2012/6/11

6月のシウリ  ラブフルート

  連日のハードな作業はバンドソーの刃が切れてやむなく中断。たまには休息してもいいかなと感じ、6月に入って密かに願っていたシウリザクラの花を探しに出掛けてみました。

  急な出発だったので、フルートとカメラだけ持って馬追の森の道に向かいました。黒くて重たい雲が見えていましたから、雨を覚悟で森に入りました。

  脇道から数分歩くと別世界。深い森には顔馴染みの巨木が待っていて、不思議な心の交流が生まれます。足元にはエビネ欄がいっぱい。おしゃれなカンザシのようで嬉しさと楽しさが足元を飾ってくれました。

 僕も私もという感じで、草花達が径の両脇にいっぱい。この山道の細さは、どことなく可愛らしく、ちょっといい感じ、夢気分になれます。エンレイそうは花が終わり実がなっていました。

 長く厳しい冬のために倒れ、他の木によりかかっている木々たちもいましたが、どっしりと揺るがない長老のような木々もあちこちで姿を見せてくれました。

 すぐに会えると思っていたシウリザクラはなかなか見当たらず、見つかるまで山道をたどることにしました。時折小雨が降りましたが、ひどいふりにはならず、いい感じの静けさと小鳥たちの心地よく囀る森は別世界でした。人の気配もなく、森にすっぽりと包まれる感覚は嬉しいものでした。

  ようやくシウリザクラを見つけたのですが、かなり遠くて写真にするには厳しいものでした。ところが、よくよく見渡すと目が変わって、近くにもあることが分かりました。山菜の見つかり方と同じです。目に写っているものと意識が繋がって認識に辿り着くまで気付かないのです。

  どうやら花のピークは過ぎ、残った花びらと枯れた部分が上手く組み合わされていました。帰り道には、これまで気づかなかったシウリザクラの花が次々と待っていてくれました。

 終わりかけではあっても、ちゃんと出会えたことが嬉しい散策になりました。その翌日、シウリザクラの事を書き始めたところに神戸から電話が入りました。「シウリザクラのフルートが私のところにやって来たので、何かコメントがあれば教えてください」という事でした。

 そのラブフルートは、以前神戸でライブやワークショップをした時に声をかけてくださった80代のご婦人にお届けしたものでした。それから半年あまりで亡くなられたのですが、そのご子息が手元において置いたものでした。大切な母親をなくされた時、何も言葉が見つからず、お母様を抱いて、シウリザクラのフルートを吹いたと伺いました。

  当時懇意にしておられた方のところに、そのシウリザクラのラブフルートが届けられたというお知らせでした。

 その電話からすぐ後に、チャイムがなり一人のご婦人が姿を見せました。ご注文いただいてからかなり時間を経過していたシウリザクラのラブフルートを受け取りにこられたのでした。来られる予定時間をお聞きしていなかったのでちょっとびっくりでした。あの森のシウリザクラたちの歓声が聞こえるような一日のスタートでした。

  引き取りに来られた方は、「ほんとうに今必要だと感じている音色の笛を手にする事が出来ました。あまりにもいろんな事があったけれど、ちゃんと前を向いて歩かなければと思っていたところでした。」とマイフルートを手に嬉しそうに帰られました。

  この6月、シウリザクラにまつわるいい思い出が出来ました。ますますあの花が好きになりそうです。
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