2006/4/1

白無垢のポプラフルートたちの旅立ち  ラブフルート

 半年以上過ぎてようやくポプラのラブフルートの旅立ちが始まりました。自分の中でポプラフルートとどう関われば良いのか、気持ちがまとまることと素材が落ち着くこと。その両方が必要でした。
倒されたポプラ。再び生きる道を見出したポプラ。ましてやそれが人の心と命の息と一つになって響く音色になるのです。

 この繋がりを思うと、どんな風にまとめていけば良いか、何度も考えながらすごしてきました。これを単なる素材として扱うこともできるのでしょう。しかし、その時点で人とポプラとの繋がりは途切れてしまうのです。限られた人生の時間の中で起こっていること。その全体の流れや意味を受け止めることが、何よりも大切な事だと思うのです。

 これは人が人として生きていること、生かされていることを知る大切なプロセスではないかと感じています。単なる物との関わり、素材、道具、作業、楽器を求める人といった分離した何かではなく、その全てと繋がりながら存在する自分。その全体の流れの中で与えられている自己の行為の意味を大切にすること。それは、限られた命の時間の尊さを思うと自然に起こってくる感覚かと思います。それは人生を豊かに、喜びや感謝を伴って生きていく原点でもあるかと...感じています。

 自らの息を吹き込むとき、そのわずかな息に倒されたポプラが応えて身体を震わせるのです。そしてそこにポプラ独特の響きが生まれるのです。そして、人は、そこで思いもよらぬささやきを耳にするのです。人の心と樹木の繋がりが、美しい響きとなって全身を包み込む時間..

 そのささやきは、その人が捜し求めてきたものかもしれません。あるいは予期せぬ、しかし大切なささやきとなるのかもしれません。さらには、いまだ知ることのない未知の人生に必要なささやきとなるのかもしれません。

 そしていつしか、自らが何故、そのときポプラのラブフルートを手にすることになったかを感じ取るときが来るのだろうと思うのです。それは、私たちがラブフルートを今日の世界、この時代の中で受け取ることになった知恵と繋がっているのでしょう。その秘められた意味は、それぞれが与えられた人生の時間の中で味わっていくことになるのだろうと思います。

 数本の真新しい白いラブフルートの旅が始まりました..彼らは、時に応じて手にした人たちを支え、促し、慰めてくれるでしょう。あるいはその音色に触れる人たちとの豊かな繋がりを作るでしょう。そして、周囲の人たちにもラブフルートの秘密の響きに潜む知恵を分け与えてくれるだろうと思います。

 北大の倒木ポプラを巡る一連の物語は、旅立った数本のラブフルートの物語となって、それぞれの場で展開していくことと思います。そして、ポプラ達の旅立ちを見守る他のラブフルートと出会った人たちとの新たな物語も始まっています。
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