2009/6/3

内管(観)作業  ラブフルート

 今はラブフルートの内管製作の工程を85本ほど一気に進めています。手狭な工房では、連続した作業ができず工程を分割して進めなければなりません。これが、製作時間がかかってしまう大きな要因でもあるのですが...。

 一見単純な作業ですが、ここに至るまでに材料の安定をまたなければなりません。また、慎重に素材を選ぶ必要もあります。極力内部に熱がかからないように、時間をかけ、何度も慎重に内部を削ります。この後、内部のペーパー掛けや面取り、角穴付近の細かな仕上げ、天然防水材を何度も塗り重ね、乾燥させ、さらに仕上げをします。さらに、水分を含んで変形した材料をプレーナー(カンナ)で調整。この接合の調整にしばらくかかります。

 少し専門的な内容ですが、これはあくまでも内部への作業であり、人目には全くと言ってよいほど知られていない世界です。それは、音の響きのためにはとても重要で影響力の大きい部分でもあるわけです。これは、決して後戻りのできない工程になります。

 外管の形状も当然音の響きを左右するのですがある程度手直しが可能です。しかし、一体化したフルートの内部には手をつけることができなくなりますし、呼吸は内管を通るわけですから、内管作業は大切な工程になります。

 内側の響きが外側につたわり、響きが起こる。内管と空気の流れとの関係(接点)が原点になるのです。人の歩みというものは、この内管に似て、手をかけることができない、二度と戻れない要素との関わりの中で生きているような気がします。

 意識の変化や価値観の転換によって、局部的に対応可能な気はするのかもしれませんが、事実として起こったこと自体を変えることはできないでしょう。その内部のことを、知る人が皆無だとしても、事実そのものはかわりません。

 人が内管のような自分を生きて歩むのだとしたら、なぜそのフルートは吹く人によって響きが異なってくるのでしょう。そこには何が起こっているのでしょう。

 内管の事実に対して、どんな息を注ぎ込むのか、どんな心を向けるのか、それが響きの違いとなって現われてくるのかも知れません。その内管との接点から、どんな響きがうまれてくるのか...。自分自身がその響きを通して何を感じるのか...。

 人生が一本の笛のごとく流れていくとしたら、私たちはどんな心、どんな響きの中を歩いて行くのでしょうね。
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