2006/2/11

雪の夜  ラブフルート

 今年は随分沢山の雪が降り積もり、さらに追加分がたっぷりありそうな気配です。先日、かなりひさびさに銭湯料金で入れる地元の温泉に出かけたのですが、あちこちで除雪話が聞こえてきました。「夜中に作業して、朝起きたらまた作業。やれやれと思っていたら昼もやらなければならなくて,さらに夕方も..どうなってるんだ〜」と。

 確かに工房の周辺は、屋根と同じくらい積み上げられた雪の山があって、さらに屋根の上の雪下ろしをすれば、スコップで投げ上げるのが厳しくなりそうです。これに加えて、吹雪が頻発する季節ですから..冬眠中の熊の隣で休ませてもらいたいくらいです..

 こういう時は身体も気持ちもいっぱいになってしまいやすいのですが、投げ上げた雪が太陽に照らされてキラキラ舞う美しさ、真夜中の冬の月の神秘的な輝きと星々のささやきが、身も心も和らげてくれることに気付かされます。

 美しさに触れた心は、さらに新しい感動や喜びにも気付き始めます。山になった見上げるような雪が完全に消え去る時が来るのです。雪の下では、すでにうごめいている虫たちもいますし、吹雪の中にバードテーブルにやってくる小鳥たちもいます。木々は芽吹きのために淡々と準備を始めています。

 どんなに激しく降り積もる雪も、黙々と僅かずつでも作業を続けていけば、確実に処理されていくことにも気付きます。困難なことが立ちはだかると、嘆き、恐れ、逃避したくなる心がやって来やすいものです。

 そんな時、「さて、いま自分が出来ることは一つだけ。さて、自分は何をしようか。」と自分の心に向かって語りかけてみます。そして、いま出来る事を始めるのです。ただただ、あれもこれも引き出して、何もしていないのに、思い起こすだけでいっぱいになる前に..

 身体は一つ、いまできることも一つ。いつも生きているということは、一つのことをしていくことなのだな..と。

 そして、どんなに困難なことでも、それは波が打ち寄せるだけではなく、引いて行く事。呼吸は、吸うことと、吐くことで成り立っていること。心臓の鼓動も...。自然に営みの中にある知恵とメッセージ。それは、自らの肉体にもあります。

 美しさに触れることで、心はやわらぎ、生かされていることの意味に気付き始め、目の前にある扉の向こうに光があるだろうことを予感させてくれるように思います。雪の夜が届けてくれる、自分だけへのメッセージを聴き取ることが出来る、貴重な冬を大切にしたいものです。
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