2011/4/3

めんどくさがりの人」のために 3  
4/2。
毎年、くだらないウソをつくのを楽しみにしていた4/1も、
なーんにも出来ないまま終わり、
今日は仕事場で、ひたすら隊長ツアーの譜面をメモリーしてました。
でも、あんまりずーっと暗記モノばっかりやってると疲れるので、
合間にDVDを見ました。

ドラムの小田原くんが、「素晴らしい映画なので是非!」と言って貸してくれた映画で、
第二次世界大戦終結前後の昭和天皇を描いた、
ロシアのアレクサンドル・ソコーロフ監督の「太陽」という作品です。

純然たるロシア映画なんですが、昭和天皇を演じるのはイッセー尾形、
セリフも、マッカーサー元帥や進駐軍の兵隊たちが英語をしゃべる(マッカーサー役の俳優のロシア訛りがあまりにもひどいので、侍従役の佐野史郎が英語のアフレコをしたらしいw)以外はすべて日本語、という異色作です。

正直、もうちょっと削れるな、と思う部分もありましたが、
全体的には、確かにとても素晴らしい映画でした。
戦争の最高責任を図らずしも担ってしまった昭和天皇裕仁の孤独、
桎梏でありながらアイデンティティでもあった自らの「神性」との決別が、
真摯に、淡々と、時にユーモアも交えて描かれています。
映画の幕の引き方も非常にうまい。

本当は、日本人が撮るべき映画だったと思いますが、
こんな風なリアルさで「天皇」を描く、というのは、
おそらく現代の日本でも多分不可能でしょう。
実際、この映画、日本での公開が危ぶまれたんですから。

そう考えると、この国って、まだまだ、
全然「自由」じゃないんだな、と思ったりもします。
とにかく、無事公開されてよかったです。
興味のある方は是非。

ところで。
先日、福島原発事故の責任者は我々だ、と書きました。
あくまでも倫理的な意味で、です。
地震に対する備えが不十分で、
毎時1シーベルトもの放射能を含む汚染水が流れ出す状況を招いたのは
明らかに東電の責任です。正直、腹が立ってます。
この状況は酷すぎます。
社長、特攻して水漏れ防げ。
そう言いたいくらいの、最低の状況です。
とにかく早く、「ひび割れ」がふさがる事を祈ります。


今回の事故で、事態が完全に終息するには実は20〜30年かかる、という
事実を知り、衝撃を覚えたかたも多いでしょう。
「コントロールできなくなった原子力」というものの厄介さ、を、
日本中の、というより、世界中の人間が思い知ったと思います。
そして、「原子力」というものが、いかに特殊なものか、という事も。

原子力は、人間にとって「過剰な火」であり、
「過剰な火」はやがて世界を滅ぼす、という認識に基づいた言説が、
チェルノブイリ原発事故のあと、あちこちで語られたのを、福田は記憶しています。

でも、いつの間にか、そういう「節度」ある言説は消えていきました。
時、まさに、バブル経済の最盛期でしたからねー。
過剰、と思われた「火」は、膨れ上がっていく経済の前では、
ちょうどよい、都合のよい火、に見えるようになった
(あるいは、見える、と思いこもうとした)のです。

そもそも、たとえ過剰じゃなくたって、「火」は充分に危険です。

ギリシャ神話では、人間に火を与えたプロメテウスは、
ゼウスにとっつかまって岩山に貼り付けにされ、
生きたまま内臓を鳥に食われ続ける、という罰を受けます。悪趣味。

日本神話でも、日本列島を平然と生みまくったあと、
火を生んだイザナミの尊は、性器に大やけどを負い、
それがもとで死んでしまいます。イヤな話。

要するに、昔から、「火」はヤバい。
致命的。
それを人間は知っていた。
だから「火」にまつわるイヤな話を神話に残した。

でも、そんな風に「火は本来的にヤバい」からこそ、
「火」とは一体なんなのか、
そして、このヤバい存在をどうしたらコントロール出来るのか、を
知ろうとするのも人間の性(さが)・・ていうか、業。
さすがに知恵の実を食っちゃった生き物です。

「火」とは何かを理解するまでには、
いろんな紆余曲折がありました。
今から250年くらい前にさかのぼって
当時の最高峰の科学者に「モノはなぜ燃えるの?」と尋ねたら、
「モノにはもともとフロジストンという火の元素があって、
それが熱に反応して吐き出されるのである!!
その反応が火として観察できるのである!!」
という、
トンデモ回答が聞けるでしょう。もちろん、大間違いですw。

燃える、という現象が、「フロジストン」なんていう元素のせいで起こるのではなく、
モノと酸素との結合現象だ、
という事をはっきり突き止めたのは
ラボアジエという、フランス革命直前のフランスのアマチュア科学者です。
彼は、水素を燃やす=酸素と結合させると水が生成される事も実証して見せましたし、
他にも、質量不変の法則、という、めっちゃくちゃ重要な法則も発見したんですが、
とりあえず、ここは、ふーん、そうなんだ、という程度でw。
まあとにかく、アマチュアとは言え、科学史に燦然と輝く功績を残した人です。

すげえ余談ですが、このラボアジエという人、本職は宮廷付きの税務署員で、しかも税の取り立てがキツいので有名だったので(まあ、理由はそれだけじゃないんですけど)、フランス革命の時ギロチンで首チョンパされちゃったんですが、「俺の首が飛んだあと、俺、瞬きするつもりだから、よーく見ててくれ。首が切られても意識があるかどうか、確かめたいんだよ!」と友達に頼んだという、筋金入りの「科学者」です。
もとい。


とにかく、ラボアジエのおかげで人類は、
「燃える」という現象をやっと正しく理解しました。
1770年代くらいの人間は、まだまだ「可愛かった」んですなーw。

ところが、そのあとの100年間くらいの間に、科学は猛烈な勢いで進化します。
まるで、赤ちゃんの「知性」が数カ月スパンで猛烈な進化を遂げていくみたいに。

化学の発達も物凄かったのですが、電気の流れる電線の周りに磁界が発生することを発見して、「電磁場」という概念を確立したファラデーや、ファラデーの弟子で、電気は電磁波を生み、電磁波は光と同じ速度で伝わることを証明したマックスウェルなどが物理学にもたらした功績は特に大きく、その直接的な影響のもとに、1900年代の初頭、アインシュタインという異常天才が出現しまてきます
・・・って、「火」の話はどこにいっちゃったの?

ちょっと待っててくださいねw。すぐに、そっちにつながります。

さて、1905年、まだ特許庁のビンボー公務員だったアインシュタインは、特殊相対性理論の中で、「E=mc2」という、おそらく世界で最も有名な方程式を発表します。
読み方は「イー イコール エムシー二乗」というのが一般的です。

この、「エネルギーは質量に光速の二乗を掛けたものに等しい」という事をあらわした方程式こそ、
「物質」の中から莫大なエネルギーを取り出すことができる、という可能性を保障した方程式であり、人間に、「モノと酸素の結合で起こる燃焼」を一足飛びにとび越えた、原子力、という「過剰な火」を与えるキッカケになった方程式なのです(ほーら、「火」の話に戻った!)
特殊相対性理論が発表されるわずか100年ちょっと前には、
燃焼という現象をやっと理解したばかりだった人類は、アインシュタインの出現で、
ケタの違うジャンプをする幸運(あるいは不運)を手に入れたというわけです。

なるほど、アインシュタインはやっぱり凄いんだ。
でも、やっぱり、なんのこっちゃ、「E=mc2」。
式の意味も分からないけど、
なにより、式の中に登場するコトバがよくわからない。
「エネルギー」っていうのはなんとなく分かるけど、「質量」ってなに。
「重さ」ってこと?

いいえ、「質量」は、「重さ」ではありません。
例えば、今ここに「1kgの鉄の塊」があるとします。
それは、「明らかにそこに存在する鉄のカタマリ」です。
それを宇宙空間に持っていって重さを量るとしましょう。
宇宙空間は無重力ですから、「重さ」は当然0kgです。
でも、その「1Kgの鉄の塊」の物理的な「量」は変わりませんよね。
その、空間を占有する「量」を以て、物質の「質量」と言うのです。

分かったような分からんような。
なんか納得いかない・・・
そういう場合、「質量は重さ」と思ってしまっても別にかまいません。
ある条件下では、確かにその考え方は正しいんですから。

さて、まあ「質量」」はよしとしましょう。
じゃあ、C2(光速の二乗)ってのは?
だいたいにおいて、なんでここに「光の速さ」なんてものが出てくるの??

ですよね。
でも、なんせ特殊相対性理論、というもの自体、
アインシュタインが
「この世で不変なのは光の速度だけ!
そのかわり、時間や質量が変化するんだよ!相対的なんだよ!」

というとんでもない内容(でもなんとまあこれが宇宙の「真理」!)を語った理論。
「E=mc2」はそれを数学的に証明するために導かれた方程式なんで、
光が登場してくるのは、まあ、しょうがないんです。
アインシュタインって言う人は、
とにかく、「光」にとり憑かれた科学者だったので。

文系の人間としては「相対性理論」をこれ以上くわしく説明する気がしませんし、
また、ちゃんと説明するにはさすがにヤヤこしい数式を登場させなければならないので、ここでやめておきますw。もう年だし、無茶はしません。
興味のある人は是非、ご自分で調べてみてくださいね。

というわけで、式の中の「光速」は「光速」と、書かれたまま、納得するとして。
大抵のかたはご存知と思いますが、「光の速さ」、これはとにかく速いです。
秒速にして、約30万キロメートル。マッハでいうと約882。ウルトラマンの飛行速度の294倍!!
宇宙最速です。しかも不変(アインシュタインによれば、ですよ)。
だから、この式の中では、この「c2」という値は「莫大にしてかつ不変」です。
要するに、ものすげーデカい値の「定数」ってこと。
仮に、この「秒速30万キロメートル」の「30万」を
そのまんまcに代入してみましょうか。

c2(cの二乗)は・・・300,000×300,000=90,000,000,000。
はい、すぐは読めませんねw。900億です。これが不変の値。

m(質量)が仮に「1」だったら、それにこの900億をかける。
すると、「エネルギー」は「900億」。

なんだそりゃ、という感じだと思いますが、まさに、見た通り。

要するに、非常に小さな「質量」と、莫大な「エネルギー」が等価である、という事です。

言いかえれば、もし、「質量」を全て「エネルギー」に変えられるのなら、非常に小さな「質量」から莫大な「エネルギー」を得る事が出来る、という事です。
実はこれが、「原子力」の理想の姿、なのです。
実際の「原子力」は、この数式の表わす理想的な「質量」の「エネルギー」への転換を
ごくごく低い精度で実現しているだけですが・・・

つづく


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