2006/6/22

チビチビシウリの旅立ち  ラブフルート

 シウリチビチビラブフルートが歩き人さんと旅立ちました。ラブフルートを求めて工房にこられたトシ小島さんが地元駅前の石作りホールで演奏のとき、フルート製作者として紹介してくださった。その時会場にいたのがケンGさん。数日後に木工の勉強もかねて工房を訪ねました。そこで、マキになろうとしていた桂の埋もれ木と出会ったのでした。ひび割れてバードやケースのボタンになった桂の埋もれ木はフルートとして旅立てるのは残り一本だけになりました。

 この時の出会いは、彼が吹くディジュリドゥーとの出会いでもありました。何度かお会いしているうちに、時折演奏に参加して楽しみませんかと声をかけました。それ以来、何度も参加してくださり、いつしか隠れレイバン・ケンGとして活躍しています。

 そんな繋がりの中で、ごくごく最近「歩き人ふみ」さんがケンGのところから、歩いてやってきました。ベビーカーに重たいディジュを積み込んで日に焼けた顔でひょっこりこられました。子連れ狼ならぬディジュ連れおじさんでした。

 あれこれと旅の話を聞いて楽しみながら、お返しに木の笛ラブフルートの紹介と演奏交流。昼食を一緒に食べて、再び会話。そんな中で、ラブフルート体験を始めました。どうも笛は苦手なようで、どことなくディジュ吹きスタイルのラブフルートになっていました。そこで、優しく接したくなるようなチビチビラブフルートをお渡ししました。持っていたディジュの中にすっぽりとおさまる可愛い奴です。

 それもまた指の穴で苦労しておられたのを見て、何故か一本だけシウリザクラで4穴のチビチビラブフルートがあったのを思い出し、お渡ししました。たった一つ穴が減っただけなのに、歩き人さんは急に生き生きと吹き始めました。

 それは小さいけれど、できるやつといったイメージで、なかなか体に似合わぬしっかりとした響きをする笛でした。試し吹きをしていたとき、オリジナルスケールで作ったのに「愛を知るために生まれてきた」というオリジナル曲が吹けちゃうことに気づいたのです。そうなるように意図して作ったわけではありませんでした。出来上がってみて6つの音で生まれてくる流れを辿っていたら、そうなったのです。

 工房に来られてこの子の音色が気になっておられた方は少なくありませんでした。果たして誰と旅をするのかな..と思っていた笛でした。なんと、ドラムに合わせて吹いているうちに、リコーダーが大の苦手で、先生にやり直しをさせられたりして、いい思い出がない..と回想しておられた歩き人さんの目つきが変わってきたのです。

 やがて彼はチビチビシウリラブフルートを吹いてみたい、これが欲しいと口にしたのです。決して無理はなさらないで..とお伝えしたのですが..いわゆる一目惚れでした。こうして、突然やってきた、文字通りの旅人さんが、シウリのおちびさんと旅立つことになったのです。

 お会いした記念に、柿渋染め仕上げをプレゼントすることにしました。仕上がりに一週間待っていただいたのですが、価格はそれなりですから、ほんとに大丈夫ですか?旅では何かと物入りでしょうし..と。

 彼は1週間後に約束通り、もっともっと短いシウリザクラのラブフルートを引き取りにこられました。今の彼にとっては貴重な現金を使って求めた笛。大の苦手な笛を、旅の友にしよう思ったのはなぜなのでしょう...あの4穴のチビラブフルートが「愛を知るために生まれてきた」という曲を奏でたのはどうしてでしょう。
 
 少なくとも、彼はその笛とであって、確かに今までにはなかった時間を過ごすことになるでしょう。そして、今までには生まれなかった新しい会話、新しい出会いを知ることになるでしょう。無心に笛を吹く彼の姿を見て、心を動かし、声を掛けて来る人たちがやってくるのだと思います。いつか柿渋がいい色になった頃に、またお会いできるかもしれません。

 動けるうちは動く旅を..動けなくなったら、動かない旅を....。自分から動くとき、向こうから動いてやってくるとき..どちらの旅もそれぞれに楽しいものですね...
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