2006/1/8

 棺から現れた笛が棺に帰る  ラブフルート

2005年1月28日(金) 徒然笛日記から転記

ラブフルートが古いインディアンの棺から発見された
それは彼らの文化の中から消えかけていた笛でしたが
再びそれを吹く人たちが現れ始めました

近代音楽の発展は目覚しく
音域が狭く、音程の不安定な笛は
居場所を失っていったのでしょう

きちんとした音程の基準と和音構成
合奏するための調律
それはグループや団体で演奏する音楽には重要な要素です

そう考えますと楽器も文明や価値観の象徴の一つなのでしょう

チューナーを使ってしっかりした音程に合わせて
みんなで演奏する
いつから音楽がこういう価値観で動き始めたのか
そんなあれこれを考えていたのですが

つい最近、ラブフルート仲間の女性が亡くなられましたとの知らせが届きました
そしてラブフルート仲間からお通夜か告別式の時に演奏して欲しいという
お話がありました

日時をお伺いして列席させてもらいました
この電話を受けたとき、とっさに亡くなられた女性の顔が浮かんできました
それは葬儀の間にも浮かんだり消えたりしていました

彼女が吹いていたラブフルートが棺の前に置かれ
僧侶のお話と読経、そして焼香が終わった後

短いお話をしてラブフルートを吹きました
厳しく辛い闘病生活の中では
フルートを吹く機会は多くはなかったと思います
それでもしっかりと吹いた痕跡が残っていました

演奏するにはとても厳しい健康状態だったのですが
わずかな呼吸でも演奏できるように製作したフルートを
とても喜んで嬉しそうに吹いていた姿は私にとっても大切な時間でした

ある演奏会の席におられた彼女は
とても素敵な美しい音色なので吹いてみたいけれど
自分には肉体的な問題があるので
とても無理ですよねとうつむいておられたことを記憶しています

たとえ弱い呼吸でも、命があって
そうしてお話ができる力があれば十分吹くことは出来ますよ
そういう笛を作りますから

そうお話しましたら
もし本当に出来るのならお願いしたいとのことでした
やがて笛が出来上がり、初めてのレッスンの時の
嬉しさに満ちた表情は深く心に残りました

そのラブフルートはご遺族の意向で棺と共に葬られました
たとえわずかな時間だったとしても
心の思いと笛の音が一つになったとすれば

自分の人生に与えられている愛に気付き
深い慰めと喜びの片鱗に触れることが出来たのではないかと思います

ラブフルートを棺に入れて送り出すこと
それはこれから生きていく人にとっての大切なメッセージになると思います

残されたラブフルートを受け継ぐこと
それもまた意義深い選択になると思います

いずれであれ愛の笛の音色が人生に促しを与え
旅の途上で愛の笛を手にして心の思いを奏でる
そんな仲間の一人を静かにお見送りできたことを感謝しています
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