2008/8/20

ほんとうは  映画
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ここまでこれ見よがしの超大作をほめるのはハッキリ言って悔しいのだが。それでもこれはホメざるを得ない。所詮ヒーロー映画なんだしなにもそこまで書き込まんでも、という程のシナリオの重厚さ、ここぞ!という局面での予算投入の仕方の巧みさ、CGの使用をなるべく抑えライブアクションを多用した演出、そしてなにより、これが期せずして遺作となったジョーカー役のヒース・レジャーの素晴らしさ。2時間36分という長尺が最初から最後まで持続的な快感をもたらし続ける稀有な作品。すげえ傑作です。
キリスト教文化圏にあって常に「善」と「悪」、「光」と「闇」の明解な二元論の元でのみ成立してきた「アメリカ型ヒーロー物語」は、1990年代の終わり、「スポーン」や「Xメン」の登場でその構造に微妙な揺らぎを持つようになった。しかし、この10年間、その揺らぎを作品に取り込んだ上でなお、ヒトにとって「悪」とは何か「善」とは何か、という命題を映画の真摯なテーマとして扱いつつ、ハイレベルのエンタテインメントに仕上げた作品は存在しなかった。この「ダークナイト」は、二者択一の論理そのものからの完全な脱却にはさすがに至ってはいないものの、「バットマン」という物語のコアであるヒーローを、最終的に、善でもあり悪でもある「闇の騎士」である、と極めてリアルに再定義しえた点で、まさに大金を投入して作るに値する作品になっている。こんな風に書くと、なんだかもったいぶった映画のようなイメージを与えるかもしれないが、それが全くそうではなく、あくまでもド派手な見せ場満載(あまりの凄さに思わずうめき声をもらしてしまったクライマックスの爆破シーンも含め)のハリウッドエンタテインメントとしてちゃんと成立しており、そのバランスのとり方の絶妙さには素直に頭が下がる。参りました。ヒース・レジャーに、合掌。

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