2007/6/9

見えないところ..  ラブフルート

 昨年からいただいていた製作を終わらせ、今年はラブフルートの旅立ちがゆっくりしてるなと思っているうちに6月に入ってしまいました。そして工房の壁にかかっていた注文のカードがいつのまにか増えてきて十数本になっていました。

 製作には今までに以上に労力を払っています。それは樹木と音色との関係を学んでいくうちに一層手をかける必要を感じるようになったからです。とりわけ目に見えない部分が重要だと思っています。透明な素材で内部の湿度や音の流れを模索しながら、樹木の特質や切り取られた部分の質、吸水率などを考慮してきましたが、課題は常にあります。接合してしまえば、内部の処理は殆ど出来ませんから、手を加えられるうちに思いつく限りのことをします。内部をくりぬかれた樹木は激しく細胞を破断されますから、張力に変化が起こり形状が変わります。それを矯正するためには、しばらく時間をかけてから、再度接合面を削ります。

 ナチュラルな素材で作られたシールド剤は、工業的に作られたものほど止水性が高くない上にコストが数倍かかります。少しでも耐水性を持たせるためには、数回に分けて作業をしなければなりません。破断面が落ち着いてからのシールド作業。今は作業量がかつての数倍に増えました。シールドによって水分を含んだ素材はさらに形状を変化させますから、ある程度落ち着いたころにを見計らってさらに削り直ししなければなりません。単純に合わせているように見えますが、接合面の微妙な面取りや内管の研磨、数回に分けたシールド、接合面の微妙な修正が地道に繰り返されています。勿論、それでも完璧とはいえませんから、これからも試行錯誤は続くと思います。

 本体の内部は空気の振動を直接受ける部分ですから慎重すぎることはないように思います。但し、どこまでも滑らかにという方向だけが大切なわけではありませんから適度な処理と柔軟な対応が必要かと思います。外管は内部の振動を増幅し周辺の空気を固有の揺らぎに変えます。外管の処理には幾つかの工程がありますが、基本的には柿渋を7〜10回ほど塗布と乾燥を繰り返しながら作業をします。さらに天然オイルを塗りますが、必要に応じて重ね塗りします。最後に蜜蝋を塗り磨き上げます。これらの工程のそれぞれには馴染ませる時間がプラスされます。それは樹種ごとに付き合い方が違ってきますから、絶えず学び続けることになります。

 ここでは音程の調整という難しい要素には触れていませんが、学びの途上で気づいたことをいつか書き留める機会があるかもしれません。今回は少しこみいった内容になりましたが、人がどんなに手をかけようと、自然の中で育まれた樹木そのものの素晴らしさが生かされることが原点にあるのだと思います。
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