2010/4/27

月の光、そして闇  雑感

 明りがあると気付かないことがありました。太陽の光で浮かび上がるステンドの美しさを楽しむ時間が終わり、ふと一人になって、キャンドルが消えたとき、暗闇に不思議なものが浮かび上がってきました。

 それは月明かりを受けたステンドの枠の反射やステンドグラスの影が壁面に浮かび上がっているのだとゆっくり気付きました。モノトーンの世界。うっすらと浮かび上がる影の様は、不思議な感覚を呼び起こしました。

 月明かりが見せてくれる独特の輝きのステンドと暗闇に浮かび上がるモノトーンの淡いシルエット。
こういう空間には、これまで決して現れなかった心の中の何かを感じます。

 そこには何の響きもなく、暗がりだけがあるのですが、その空間には十分すぎるほど豊かな何かが満ちていました。光の世界と闇の世界。そのどちらでも、自分が明確に生きていくことを改めて確かめる時間。すべての存在とのかかわりが断ち切られた時、心は否応なく自分と直面することになる可能性を与えられるのかもしれません。果たして、その闇の中に光を見ることはできるのでしょうか?

 この世界が光の世界と闇の世界を、交互に繰り返しながら動いている。その意味に気づくとき、自分自身にも、その周囲に存在する世界との関係にも深くて明確な変化がやってくるように思います。この自然が告げるメッセージは、与えられた旅路を辿るに十分すぎるのだと思います。

 そのメッセージを、あわただしく言葉に変えて理解しようとするという安易なプロセスから離れて、じっと見つめ続けることが大切だと思います。

 次々と流れる内面の変化を取りたてて誇張せず、現象の表面的な変化に一喜一憂するざわつきから離れて、自分の道をじっくり見つめること。その道へと誘う月明かりを浴び、月明かりから生まれる豊かな光の響きを身にまといながら歩いていきたいものです。
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2010/4/23

音と光と色と形  雑感

 小さなスペースに楽しみにしていたステンドが組み込まれました。5面にステンドグラス、2面に窓ガラス、一面が入り口、合わせて8面。閉ざされた空間なのに、光の動きを生き生きと感じます。移ろいゆく光の美しさ。それは時の流れとともに次々と変化し続け、片時もとどまることなくそれぞれの個性豊かな輝きを見せてくれます。

 これは音の響きが光をまとって自在に戯れているのだ...。光が音をいざない、ともに喜び踊りながら、私たちの心を包み込み歓喜で満たしてくれる瞬間なのだ..。

 自らの人生に待ち受けていた、思いがけない悲しみや痛み、恐れや驚き、言葉にならない虚しさや口惜しさ、笑い声や怒りに満ちた叫び、孤独や苦々しさも一つに溶け合って全身を包み込み昇華させる瞬間に似ているような気がする..。

 音、響きをテーマに取り組んだステンド作家石戸谷氏。その深い洞察と感性が凝縮されて現れたメインステンドは、優しい輝きの中に音楽の本質を浮かび上がらせるシンプルで限りない広がりへと引き込んでくれます。それは透明なステンドであればこそ表現できたのだと思います。

 ガラスはなぜ光を透過するのか..。そんなことを漠然と考え続けてきましたが、その秘密の一つを垣間見たような気がします。

 そのステンドは、音を奏で響きがスペースに満ち始めると同時に、生き生きと輝き始めました。これは初めて味わう感動、驚きであり、音の本質が光の絵画と共に心をより深遠な世界へいざなってくれる瞬間でした。彼とのコラボレーションは何度か模索してきましたが、どうやらこの時に繋がっていたようです。

 3種のデザインは響きの持つ本質を見事に表現しています。響きとはこういう形をしていたのか...。音が造形の中に溶け込み、造形が響きを生み出す。その循環は、やがて一つのことなのだと知る時が来るのでしょう。それは巡りゆき、変化し続ける光と風、心の揺らぎとともに辿り着く世界のような気がします。

 写真では表現しつくせませんが、新たに加わったステンドの写真を掲載してみます。

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2010/4/18

BIG オルゴール・コンサート  ラブフルート

 今回はお知らせになります。

4月30日 午後6時半開場  午後7時開演

ハンマーダルシマーの小松崎健さんをお招きして
BIG オルゴール・コンサートを開催します

ダルシマーの響きが八角形のスペースいっぱいに
響きだし、あたかも大きなオルゴールの中にいるような
不思議な世界が広がります

ラブフルート工房の隣の小さなスペースが会場です

料金は 2000円

当日でも大丈夫ですが、ご予約いただけると助かります。
当方HPのメール、或いは電話やFAXでお申し込みください。

メール ravenono@basil.ocn.ne.jp
携帯090-8906-9916
電話&FAX 0123-36-8881

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2010/4/17

風見ワタリガラス  雑感

 2010年4月16日風見ワタリガラスが小さなスペースの屋根のてっぺんに住み着き始めました。あれこれスケッチしながらなんとかこれで行こうというデザインが出来上がりました。Nさんにお渡ししたスケッチをステンレスで製作し、ウレタンの樹脂でカラーリングされたワタリガラス。金工作家Nさんらしい雰囲気がいっぱいの、楽しさと不思議さが入り混じったワタリガラスの誕生です。

 ラブフルート工房にどんな風が吹くのか、どの方角からどんな風人(かざびと)たちがやってくるのか楽しみです。この風見ワタリガラスには、ちゃんと羽がついているので、飛んで行ってしまわないか、近隣のカラスがどんな反応をするか、毎日空をみ上げることになりそうです。

 このスペースは色んな人がやってくる場所であり、色んなところに旅立っていく出発の場所でもあるわけですから、方向はとっても大切だろうと思います。風見烏の足元には方向を指し示す矢が付いています。「愛の笛」の物語の中で、青年が空に向かって放った矢を象徴しています。その矢とワタリガラスが一体になって風の道を示すためにやってきました。

 その嘴にはラブフルートが咥えられていて、ラブフルートのバードには命の炎が付いています。今回は、これらのモチーフの意図などの詳細を省いて、取り付け作業をしているカッコイイNさんの写真を掲載することにします。

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2010/4/14

大きなオルゴールBOX  雑感

 先日、まだ完成していないけど..と云いつつハンマーダルシマーの小松崎さんに来ていただきました。何か楽しいこと企画したいという感じで、なんかやってみようという打ち合わせでした。
 
 実際は演奏しまくりで、打ち合わせは数分でした。今月中に一回フランクな感じでやってみようか..と。どんなことになるのか未定ですが、きっといい感じの響きが部屋中にいっぱいになると思います。

 どちらかが演奏を止めたら終わるだろうなと思いつつのセッションは、このまま死んじゃうかもというくらい続きました。大きなオルゴールBOXと化した小さなスペースは、楽しい時間でした。ライブ会場で、それぞれのステージが前後して簡単に挨拶をして終わっていましたが、今回初めて、少しゆっくりすごしました。

 音の響きがどれほど美しく、心に注がれるものか。それは、私たちの心を深いところで支えてくれるもの..。その響きは命そのものととっても近い..。そんなことを伝えてくれる演奏家との交流は貴重な時間でした。

 弦の響きと笛の音は、ある意味対照的な表現をするものですが、だからこそその組み合わせは豊かさを生み出します。そこに打楽器が加われば、至福の空間が広がるでしょう。それは一人一人が持っているものです。弾む心のアルペジオに合わせて歌声が生まれ、鼓動の響きが歌声と混じり合って全身を震わせる...。

 ゆったり、のんびり過ごせる時間になればいいですね〜というところまで決まっています。日時は追ってブログやMIXI,Twitterなどでお知らせします。

 ダルシマーを演奏している小松崎さんの写真を掲載します。



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2010/4/10

いしころ  雑感

 「すべての人に石がひつよう」という絵本が再刊されるとの知らせが届きました。「愛の笛」の翻訳者である北山耕平氏の翻訳本の一つです。この絵本を市立図書館で目にして、購入したいと探したのですが既に絶版になっていました。

 やむなくコピーして読んでいたのですが、その存在を知って幾人かの方が購入を希望していたこともあり復刊ドットコムに復刊希望図書として投票し、可能な範囲で周囲の方に投票をお願いしてきました。100人集まれば出版社と交渉する可能性があるとのことでした。ところがなかなか100票には至らず、数年が過ぎました。やがてなんとか100冊になったものの、動きはありませんでしたので、半ばあきらめていました。

 それがここに至ってやっと復刊が決まったとのこと。石の上にも3年というけれど、それ以上かかったような気がします。最終投票数は140ちょっととういうことで、やはりこの種の絵本はなかなか人が寄り付かないようです。

 この知らせが来るひと月ほど前に、私はある彫刻家に石を手にする機会を持ちたいとお話を持ちかけていました。もし、小さな石の希望者がいればお話をしたり、石の知恵をお伝えしたり、お渡ししたいと...。手に握れるくらいの大きさで、持ち歩いてもいいし、ふとした時に握ってみるのもいい。ちょっと机やテーブルに置いておけるような石の彫刻を小さなスペースに置いてみたり、光との戯れを楽しんだり、静かな時間を過ごしてもらえればいいな..と。

 こういう静かな時間に、人の心には豊かで素敵な響きが生まれてくるんですね。もちろん、それは石に限らず人の言葉や、思い起こす自然や流れゆく時や出会いのなかで、流れ響いているものだと思います。その心の原点が音楽の原点のような気がします。

 商品化されたりパターン化した音楽は、本質性の片鱗は含んでいるでしょうが、その瞬間のリアリティーとは違うところで金銭と結びついて巡っているような気がします。音の響きへの感謝と喜びが演奏家を生かし、その思いが音楽家を育む。そんな流れが静かに始まっていくかもしれません。

 生きている人間が、その瞬間の命の中で響かせるもの、それが実現できる空間のことをゆっくりと考え続けてきました。そのひとつの思いから生まれた試みの空間。そこではその人の響きが、おのずと互いが存在することへの敬意や感謝や喜びへと繋がっていくような気がします。

 石の必要性について自分なりに感じてきたことをお伝えしながら、ぽつりとお気に入りの石が人の心に入っていくお手伝いができればと思っています。自然の石が原点なのでしょうが、人が思いを注いで削り磨いた石には人と石が深く結びついた固有の世界があるかと思います。

 今回は、3種の写真を掲載してみました。万が一?お気に入りの石が見つかった方は連絡いただけばお譲りすることもできます。ここにあるのはすべて彫刻家・伊藤三千代さんの作品です。大切に持ち歩きたい方のために、手作り布袋もついてます。

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          ステンドの光を浴びた小さな石の彫刻

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            素のままの小さな石の彫刻

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        床に落ちたステンドの光の中にいる小さな石たち
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2010/4/5

バンブーラブフルート  ラブフルート

 ラブフルート製作の第一歩がバンブーラブフルートでした。そのバンブーを快く提供してくださった方の訃報を耳にしました。ケーナに携わる方からのライブ依頼の打診をいただいた時、話の最後にOさんがこの1日に亡くなられたんですよ..と。

 まさかという思いと同時に、不思議な空白がやってきました。突然にという言葉が口をつくものの、実際はそういう時が来たことを知らされたということだと思います。やはり人は死ぬんだ...。そんな言葉を今年になって一度書きこんだのだけれど、またもやその言葉が浮かんできました。

 アメリカに向かう直前にインディアンクラフトの書籍をお借りし、それに続いてケーナ製作者のO氏とのコンタクトが取れ、竹を頂き、バンブーラブフルートを作り始め、製作第一号のラブフルートを背中に担いでオレゴン州、ポートランドに出向き、カルロスナカイのコンサートを聴き、翌日のカルロスを含むフルート交流の会に招かれる...。

 そんな一連の流れのポイントにO氏の竹がありました。ですから、一度ゆっくりと現在に至る笛の旅物語をお話しする機会を楽しみにしていました。しかし、それは一方的な思いであって、人はそれぞれの道を旅し、自らの時を経て死にいたる。それを、改めて感じることになりました。

 死をどのように捕らえるか、それが生きることと直結しているのでしょう。現在の小さなスペースを手掛ける時、たった一人でもこの場所に来て良かったと心底感じてくれる人がいれば十分と思って動き始めました。

 O氏の訃報に接して、与えられた人生に一瞬でも、心からの喜びや感謝が生まれたら、それで十分と確認することができました。それが自分だけの確信ではなく、それを必要とする人々との出会いへとゆっくり歩き始める時期が始まりました。

 自分がどんな死に方をするにしても、その瞬間の中に自分の心がちゃんと自分と一緒にあれば内面の静けさと安らぎの中にとどまれるのだろうと、そっと問いかける4月の始まりになりました。

 昨夜は、ゆっくりとO氏との出会いを思い起こしながらバンブーラブフルートを吹いてみました...。
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