2007/7/24

時が生み出すもの  ラブフルート

 このところ毎日のようにラブフルートの音程調整を続けています。お待たせしているフルートたちが順番待ちしています。材質もサイズも違うものたちが、それぞれ個性的な響きを聞かせてくれます。
レンジの広い楽器ですから、音程調整は呼吸の調整でもあります。穏やかで、落ち着いた状態でじっくりと取り組まなければなりません。
 
 調整しながら感じることがあります。それは、フルートがまさにその方に必要な響きとなって行くという事です。それは今は知ることのできない未来を含んだものであり、共に過ごす旅路の不思議で知恵深い友となるように思います。

 なぜ、このフルートはこんな形、色、音色になるのだろうと思い巡らしつつ、忍耐強く取り組み続けています。面識のある方の場合には、口の形、手の大きさ、体格、好みなどを考えながら手をかけます。気づいたことがあれば、手直しし、時には最初から作り直すこともあります。木の響きをできるだけ生かしたいと思うと本体は厚めになり、それだけ時間がかかり手先の負担は増えます。

 好みなどを伺ってふさわしいフルートを模索するために複数のフルートを手がけ、最終的には直感的にどちらかに絞り込むこともすくなくありません。お会いしたことのない方の場合で、判別が難しい場合には複数のフルートから選択していただくこともあります。

 音程の調整に何日もかかることもあります。一日中、ひとつのバードと格闘することもあります。柿渋を希望された方のためには10数回、乾いては塗りを繰り返します。内部にはナチュラル素材の撥水材を何度も塗っていますが、歌口周辺はさらに重ねて塗布します。仕上げの段階では、毎晩この作業が繰り返されます。さらに、柿渋乾燥後にナチュラルオイルを3〜5回塗ります。最後はその上から蜜蝋を塗ります。この段階で音色は少しずつ変化していきます。この作業の意味は時間の流れとともに浮かび上がって来ます。

 自分が初めて手にしたラブフルートは、オイルすら塗られていないもので、自分でオイルを塗って対処してくださいという感じでしたから、現在の作り方は少し手間をかけすぎているかもしれません。それでも手をかけるのは手にした後の時間の流れ、ゆっくりとした色彩的な深みと音色の変化を思うからです。

 いつか円熟味を増したフルートが心の調和を学ぶ旅を始めた方と共に歌う響き、音色に出会うかもしれない..。時を経て、吹かれる方と一体化した音色が流れてくる。その時自分はもうこの世にはいないかもしれませんが...。
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