2006/1/7

悪 戦 苦 闘(愚痴三昧?)  ラブフルート

  2005年1月27日(木)徒然笛日記より転記

貴重な桂の埋もれ木が思わぬ形で工房にやってきたのは半年と少し前でした。
泥臭い亀裂だらけの材料に手を付け始めた時は工房が暗くなるほど木屑が飛び交いました

 不慣れな素材と向き合ったために、あれこれ考えることが多かったと思います
リンク先のサイトからこちらのHPに辿り付いた方から
長いフルートと旅行用の短い埋もれ木のフルートの製作依頼を受けたのは
2004年の7月でしたから、この1月で半年になりました。

そして、ようやく2本のフルートが完成するところです
材料の切り出しで予想外の苦戦を強いられ
取り出した材料の大半は亀裂が酷くて使えそうにもない状態でした

もっとも薪になって燃やされる寸前の材料でしたから
やむを得ませんでしたが...

素材の性質を知るための試作から始まって
ああでもない、こうでもないと手をかけてきたのですが
木肌の美しさに何度もため息をついてきました

最初の試作品は吹いてみた翌日
工房の中で致命的な亀裂を起こしていました

個性的な深い音色が響いたので、すっかり魅了されていたのですが
思いがけない展開でした

気を取り直して再び手をかけたフルートは
なんとか出来上がりましたが
通常の音階とは異なるものとして仕上がりました

1オクターブと少ししか出ないラブフルート(インディアンフルート)
その音域の狭さが弱点とも言えるのですが
それよりさらに狭い音域になってしまいました
つまりオクターブも出ない笛なのです
(この笛から新しい歌も生まれています...)

この笛をたたき台にして依頼された笛を作ろうとしたのですが
たたき台の笛の安定性が乏しいためになかなか手を付けるところまで
進みませんでした

毎日眺めては、「さあ..いつから手を付けようか」と呟く...
7分程度まで手をかけ始めたものの一気には進まない...

とりあえず比較的対処しやすい短いフルートは半完成状態まで進めたのですが
長いフルートには手が出ない...

そしてついに年明けから動き出したのですが
予想外にてこずってしまいました

依頼されたフルートが5穴だったこともありましたし
できるだけ低い音程にしたいと思っていましたので
いままでの規格とは違うものになりました

結果的にまったく予想外の時間を費やすことになりました
余程のことがなければ投げ出さない性格なのですが
思わず「根負けしそうだ〜」と何度か呟いてしまいました

気が付いたら丸々7日過ぎていました
そのうちの2日は深夜までの作業でした...

低音域は安定しているのに高音域が上手く調整できない...

これまで製作したバードのパターンを全部試し
さらに数十種類のバードを試作したのですが
思うようになりませんでした...

様々な角度、高さ、切り込み...
音は出るけれど音色が心に響かない...

何故だ、どうしてだの繰り返し
これまでにも難儀したフルートはあるけれど
ここまで苦戦したフルートはないな〜と呟き続けました

そこにはそれなりの数のフルートを作ってきたのにという
思いもありました。

全部振り出しに引き戻された感じでした
「もしなんだったらバードを売ってあげようか」と誰かに言われる夢も見ました
私は夢の中で、買うつもりはありませんと断っていました

その時のバードの素材と形状が何となくきっかけになって
前日までの試作品のバードを全部忘れて
再度作り始めました

低い音程を諦めて、今まで作ってきたサイズにすれば
ここまで時間を費やすことはなかったと思います

でも、製作を依頼された方が低くて深い音色の曲が好きだという
お話を伺っていたので、なんとかしたいという思いが強かったのです

桂の埋もれ木の長いフルートは今日になって
ようやく歌い始め、旅に出る準備が出来ました

オイルを塗らず、蜜蝋だけで仕上てくださいとのことでしたので
明日お化粧して身支度整えて出発の準備に入ります

この一本の笛は随分と色んなことを教えてくれました
考えたら、まったく手探りで作り始めたんだよな〜と...しみじみ思います

わずか1〜2ミリ(厳密にはヤスリの手加減ひとつ)の違いで
変化していく音色や音程
その微妙な世界に触れていると
何故笛の音が心の微妙な世界と繋がるのか
少しだけその秘密に触れたような気がします

一本の笛のために人生を費やして生きている不思議さを
改めて感じながらやや長めの「徒然笛日記」になりました
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