2009/2/9

4ヶ月、3週と2日  映画
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何かのDVDに予告編が入っていて、面白そうだなと思って観たのだが、いやー、すげえ映画があったもんだ。舞台は1987年、悪名高いチャウシェスク政権が崩壊寸前にあるルーマニアの首都ブカレスト。平凡な女子大生オティリア(DVDジャケットの向かって左側、金髪の女性)は、不本意な妊娠をしてしまったルームメイトの堕胎に協力するハメになる。この当時、堕胎は法律で禁止。オティリアは、ルームメイトをホテルに宿泊させ、闇営業の産科医を雇い堕胎を実行する・・ストーリー的にはほんとうにこれだけなのだが、オティリアが追い込まれていく姿のリアリティは凄まじく、特に後半は一瞬たりとも彼女の表情から目が離せなくなる。ルーマニア出身の監督クリスティアン・ムンジウ のカメラアイは凡百のドキュメンタリー映像をはるかに凌ぐ冷徹さで主人公を見つめ続ける。フィクションとしての映画がここまで人間の感情の動きを「ただ写すこと」によって表現できる、というのは驚異だ。そして、クライマックス、それまでの固定、長回しのカメラは一転、堕胎された胎児をカバンに入れ「捨て場所」を探すオティリアとともに、寄る辺なく夜の街を彷徨う。本当に切なく恐ろしいシーケンスである。この監督がホラーを撮ったら、多分世界でも有数の傑作が撮れるに違いない。とまあ、非常に素晴らしい作品なのだが、「映画」の抱える最大の問題は、こんな凄まじい映画は絶対にヒットしないだろう(だってまるで「楽しく」ないもん)、という事実である。なので、少なくとも、このレビューを読んだ人は是非ご覧あれ(^-^)/
☆☆☆☆

2009/2/9

死ぬまでにしたい10のこと  映画
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数年前にリメークされた「ドーン・オブ・ザ・デッド」で主役をはったサラ・ポーリーが、別の映画ではどんな感じなのか知りたくて観てみた2003年のカナダ・スペインの合作映画。原題は「MY LIFE WITHOUT ME」=「私のいない私の人生」。これ、ウマいっすなーw。主人公のアンは、17歳で初めてキスした相手と結ばれて妊娠、結婚。23歳にしてすでに2人の女の子の母親で、ちょっと気弱そうだが十分ハンサムでメチャクチャいいヤツっぽい旦那(もちろん初キスの相手)とトレーラーハウスで暮らしている。その彼女が、ある日突然、子宮ガンから内臓に転移した末期ガンで、余命数ヶ月である事を宣告される。まさに青天の霹靂の事態に、アンは、自分が死ぬまでにしなければならないこと、をリストアップ、人生において初めての(そして最後の)「冒険」を始める・・・いわゆる難病モノ映画なのだが、全体のトーンはあくまで明るく穏やかであり、最後の最後まで一人の悪人ともめぐり合わないまま「理想の死」を迎えるアンの姿は、一種痛快ですらある。その爽快感ゆえに「重み」に欠ける部分は否めないが、それは明らかに確信犯的なものだろう。製作総指揮は「オール・アバウト・マイ・マザー」で一躍「女性映画」の旗手となったペドロ・アルモドバルで、この作品を支える徹底的な「女性目線」もまた見事。イザベル・コイシェ監督は抑制の効いた的確な演出で、完璧なキャスティングを完全に使いきっている。全登場人物の表情がここまで印象に残る映画は珍しい。役者陣を見るだけでも見る価値のある作品。
☆☆☆★★★

2009/2/9

ヘルライド  映画
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タランティーノが製作総指揮をつとめた低予算アクション。アメリカ公開時には評価も興行成績も惨憺たるものだったらしいが、1960年代〜70年代に掃いて捨てるほど存在したバイカー映画やマカロニウェスタンの「テイスト」を真っ正直に追った映画で、その一点において、間違いなく成功している、と俺は思う。脳ミソはハンバーガー、汗はバーボン、精子は銃弾、みたいな、最近地球規模でどんどん劣化してるY遺伝子が過剰に働いてる全滅危惧種(というか、すでに絶滅してるかw)のオヤジたちが、どんなに拳銃をぶっぱなそうと警官ひとり現れない理想世界でドタバタを繰り広げるファンタジー・・と言うには十分お下品なんですがw。マイケル・マドセン、デニス・ホッパーをはじめ、キャスティングもツボを得ているし、登場するおねーちゃんたちもキュート。いわゆる復讐劇としては、もっとシンプルなシナリオでよかったとは思うが、少なくとも、作ってる人間の意志が全く感じられない「ICHI」なんかよりはるかによい。ただ、出来れば「二本立ての添え物」として「偶然に」見たかったw。
☆☆☆★★

2009/2/9

ブラッディバレンタイン 3D  映画
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事故をキッカケに発狂した炭鉱夫が連続殺人鬼になり、大量殺人。狂った炭鉱夫は警官に射殺される。その忌まわしい事件から数十年後、死んだはずの殺人鬼が復活する・・なんとツルハシを持ったマッチョ系殺人鬼が豪快に殺しまくるホラーとして名高い「血のバレンタイン」が、3Dムービーとしてリメイク!すっげー企画モノっぽいよなー、さぞや無内容の割り切りアトラクションムービーなんだろうなー、とかタカをくくって思って観はじめたのだが、最後の最後まで「真犯人」が分からない、というサスペンスホラーとして水準の出来。ツルハシが飛び出したり血しぶきが吹き出したりちぎれた腕が飛んできたりする3Dの面白さも含め、とても楽しく観られた。殺人鬼が健康的(なんせツルハシが武器だからね!)で全然陰にこもっておらず、スプラッタシーンも福田基準で言うと初心者向けなので(実は一番激しいシーンが日本公開版では2箇所ほどカットされてしまったらしい。FUCK!!)、ちょっと残酷系ビジュアルの多いお化け屋敷に入るつもりで、デートムービーとして使用していただくのがよろしいかと。まあ、初デートとかにはあんまり向かないけどね、多分(^-^)>    ☆☆☆★★

2009/2/9

わたしとキツネの12ヶ月  映画
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いやー、いいわこの映画。どどーん、というワイドショットから、どうやって撮ったのよこれ、みたいな移動ショット、ミクロなスーパーショットまで、とにかく撮影が凄い。まさに「画」を見るだけでもチケット代を払う価値あり、なのだが、少女と野生のキツネの交流を情緒たっぷりに描いた末に、人間は最終的に自然を飼いならせない、という「大結論」を、少女と野生キツネの「恋」の終焉という切なさにおいて導いたシナリオも素晴らしい。もちろん、ここに描かれているものが、テクノロジーと人間の思惟によって見事に再構成された自然「にすぎない」事を忘れずに見る事も重要だが、とにかく見ている間は、至福。それがもっと重要。
☆☆☆★★★

2009/2/9

慰めの報酬  映画
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前作に引き続き、アクションは素晴らしい。ダニエル・クレイグ、ホントによく動く。動きがほんとにシャープ。アクション演出的には、飛行機アクションのシーケンスがまさに圧倒的。最近観たアクションシーケンスの中では物量、スピード感ともにトップ・・・なのだが、全体にサービスしすぎで、アクション過剰。結局、ピアース・ブロスナン以前のボンドシリーズに戻っちゃった。それだけならまだある意味あきらめもつくのだが、シナリオのポール・ハギス的リアリズムの中で「サイボーグなみに無敵のボンド」が活躍するので、全体の雰囲気がチグハグ。これがなによりよくない。知性派ライター、ハギスとしては、今更「世界征服」を狙う敵、なんて設定、恥ずかしくてとても書けないからw、南米の軍事革命政権と結びついて水の利権を狙うというリアルな「悪党」をラスボスに据えたのだが、はっきり言って、そんなのただの政治ヤクザで、展開されるアクションシーンのボルテージに全然見合わない。あんなショボいレベルの敵を倒すために2時間近い壮絶なドタバタを見せられてたのかと思うと、けっこう切ないのであります。「カジノロワイヤル」で完全に生まれ変わったかに見えたこのシリーズ、早くも手詰まり感がありあり。今後どうするのかなあ・・
☆☆☆★

2009/2/9

ちぇ!  映画
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なんだか知らないけど、ノリの合わない人間というのがいる。例えば、たくさん一緒に仕事はしても、全然酒を飲みに行きたくならない人間。相手の人格に問題があるワケでは全くなく、むしろ周囲から、あいつはいいヤツだし、一緒に飲んだら楽しいよ、と言われてたりもするんだけど、なんだか全然その気になれない。試しに飲みに行っても、案の定、全然盛り上がらない。誰にでもそういう存在はいるんじゃなかろうか。若い頃は、なんでなんだ?俺が悪いの?とか、けっこうマジメに悩んだりもしたのだが、この年齢になってみると、これはもう要するに、「なんだか知らないけど相性が悪い相手、というのが、この世には確実に存在する」という事でカタをつけている。要するに、諦めたワケねw。これと同じく、まるでノリの合わない映画、というのも確実にある。要するに、全然ノリの合わない監督、が存在するという事だ。昔だと、巨匠フレッド・ジンネマンなんかがその筆頭だったのだが、最近では、S・ソダーバーグはまさにその範疇に入る監督で、カンヌでパルムドールを獲った「SEXとウソとビデオテープ」からハリウッド大作の「トラフィック」、「エリンブロコビッチ」から「オーシャンズ11」・・・と何を見ても見事に面白くない。面白くない、と思いつつ次の作品を見てしまうのは、毎回、映画の企画そのものにリキがあるからで、見終わってから「あーやっぱりダメじゃん」と思う。全くもってイマイマしい監督だ。なので、今回、福田世代の(というよりはもうちょっと上の、団塊世代の、だが)大ヒーロー、チェ・ゲバラを題材にした4時間超の超大作をソダーバーグが撮った、と聞いた時はすげえショックだった。今、この時代に、ゲバラ映画!しかも、前後編で公開!題材、企画力は本当に素晴らしい。さすがソダーバーグ。でも、どんなに綿密に取材し、金をかけた「立派な」作品であれ、ソダーバーグが撮る限り、少なくとも福田にとっては絶対に面白くないはず、と思ったワケだ。でも・・・・結局見てしまった。そして案の定、見事に面白くなかった。なんでこの人の映画は、こんなにも離人症(統合障害における一症候群で、目の前で起こっている出来事が自分の体験として感じられない症状)的なのか。列車転覆みたいな実写の大スペクタクルシーンですら、なぜ、ガラス越しに見ているようなイメージになるのか。なぜこんな「異常な画」を撮る監督の評価が世界的にメチャクチャ高いのか。福田にはほんとうによく分からず!心底ウマの合わないヤツ、としか言いようがない。出来れば、続編(というか後半部分)なんか見たくない。でも、やっぱり見に行っちゃうんだろうなあ・・・だって、気になるもん。くそー、いい加減にしてくれよ、ソダーバーグ。 ☆☆☆★


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