子」の部屋とUstreamでつながった!
やったー!さあ歌うぜー!!
ロックンロールは鳴りや止まないっ!!!
・・みたいなハイテンションな展開だったら、むしろすべて許したんだがww。

実際には、本番直前に、ちゃんとステージ衣装着た「の子」が(キマってます)
下手からPC抱えて、ニコ動の生放送しながら出てくるっ!
いつ来て着替えたの!?PCの回線チェックとか大丈夫!?ニコ動関係、OK!?
とか、そういう事はぜーんぶ置いといて、客席熱狂!
かくして、ロックンロールは鳴り止まないっ!
・・ですよ。
ああ、あんまりにもあざとい。キツい。

恥ずかしい。

こういうのを「子供だまし」と言うのですよ。

でもこれは「映画」じゃなくて「かまってちゃん」の長編PVなんだから、
まあ、仕方ない、仕方ない、・・・・
見ている俺は、ひたすらビンボー揺すりがとまらない、でした。

この映画見て泣いた、とか言うのが「かまってちゃん」信者なら分かる。
分かるよ、それは。だって、信者だもんね、だったら泣くよ、これは。

でもこれを「普通の映画」だと思って見にきたやつまで泣くなよー・・・
こんな明瞭な「感動の大特売」でさー。
きみたち単純すぎるよ・・・・
はああ・・脱力。
もっといろんな映画見てくれよなー・・・・・

入江悠監督は、とても頭がよく、きちんと映画をまとめる才能があるので、
こんなシナリオでも「映画」を成立させてしまう。それが最大の問題。
今後、このレベルのシナリオを書いて「よし」としていたら、マジでヤバいと思います。
小器用な職人監督で終わりますよ。
テレビの連ドラに毛を生やそうとしたけど、どうもなー、みたいな
こぎれいにまとまった作品だけは標榜しないでください。若いんだから。
是非、がんばってください。

くそおやじからは、以上!


追記:二階堂ふみちゃんは素晴らしかったです(^-^)/

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