2006/4/5

まじ、やばいっす  ラブフルート

 「マジデスカ..やばいっす!」こういう言葉をまじかに耳にした私もヤバかったかも知れません。話に聞いたり知識としては知っていましたが直接耳にすると新鮮なものです。つい先日からラブフルートを求めて工房に来られた若者たちとの会話のひとこまです。

 それは工房でラブフルートの音色を聴いてもらったときの彼らの感想の言葉でした。おそらくラブフルートがなかったら決して会話することのなかっただろう人たちとの出会いと会話でした。ですから、いよいよ伝説のラブフルートを手にして求愛する青年たちが現れたぞ!と密かに楽しんでいるところです。ジャンベやディジュを吹いていた彼らが、何故笛を吹きたくなったのか..それもラブフルートを..

 その意味は、いずれ知ることになるのでしょう。気がつけば、ここのところラブフルートの旅を始められる方の平均年齢が下がってきました。そして単なる楽器として何か趣味程度にという考え方ではなく、自分自身の大切なものとして手にしたいという方が多くなってきたように思います。

 知名度も低く、需要も乏しく、販売のルートもない。それを承知で凍えながら真冬の車庫で作り始めたラブフルート。誰かから手ほどきを受けることもなく、手探りでのスタートでした。それからそれなりに時間は過ぎましたが、相変わらず知名度は低く、需要も乏しく、販売のルートもありません。

 製作のときは、一本一本、一人一人、ゼロからスタートして取り組みます。決められた構造パターンを繰り返せば安定するのでしょうが、それでは可能性を阻んでしまうと思っているからです。

 手にした素材と向き合い、求める人とのつながりを思い返しながら削り出し、バードの構造を模索する。ラブフルートの構造と音色の多様性がこうした取り組みを可能にしてくれるのだと思います。同じ樹木でも、切り出された部分によって密度が異なりますから、当然共鳴も違いますし、削り方やデザインによっても本体の振動は変わります。ですから、その選ばれた素材にふさわしい形状を探らなければならないのです。強引に自分が必要としている形にしてしまうのではなく、樹木そのものと触れ合いながら、何度も手にしたり眺めたりします。

 形を作り上げ、自分の好ましい音色を作り出すのではありません。その樹木が持っている響きを受け取るのです。さらには、それを求める人のことを考えながら手も心も動かすのです。それは、この出会いから作業の全体、その後の見えない係わり全体の中に生かされている自分を受け止める時間です。

 ですから、単純にお金を出して買い求める民族楽器とは少し違います。人と人とのつながり、思いが大自然の中ではぐくまれた樹木全体と触れ合うこと。自分の思いと、作り手の思い、そして選ばれた樹木がラブフルートを生み出すのです。それらを繋ぐのは、目には見えない命の息吹(風)です。心の深さ、純粋な思いが、お互いの人生を豊かにしてくれるのだと思います。ですから、作り手は可能な限り心を込め、出会った人を大切にしながら作ることで、その笛は「愛の笛」として生まれるのだろうと思います。そして、それを受け取り、旅に出る人もまた、つながりを大切にしていくことで素朴な笛を愛の笛にしていくのだろうと思います。

 さて、そのラブフルートの音色ですが、確かに「マジで、やばい」響きとなって若者たちの心にも伝わっていくことがわかりましたので、いずれ彼らのラブフルートが完成したあかつきには、ライブハウスに出向いてみようかと、目論んでいるところです。
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